球体遊戯
11月30日に書籍版の5巻が発売されます!
予約も始まっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします!
https://herobunko.com/books/hero45/9072/
ロッテ先生は元気にVサインを突き出す。
「初回プレイは無料! 落ちない限りずっと乗っていていいから、上手に乗れれば一日中乗っていられるよ!」
「一日中! わたし、ぼぉるぷぅるしたいですっ! 一日中乗りたいですっ!」
「興味津々ですわね……」
「だけど、開発されたばかりなのよね? なんだか危ない気がするのだけれど」
アリシアは眉をひそめるが。
「わたくし、やってみますね」
やんちゃなロゼッタ姫がさっさと戦闘訓練場に乗り込んでいく。
そうなってしまえば、エスコート担当の少女たちに逃げるという選択肢はない。
それぞれ自分の好きなボールを選ぶと、上に座って移動方向を念じる。
「ひゃああああああああああっ!?」
そして吹っ飛ぶフェリス!
「これはなかなか難しい……わ……」
必死にバランスを取るアリシア。
「フェリスはわたくしが守りますわきゃああああああ!」
なんて雄々しく(?)叫びながらジャネットも飛ばされていく。
飛行系の念動魔術は鍛えていないし、ボールの操作方法が独特すぎて慣れない。
一方、猫モードのレインは平然とした様子でボールの上でくつろいでいる。
「フン。バランス感覚というものを理解しておらぬのか」
「猫に人間がバランス感覚で勝てるわけがありませんわ!」
「わらわは人間じゃ。まあ、そなたが猫に敗北を認めるというのなら、それもよいかもしれぬ。無理をするなよ、猫に負けた娘」
「くっ…………」
分かりやすい挑発だが、それに全力で乗ってしまうのが分かりやすいジャネットである。
「そこまでおっしゃるなら……こちらにも意地がありますわ!」
敢然と言い放つや、ボールに手を突き、膝をぷるぷるさせながらもゆっくりと立ち上がる。両腕を真っ直ぐ左右に広げ、かっと目を見開く。
「ジャネットが……」
「ジャネットが立った……!」
目を丸くするロゼッタ姫とアリシア。
「どうです!? これがラインツリッヒの底力ですの! わたくしに不可能などございま……すわああああっ!」
ジャネットが叫びながら墜落する。
地面のボール沼に突っ込み、完全に埋もれる。
「名誉の戦死だわ」
「死んでませんようっ!」
フェリスは慌ててジャネットを助けようとして再び吹き飛ぶ。
そのとき、正門前の広場の方から、鈍い爆発音が轟いた。
ぎょっとする少女たち。
「花火、かしら……?」
アリシアが警戒する。
結構余裕でボールを乗りこなしていたロゼッタ姫が、浮上して広場の方角を見渡す。
「いえ……違いますね。魔女が人を襲っています。あれは……閃光の魔女スレイアでしょうか」
「閃光の魔女スレイア様!? どうしてあのお方が!?」
愕然とするジャネット。
立て続けに響き渡る爆音、人々の悲鳴。
楽しかったはずのヴァルプルギスの夜に、真の夜が訪れていた。




