表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十歳の最強魔導師  作者: 天乃聖樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

193/196

朝ごはん

 ジャネットは仰天してフェリスを引っ張り下ろそうとするが、手が届かない。奇怪な状況に思考が追いつかず、風魔術を使うことも思いつかないでぴょんぴょん跳ねていると、フェリスがすぽっと天井から頭を抜いた。

 ベッドに墜落するフェリス。大惨事の予感に肝を冷やすジャネットだが、フェリスはベッドでバウンドし、再び天井にぶつかる。戻ってきてベッドに落ち、高々と跳ね返される。その姿は人というよりボールである。

 放っておいたら無限に続きそうなので、ジャネットはフェリスに飛びついて止めた。

「ふぁ……ジャネットさん。助かりました」

 のほほんと感謝するフェリス。

「怪我はありませんの!?」

 ジャネットは生きた心地がしない。

「ぶつかる前に結界を張ってたから、だいじょぶです」

「それは良かったですけれど……、いったいなにが起きましたの?」

「なんか、ベッドでトランポリンみたいにポンポンするのが面白くて、魔術でもっと跳ねるようにしてみたら、天井に刺さりました」

 緊張感のない報告である。

「危ないですわ! アリシアはどうして止めないんですの!?」

「フェリスがとっても楽しそうだったから……」

「楽しかったです!」

 能天気な二人に、ジャネットは脱力する。業腹だがアリシアにフェリスの保護者役を譲っているからには、もう少しきっちり保護していてほしい。

「おはようございますっ、ジャネットさん!」

「え、ええ。おはようございます」

 けれど、そんなジャネットの不満も、天使のようなフェリスの笑顔を見ると消し飛んでしまう。可愛ければすべてが許される。そしてフェリスは世界一可愛いのだ。

 フェリスはアリシアに手伝ってもらって寝間着から制服に着替える。そのあいだ、ジャネットは目をそらして部屋の隅っこでしゃちほこばっている。女の子同士なのだから気にしなくていいとは分かっていても、どうしても恥ずかしい。

 フェリスがアリシアに髪をとかしてもらい、リボンも結んでもらって、三人で部屋を出る。


 女子寮の食堂は、焼きたてのパンの匂いでいっぱいだった。

 壁際の長いテーブルにスクランブルエッグやサラダの材料などが置かれ、自分で選べるようになっている。三人は好きなおかずやパン、デザートをトレイに取って席につく。

「ジャネットさん、ジャネットさん! 一個だけメギドプリン残ってました! どーぞ!」

 フェリスが小さな器に入ったプリンを差し出す。

「え……? メギドプリンは、フェリスの大好物じゃなかったんですの?」

「大好物ですけど、ジャネットさんにあげます! もらってください!」

「ありがとうございます……?」

 首を傾げるジャネット。そこまで言われたら断るわけにもいかないので、メギドプリンを受け取る。

 たわむプリンをスプーンですくい、口に運ぼうとするが……フェリスがじいいいっと見ている。よだれを垂らして見つめている。本当は食べたくて仕方ないのだ。

「えっと……やっぱり召し上がります?」

「だ、だいじょぶです!」

 フェリスはぷるぷると首を振った。そのあいだも視線はメギドプリンから離れない。痩せ我慢しているのは明らかだ。

「わたくしは大丈夫ですから、フェリスが食べてくださいまし」

「で、でも……」

「わたくしはフェリスがおいしそうに食べているのを見る方が、自分が食べるよりずっと嬉しいですわ」

 ジャネットは微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

コミカライズがスタートしました!
試し読み
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ