再会
「な、なぜ……天使がここに!? まさか……あのお方が見ていらっしゃると言うのか!? 遙か高みから!?」
突然の天使の出現に、『探求者たち』の術師は驚愕する。
降臨した天使――ライラは、結界の中心に屹立する黒雨の魔女の氷像に気づいた。
「あらあら、まあまあ! レインったら、ついに雨じゃなくて氷になっちゃったのね! とっても綺麗だけど……やっぱりレインは動いている方が何万倍も綺麗だわ!」
ライラは結界に槍を叩きつけた。結界はびくともしないが、代わりに衝撃波が散って辺りを吹き飛ばす。
フェリスやアリシアやジャネットもついでに吹き飛ばされる。
「ふゃああああああっ!?」
「フェリス、掴まって!」
「とんでもない召使いですわ――――!!」
互いに抱き締め合って体を支えるフェリスたち。しかしあんまり支えられてはおらず、地面をころころと転がる。
ライラは空に浮き上がって結界を眺める。
「なるほど……魔力を吸収するタイプの結界なのね。生きていた頃は魔力なんてまともに見えなかったけど、今は分かる……一度死んで結果オーライだったのかもしれないわ!」
「ものすごくポジティブな天使ですわね……」
つぶやくジャネット。
「でも……だからこそ、あの子が黒雨の魔女に必要なのかもしれない
……」
アリシアは考える。きっと、黒雨の魔女が憧れたのは、あの圧倒的な光なのだ。天使は光輝の権化だが、天使でなかったときもライラが眩い光を放っていたのは、初めて会ったアリシアですら容易に想像できる。
そのライラが、結界の外から氷像に――自らの闇と涙に凍りついた黒雨の魔女に――呼ばわる。
「レイン! 起きて! 起きなさい! 朝よ!! おーきーてー!」
「そんなので起きたら苦労しませんわ!」
ジャネットは呆れるが。
ライラの声に呼応するかのようにして、氷像にわずかな亀裂が走った。
「んん……なんじゃ……騒々しい……」
気だるげな魔女の声。
「起きました――!!」
「嘘ですわ!!」
「よっぽどライラさんのことが好きなのね……」
目を丸くするフェリスたちの前で、ライラは結界にしがみつくようにして告げる。
「レイン! あなたはなにをしているの!? ここを開けなさい! そして、わたしにあなたを抱き締めさせて!」
魔女の氷像が、目を見開いた。
その体を覆っていた氷が、一瞬で砕け散る。
黒雨の魔女が両手を掲げるや、全身から闇が放たれ、内部から魔法結界を崩壊させる。
結界内に充満していた禍々しく紅い魔力、漆黒の瘴気がおどろおどろしく蠢く中へ、ライラはためらいもせず飛び込んでいく。
ライラの光に触れるや、黒雨の魔女の瘴気は美しい蒼へと浄化されていく。
それはまさに、雨。
「ライラ……本当に……?」
涙を流す黒雨の魔女の前に、ライラはふわりと舞い降り、魔女の体を優しく胸に抱き寄せる。
「ただいま、レイン。わたしはちゃんと還ってきたわ――あなたのところへ」




