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十歳の最強魔導師  作者: 天乃聖樹


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おばけあつめ

遅くなってしまって大変申し訳ありません。

仕事で修羅場っておりました(今も)

今日のうちにストック増やしておきますー><

 ロッテ先生が教卓に頬杖を突いて物思いに耽る。


「そっかー、今年はお化け屋敷かー。思い出すなぁ、学生の頃、イライザ先生と一緒に超本格的なお化け屋敷作って、お客さんたちを震え上がらせたときのこと。あのときはヴァルプルギスの夜の最恐賞を先生のクラスが……」


「大昔の話は後にしてくださいませんこと!?」


 一番恐れていた出し物に決定してしまい、ジャネットは涙目である。


「大昔じゃないよ、ついこのあいだだよ!」


 ロッテ先生は熱心に主張した。実際に何年前の話なのか数えたらお化け屋敷より怖くなるが、しかし、いつまでも気持ちだけはあの頃のままのはずだった。


「と、とにかく! お化け屋敷に決まったからには、最恐賞ぐらい獲れるよう頑張ること! 成績に関係ないからって、手抜きはダメだよー?」


「は、はい! がんばりますっ!!」


 フェリスはうなずく。びっくりするのはあまり得意ではないが、先生の言いつけは守らなければいけないと思う素直なフェリスだった。


----------------------------------------------------------------------


 女子寮の部屋に帰ったフェリスたちは、額を寄せ合って思案する。


「最恐賞……そう簡単には獲れないわよね。他のクラスも担任の意地がかかってるから本気を出してきそうだし……」


 教師たちは大抵が魔法学校の卒業生だから、学生時代の競争意識を残している者が多く、良きにつけ悪しきにつけ対抗しがちなのである。


 ジャネットは青い顔で縮こまる。


「そんな本気で賞を狙わなくて構いませんわ! 初心者にも優しい、明るく朗らかな雰囲気のお化け屋敷がいいですわ!」


「それはお化け屋敷ではないと思うわ。ジャネットったら、よっぽどお化けが苦手なのね」


「ににに苦手とは失礼ですわね! わたくしはまったく! 苦手などでは! ございませんわ! むしろお化けが大好物ですわ!」


「じゃあ最高に怖いお化け屋敷を作らないとね」


「え、ええ! 当然ですわあぅぅ…………」


 澄ました顔のアリシアにはめられ、ジャネットはうなだれる。


「魔女さんっ! お願いがあるんですけど!」


「なんじゃ」


 黒雨の魔女は我が物顔でフェリスの椅子にふんぞり返り、めんどくさそうに尋ねる。他の生徒たちの目がないので、黒猫から元の少女の姿に戻っている。


「魔女さんって、お化けを作るのが得意ですよね? もしよかったら、お化け屋敷に使えそうなお化けがほしいんですけど」


「む? カースドアイテムのことか?」


「はいっ!」


「それならわらわの瘴気でいくらでも作れるが……」


 ジャネットが跳び上がる。


「ちょっとフェリス!? なに考えてますの!? 魔法学校を潰すつもりですの!?」


「そうじゃないんですけど、黒雨の魔女さんに手伝ってもらえれば、すごいお化け屋敷ができるんじゃないかなぁって……。魔女さんのお化け、すごかったですし!」


 きらきらと、尊敬の視線をフェリスが黒雨の魔女に向ける。


「ま、まあ、そうじゃな。わらわはすごいのじゃ。ほれこの通り」


 黒雨の魔女が手近のランプに触れると、手の平から瘴気が溢れてランプに潜り込み、ランプにぎょろりと目玉が現れる。


「ジャックオーランタンですわ――――!!」


 ジャネットは机の下に転がり込んだ。避難訓練の成果が窺える速度だった。


「すごいですーっ!」


「こういうのもできるぞ」


 黒雨の魔女がヌイグルミに触れると、ヌイグルミは牙を剥いて暴れ出す。枕に触れると、枕に脚が生えて疾走し始める。

 次から次へとカースドアイテムをこしらえる魔女。あっという間にフェリスとアリシアの寝室は百鬼夜行、お化けの大パーティと化してしまう。


「これは夢……これは幻……わたくしは今、フェリスと一緒にふかふかのベッドで寝ているのですわ……うふふふふ……」


 ジャネットは机の下で目を閉じてぶつぶつつぶやいている。


 黒雨の魔女は肩をすくめる。


「まったく、魔女づかいの荒い……やはり女王はその姿でも女王というわけか」


「ありがとうございます、魔女さん! これならお化け屋敷も大成功ですっ!」


「みんなになんて説明したらいいかしら……」


 大喜びするフェリスのかたわらで、アリシアは頭をひねった。

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