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十歳の最強魔導師  作者: 天乃聖樹


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123/196

賓客

 漆黒の空に花火が打ち上がり、華やかに編曲されたレクイエムの演奏と共に、ヴァルプルギスの夜が始まる。


 フェリス、アリシア、ジャネットの三人は、大勢のお客さんが行き交う校庭でチラシを配る。


「みなさーん、よろしくお願いしまーすっ!」


 頑張って大声で呼びかけるフェリス。


「ミドルクラスAの教室で、お化け屋敷をやっています。よかったら来てくださいね」


 にっこりと微笑んで家族連れにチラシを渡すアリシア。


「べ、別に来なくてもいいんですけどっ! ……とぃぅか、来ない方がよろしぃですゎ……」


 客の呼び込みをする気があるのかないのか分からないジャネット。


 お化け屋敷でキャストをするときほど本格的ではないが、可愛らしい吸血鬼の衣装に身を包んだフェリスたちに、外部からのお客さんは目を惹かれて立ち止まる。


「お、おねがいします……ちらし……ちらし要りませんか……?」


 ぷるぷる震えながらフェリスに宣伝の紙を差し出されると、断れる者などいない。瞬く間に何百枚と配ってしまい、三人は座り込んで一息つく。


「わたくしも、一枚いただいてよろしいですか?」


「……ふえ?」


 聞き慣れた声にフェリスが顔を上げると、そこにはロゼッタ姫がにこにこして立っていた。


「ロゼッタさん!? えっ、えっ!? どしたんですかあっ!?」


 跳び上がるフェリス。


「まさか……また王宮を抜け出して……」


 危惧するアリシア。


「大丈夫です。今回はきちんと陛下におねだりして、外出許可をもらって参りましたから。いわゆる視察という名目です」


 ロゼッタ姫の視線に釣られて三人が見れば、人混みの向こうから宮廷騎士の女性が必死の形相で走ってくる。


「姫えっ! 姫ええええっ! 勝手に遠くに行かないでください! 誘拐でもされたらどうするのですか!!」


「……ね?」


 ドヤ顔のロゼッタ姫。


「ね、と言われましても……」


 ジャネットは困る。


 外出許可を得ていても相変わらずやんちゃなお姫様である。


「でも、嬉しいですっ! わたし、ロゼッタさんに会いたかったですーっ!」


「わたくしもです。フェリスは今日も可愛らしいですね」


 フェリスとロゼッタ姫は手を取り合って再会を喜ぶ。


 そのかたわらでは、哀れな宮廷騎士がぜぇはぁと肩で息をしている。


「飲み物、ありますよ?」


「助かります……」


 アリシアが近くの露店からマンドラゴラジュースを持ってきて差し出すと、宮廷騎士は一気に飲み干して喉を潤した。


 ロゼッタ姫が校庭を見回す。


「それにしても賑やかですね。魔法の大祭ヴァルプルギスの夜、話には聞いていましたが、王都の祭典にも負けない盛況です。フェリスたちはお化け屋敷……というものをやるのですね」


 うなずくフェリス。


「はいっ。みんなで頑張って作りました! すごーく怖いんですよっ! わたしもお化けになってお客さんを怖がらせるんですっ!」


「まあ、フェリスがお化けに?」


「です! 泣いちゃうぐらい怖いお化けになります!」


「それは楽しみですね。わたくしも入ってよろしいですか?」


「大かんげーですー!」


 フェリスはロゼッタ姫と手を繋ぎ合い、ミドルクラスAの教室の方へと案内した。

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