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十歳の最強魔導師  作者: 天乃聖樹


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相談

 フェリスたちの乗った馬車は、関所からバステナ王国の方へ全速力で引き返した。


 奥深い森の中まで走り、番兵が追ってきていないのを確かめてから、馬車が停まる。


 車内でフェリス、アリシア、ジャネット、ロゼッタ姫は額を寄せ合って相談する。

 ちなみにロゼッタ姫はパンの袋から顔だけしか出ていない。バステナ王国広しといえど、栄えある王家の息女がこんなシュールな格好をしているのを見たことがあるのは、フェリスたちだけだろう。


「どうして引き返したんですの? もう少しでわたくしがラインツリッヒ家直伝の交渉術で番人を説得するところでしたのに」


「あの状態からどうやって説得を成功させるのか分からないわ……」


 不満げなジャネットに、呆れ気味のアリシア。


「関所を通るのは難しいようですね。どうしましょうか」


 ロゼッタ姫が頭を悩ませる。


「こうなったら全員で力を合わせて、関所を城壁ごと破壊するしかありませんわ! その混乱に乗じて強行突破するのですわ!」


「プロクス王国の攻撃と思われて、今すぐ開戦しそうね」


「今の状態で荒事は望ましくありません。わたくしたちの目的は、すべてが穏便に済むよう和睦の密書をプロクス王家に届けることなのですから。バステナ王国軍が戦闘を仕掛けたとしても、それは陛下の意志ではなく、逆賊の暴走であると伝えねばなりません」


 フェリスはこぢんまりと腕組みして考える。


「えっと、えっと、それじゃあ……壁の上を飛んで越えたらいいんじゃないでしょうか?」


「飛行魔術で、ってことかしら?」


「はい! 空は誰も見てないと思いますし、関所の向こうぐらいまでなら、わたしでもロゼッタさんを抱えて運べますし!」


「フェリスが抱えるのは無理だと思うけど……ジャネットならできるわね」


「えっ!? わ、わたくしですの!?」


「お嫌ですか?」


 哀しそうな顔をするロゼッタ姫。


「い、いえっ、嫌というわけでは! 姫様を抱っこするなんて、恐れ多いだけですわ!」


 王族に触れるのが不躾だというのは無論のこと、もし途中でうっかり落としてしまったら縛り首ぐらいでは済まない。一族郎党獄門、お家取り潰しも必至である。


 しかし王国の守護者を自認するラインツリッヒ家でなければ果たせない重役だというのも事実。精一杯頑張らねばと、ジャネットは奮起する。


「問題は馬車ね。さすがに飛行魔術でも運べないから、置いていくことになるけど……」


「つまり……残りの旅は徒歩ってことですの?」


 身震いするジャネット。


「仕方ありません。まずはプロクスに入らなければ埒が明かないのですから。人里についたら、改めて馬車を雇いましょう」


 ロゼッタ姫は必要最低限の荷物をまとめ始めた。

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