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十歳の最強魔導師  作者: 天乃聖樹


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黒氷

 黒雨の魔女の胸に虚ろな穴が穿たれ、闇が噴き出す。


 闇は渦を巻き、嵐となってフェリスたちを吹き飛ばす。


「ひゃあああああっ!?」


「なんですのーっ!?」


 少女たちは広場の外まで弾かれ、互いを抱き締め合って闇の嵐に対抗する。


 黒雨の魔女の瞳から、漆黒の雨が滴っていた。それは結晶となり、瞬く間にうずたかく積もって、彼女の体を凍りつかせていく。


 涙を流したまま、氷像と化した黒雨の魔女。


 魔法学校の尖塔、その鐘が、葬送を告げ知らせるかのようにして打ち鳴らされた。


 噴水広場に、一人、また一人と、生徒たちがやって来る。自らの意思ではなく、まるで黒雨の魔女の涙に吸い寄せられるようにして歩き、広場に膝を突く。


「ど、どうしたの、みんな……?」


 アリシアは問いかけるが、生徒たちが応えることはない。寒くてたまらなさそうに己の体を抱き締めてうずくまり、物言わぬ彫像となっていく。


 黒雨の魔女の足下から伸びた樹の根が地面を這い、生徒たちを繋ぐ。生徒たちの体が吸い上げられた「なにか」が樹の根を通って、どくん、どくん、と黒雨の魔女の氷像に運ばれていく。


「魔力を……吸収しているみたいね」


「たいへんですーっ!!」


「助けますわよ!」


 少女たちは広場に突撃するが、見えない壁に弾き飛ばされる。


「魔法結界ですわ!」


「破ります!」


 フェリスは魔力の塊を叩きつけるが、結界は壊れない。


 『探求者たち』の術師が笑った。


「貴様の馬鹿げた魔力の巨大さに対する策も考えず、巣に乗り込むとでも思ったか。この空間は既に『閉じた』。内部からでなくては破れぬ」


「破れなくても破るんですっ! レインさんは、わたしのお友達なんですからっ!」


 フェリスはさらに大きな魔力の塊を生成し、広場ごと結界を押し潰そうとする。それでも結界は割れない。余計に壁が厚みを増していく。


「まだまだですっ!」


 諦めないフェリスを、アリシアが止める。


「……待って。さっきフェリスが魔力を叩きつけたとき、その魔力がレインさんの方へ吸われていくのが見えたわ。わざわざ結界の外に私たちを追い出したのって……そういうこと、でしょう?」


「ふえ……?」


「どういうことですの?」


 戸惑うフェリスとジャネットだが、術師は渋い顔をする。


「……子供のくせに、妙に察しがいいのだな、貴様は」


「じゃあ、やっぱりそうなのね。人質を取って、フェリスに頑張らせて、もっと魔力を稼ごうってつもりなのね」


「そのことに気づいても、意味はない。既に扉を開くための贄は確保した。不足かもしれんが……ならば干からびるまで絞り取るだけのこと」


 術師は節くれ立った杖を振り上げ、禍々しい言霊を唱え始める。


 黒雨の魔女、そして彼女に繋がれた生徒たちの体が脈動し、広場の上空に亀裂が走った。

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