表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十歳の最強魔導師  作者: 天乃聖樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/196

斧と杖

 バルフの巨躯が宙を踊り、その豪腕がしなって、斧をフェリスへと叩きつけてくる。


「ダメですわーっ!」


「フェリスっ!!」


 ジャネットとアリシアは反射的にフェリスを抱き締めて飛び退く。


 だが、凶暴な斧から放たれる爆風がジャネットとアリシアを吹き飛ばし、その柔肌に裂傷を刻む。二人は地面を転がって身を裂かれながらも、必死にフェリスをかばって離さない。


「ア、アリシアさん……ジャネットさん……」


 自分を守るために傷ついた二人の姿、白い肌から流れる血を目にし、フェリスは震えた。


「……怪我はない?」


「は、はい……わたしは……」


 激痛に顔を歪めながらも気遣ってくれるアリシアに、胸が締めつけられるのを感じる。


 バルフが斧を真っ直ぐに少女たちへ向けた。


「これは、真実の女王の裁きだ。女王への反逆者は、世界から殲滅しなければならん」


「ゆるさ……ないです……」


 フェリスが小さくつぶやいた。


「はぁ?」


 バルフは尊大な眼でフェリスを見下ろす。


「女王さまは、偉いのかもしれないです、けど……こんなひどいことする権利は、ないと思います……アリシアさんのお父さんをさらったり、みんなを傷つけたり……ゆるさないです……」


「冒涜だ! 女王への冒涜だ! バステナの愚民の子供ごときが、女王の意思を批判するなんぞ!」


「知らないです、そんなこと! わたし、許さないですから――――――っ!!」


 突撃してくるバルフに、フェリスが両手を突き出した。


 その小さな手の平から、巨大な魔力の塊が撃ち出され、バルフの体を吹き飛ばす。


「かはっ……!?」


 バルフは宙を木っ端のように飛びながら、鍛え抜かれた肉体で体勢を整え直し、弓の弦を引き絞る。


 けれど、その毛むくじゃらの手が矢を放つことはない。


「頑迷なる宮殿よ、いと深き不動の大地よ、その勲を振りかざし、かの者を呑み込みたまえ――コモラ・プルガドール!!」


 フェリスの高速詠唱が、地面に鮮紅の魔法陣を描き出し、岩盤が突き出してバルフの体に叩きつける。


「ぐっ……」


 バルフは斧を振り下ろして岩盤を打ち砕くが、岩は次から次へと襲いかかり、彼の体を包み込んでいく。ぎゅうぎゅうと圧搾し、押し潰していく。


 甲高い金属音と共に、斧がへし折られた。


 バルフの口から血が垂れ、その体が地面にくずおれる。


 フェリスが手を下ろすと、バルフを覆っていた岩が消えていく。


「はあっ……はあっ……」


 フェリスは目に涙を滲ませ、肩で息をしながらバルフに歩み寄った。


「て……めえ……ナニモンだ……」


 地に這いつくばったバルフは、信じられない思いでフェリスを見上げる。


 すると、フェリスの左右に、二体の召喚獣が姿を現した。地獄の業火レヴィヤタン、妖艶な美女エウリュアレ。


「おやおや、何者かと問いますか……人間風情の哀れな下僕には、まともな目もついていないものと見える」


 レヴィヤタンは愉しそうに笑うが、その表情には壮絶な敵意が漂っている。


「女王様、コレは殺してしまいましょう。かような冒涜者、生かす意味はございません」


 エウリュアレが、鋭い爪の先をバルフの額へと伸ばす。


 バルフは目を見張った。頑強な戦士の肉体が、畏怖に震え出す。


「ま、まさか……その強大な魔導、その召喚獣……お前は……いや、貴女様は……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

コミカライズがスタートしました!
試し読み
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ