屋台巡り
フェリスたちのお化け屋敷の担当が終わり、休憩時間になった。
「ふぁー、誘拐されるかと思いました……」
疲れ果てて目を回しているフェリス。
「フェリスは五十回くらい誘拐されかけてたわね……」
呆れるアリシア。
「次からお化け屋敷の前に『誘拐禁止』の貼り紙をしないといけませんわ!」
憤慨するジャネット。
「お化け屋敷なのか何なのか分からぬのう」
高みの見物を決め込んでいた黒雨の魔女レイン。
四人が賑やかに喋りながら教室を出ると、ロゼッタ姫が待っていた。
「皆さん、ご苦労さまです。可愛らしくてとっても素敵なお化け屋敷でした」
「ありがとございますーっ!」
姫様の笑顔に小躍りするフェリス。
可愛らしくて素敵なお化け屋敷とはいったいなんぞや! なんてことはあまり気にしていない。褒められるのは嬉しいのだ。
「お化け屋敷の他にも、いろいろと面白い出し物があるようです。わたくしとご一緒に回っていただけませんか?」
「もちろん、姫様のお伴をできるのは光栄です」
うなずくアリシア。
「行きましょー!」
フェリスがロゼッタ姫と手を繋ぎ、廊下を練り歩いた。
校舎の中はすっかりヴァルプルギスモードになっており、派手な飾り付けで普段の学校とはまったく違って見える。
辺りを行き交う人々も、生徒たちだけではなく、トレイユの街の住民や各地から集まった魔女など、実にバラエティ豊かだ。
校庭に出て屋台を眺めながら進んでいると、戦闘訓練場に人だかりができていた。
いつもは厳しい訓練が行われている場内、魔法結界に包まれた内部には、今夜は色とりどりの球体が浮かんでいる。
球体のサイズは、大人の両腕で抱えられるぐらい。地面にもたくさんの球体が敷き詰められている。
「これは……なんでしょう?」
首を傾げるロゼッタ姫。
「なんでしょう……?」
首を傾げるフェリス。
すると、戦闘訓練場の前からロッテ先生が近づいてきた。
「これはねー、先生と愉快な仲間たちが開発した、『ボールプール』なのです!」
えっへんと胸を張り、得意気である。
「ぼぉるぷぅる?」
きょとんとするフェリス。初めて耳にする単語だ。
「そ、ボールプール。あのボールに乗っかって、行きたい場所を念じると、ボールの念動魔術が発動して空を飛べるの! 下はふわふわだから落ちても痛くはないし、今日の戦闘訓練場の魔法結界は特別仕様でソフトにしてあるから、ぶつかっても大丈夫だよー!」
「でも……おねだんって、おたかいんですよね……?」
フェリスは心配した。




