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十歳の最強魔導師  作者: 天乃聖樹


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 バルフがフェリスたち少女を先導し、いったん採取場の建物から離れる。探求者たちに姿を見られないよう、召喚獣の二体は消えていた。


 大きな岩陰に隠された地下通路を抜けて、バルフは裏口からフェリスたちを採取場に招き入れる。中に控えていたガデル族の部隊は、フェリスたちを見て怪訝そうな顔をする。


「バルフ様……その子供たちは?」


「我らの賓客だ」


「バステナの民に見えますが……」


「いいから、従え。これより、フェリス様の命令は俺の命令にも優先するものと考えろ」


「は、はぁ……」


 戦士たちはきょとんとするが、長であるバルフに逆らうわけにはいかない。不思議に思いながらもフェリスたちの周囲を固め、手厚く守護する。ここまで対応が激変すると、フェリスも落ち着かない。


「ロバートさん、どこに捕まってるんでしょう……」


 バルフはうやうやしく答える。


「探求者たちが掻き集めた贄を集めているのは、儀式の間です。フェリス様が探している奴がいるかは分かりませんが……」


「贄……? なんのために集めているのかしら?」


 アリシアが首をひねった。


「魔力を抽出するため、だそうです。門を開くには膨大な魔力がいるとか、それが女王様に到達する唯一の手段だとか」


 バルフの説明に、ジャネットが目を見張る。


「女王って、フェリスのことですわよね……? 探求者たちの目的はフェリスのところに来ることなんですの!?」


「ふええええ!? き、来てほしくないですーっ!」


 フェリスは跳び上がった。


 やがて一行は、大きな広間へと出た。


 魔法学校の講堂の何倍もある、吹き抜けの空間。円形の床に巨大な魔法陣が描かれ、魔術の炎が揺らめいている。


 円の外縁には牢が並び、何百という人間、獣、魔物、不定形の異形の数々が封じ込められ、足や手を柵に縛り付けられていた。


 牢の床からは血の色の線が伸び、囚人の魔力を魔法陣へと吸い上げている。


 アリシアは呆然と立ち尽くした。


「これは……犠牲魔術……。お父様はどこに!?」


「俺たちも捜します。みんな、バステナの魔術師団長を見つけろ!」


 バルフが命じ、ガデル族の戦士たちが駆け出したとき。


「おやおや……裏切りとは……。まぁ、遅いか早いかの違いかな?」


 陰鬱な声が響き、ガデル族の戦士たちの肉体に奇妙な紋様が浮き出した。


 戦士たちは獣の姿に変貌しながら苦悶のうなり声を漏らし、自らの体を引き裂き、やがて倒れ込む。


「な、なんだ!?」


 驚くバルフの前に、ローブの魔術師が舞い降りた。


 探求者たち。アリシアやジャネットを魔法陣に誘って呑み込もうとした、悪辣な術師。


 バルフは術師を睨み据える。


「てめえが……やったのか……」


「いかにも。あなたたちに与えた魔導具、あれはトーテムの加護を与えるだけではなく、あなたたちを我らの奴隷にする術式も組み込まれているのです。いずれ殺そうとは思っていましたが、まぁ、これも定めというものでしょう」


「俺たちは同盟者じゃなかったのか」


「くく……ふふふふ……もちろん、同盟者ですとも。ですから、最後まで我々の役に立ってくださいな!」


 術師は両手に握った杖を振り上げた。

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