案内人
更新が日をまたいでしまって申し訳ありません!
デスマ続きで熱が出て筆が進まなくなっておりました……><
ナヴィラの女兵士がミランダ隊長を眺めて首を傾げる。
「それで、お前たちはなにをしにこの山に来たのだ。魔術師団とやらは長を失って必死に捜し回っているようだが、そんな幼子を山に連れてきたら、失踪者が増えるだけだぞ」
「それが……」
言いかけるミランダ隊長と女兵士のあいだにアリシアが割り込む。
「私はアリシア・グーデンベルト。その行方不明になった魔術師団長代理の娘よ。お父様を捜しに来たの」
「わ、わたしはお手伝いですっ!」
「代理までいなくなったら魔術師団の面目丸つぶれですから、このわたくしも付き合ってあげてるんですのよ! わたくしは魔術師団長の娘ですもの!」
なんて強がるジャネットだが、心配して付き合ってくれているのはアリシアも分かっている。
少女たちの言葉を聞いて、女兵士が表情を曇らせる。
「父親を捜しに、か……。気持ちは分かるが、今この辺りは危険だ。我がナヴィラ族と宿敵のガデル族が何度も激突を重ねている」
「それは知っているわ。でも、お父様を見つけたいの。安全な学校でぼんやりしておくなんてことは……できないわ」
アリシアは静かに、しかし揺らぐことのない態度で告げた。
その決意を感じ取ったのか、女兵士は肩をすくめる。
「仕方のない奴らだな。だったら、ついて来い。長老なら、なにか手助けしてくれるかもしれん」
「ありがとう……!」
アリシアは深く頭を下げる。
「だが、ナヴィラの外の連中を守るほど我らの手は空いていない。ガデル族に襲われたときは、その幼子たちの安全はお前が守れ」
女兵士がミランダ隊長に言った。
ミランダ隊長はうなずく。
「もちろんです! ……と言いたいところですが、守られるのは大人の方だったりするんですよね……」
「大人が守られる……? なにを言っているのだ、お前は」
女兵士はわけが分からないといった顔をする。
フェリスたちは女兵士に導かれ、山を再び歩き始めた。
山岳地帯で鍛えられているナヴィラ族の女兵士は、険しい道でも速度を落とさず、断崖絶壁のような場所を平気で登っていく。
平地の民であるフェリスたちは、ついていくだけで精一杯。幾度も女兵士の姿が見えなくなり、奥深い森の中でさまよう羽目になる。その度に女兵士はため息をつきながら戻ってきて合流してくれた。
「ちょっと怖いですけど、優しい人みたいですね!」
フェリスの言葉に、アリシアが同意する。
「人は見かけによらないって本当よね。強気そうなジャネットが実は弱気だったりね」
「わ、わたくしのどこが弱気だと言うんですの!? わたくしはいつだって自分に逆らう者を地獄に叩き込めるんですのよ!」
「ふえっ……ジャネットさん怖いです……」
「あ、今のは違いますの! 怖くないんですのよ!? 地獄に叩き込んだりなんてしませんわ!」
「ジャネット……」
「どうして可哀想なものを見る目で見るんですの!?」
言い合っているうちに、前方に村が見えてくる。
それは、フェリスたちの知る人里とはまったく異なる姿の村だった。
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