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十歳の最強魔導師  作者: 天乃聖樹


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がんばるおばけ

 ミドルクラスAの教室をフルに使ったお化け屋敷。


 闇魔術によって光の遮断された暗闇で、フェリスはじっと待機する。アリシアと一緒にこしらえた衣装を身につけ、ロッテ先生にヴァルプルギス向けのメーキャップもしてもらって、準備は完璧だ。


『みんな、お客さんが来たわ。失礼のないように、でも満足していただけるよう、しっかり怖がらせてね』


 共鳴石という魔導具を通して、アリシアの指示がフェリスにも飛んでくる。


「がんばりますっ!」


 フェリスは元気にうなずくと、巨大キノコの陰に潜り込んだ。


 天井では黒雨の魔女レインが作ってくれたカースドアイテムが、禍々しいうなり声を漏らしながら飛び回っている。どこかで見たことのあるような姿のクマのヌイグルミも、レインに再び命を吹き込まれて迷宮をさまよっている。


 フェリスが隠れているところに、お客さんの靴音が近づいてきた。ロゼッタ姫である。フェリスは手の平を握り締め、全力でロゼッタ姫の前に飛び出す。


 大きな尻尾に、愛くるしい牙。


 ごつごつと鱗の表現されたスーツ。お腹側に描かれた骨。


 手足を覆う真っ赤なグローブと靴。


 ドラゴンの化け物になりきって両手を掲げ。


「が、がおー! おばけですよー!」


 精一杯の威嚇である。


 ぱちくりと、ロゼッタ姫が目を瞬いた。


「がおー! 燃やしちゃいますよー!」


 フェリスは一生懸命に怖い顔を作って、ロゼッタ姫にちょこまかと近づいてくる。とはいえ、生まれつきの顔がまったく怖くないので迫力がない。


 しかし、ロゼッタ姫は臣民への気遣いに満ちた王女だった。フェリスが怖がらせようと頑張っているのであれば、怖がってあげなければいけない。そう思った。


「きゃ――――――――――――――――!!」


 ロゼッタ姫は悲鳴を上げて駆け出す。あっという間にフェリスの視界の外へ消え去ってしまう。


 ――で、できましたっ!


 残されたフェリスは小躍りする。自分も少しはミドルクラスAのお役に立てるのかもしれないと思うと、嬉しくて仕方ない。


 ――でも、ロゼッタさんはちょっと怖がらせすぎちゃったかもです……。


 申し訳なくなり、次はもう少しソフトな感じで行くことにする。


 なんて方針を考えているうちに、新たなお客さんがフェリスの担当エリアに近づいてきた。お姉さんたち五人のグループだ。


 フェリスはいったん巨大キノコの陰に隠れ、それからさっきよりはゆっくりとキノコから出てくる。


「が、がお…………」


 猫のように前肢を持ち上げ、小首を傾げて、控えめに脅かしてみた。


 すると、お客のお姉さんたちは。


「え、なに?」「こんなちっちゃい子もいるんだー」「わー、かわいい!」


 大喜びである。


 こんなはずではなかったのに、と思うフェリス。


「がお! がおー!」


 もっと大きな声で脅かしてみる。


「がおとか言ってるー!」「えらーい!」「がんばってるー!」


 お姉さんたちはさらに大喜びである。


「あのあのっ、怖くないですか……? おばけなんですけど……」


 じわりと涙ぐむフェリス。(お客さんが)泣いちゃうぐらい怖いお化けになるつもりが、(自分が)泣いちゃうお化けになってしまっていた。


「かーわーいーいー!!」


 お姉さんたちは居ても立ってもいられず、フェリスを抱っこしてお化け屋敷を飛び出す。


「た、たすけてー」


「フェリスをどこに連れて行くんですの――――――――っ!?」


 ジャネットが慌てて持ち場を離れて追いかけた。

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