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88話 作戦会議

 俺にしがみついてぐずるマルクを抱っこしてあやしながら中庭を歩いているとやがてマルクは寝たようだった。


 教会の中に戻ると小さな子供達はみな寝始めているようで、大部屋2つで雑魚寝をしているようだった。

 アリサを見つけて横にマルクを寝かせた。



「ダンは?」



 近くにダンがいなかったので聞いてみた。

 ダンは男の子らと同じ部屋に泊まるとのことだった。

 教会では乳幼児と女の子が同部屋、それ以上の男の子はもうひとつの部屋と分かれているみたいだ。


 俺たち大人組は小さい部屋を2つ貸してもらえた。

 俺、ヨッシー、ユースケ、部長の男4人でひと部屋、あっちゃん、ユイちゃん、西野さん、新田さんの女性4人でもうひと部屋。


 大人が寝るにはまだ少し早い時間だ。さっきは食事で話が中断されたので今後の作戦会議を開こうと言うことになった。


 ザイアス司祭も交えて作戦会議をしようと思い、司祭の部屋を訪ねた。


 司祭はまだ執務室のようなところで仕事をしていた。そこにはシスター・ダイアンもいた。

 さほど広くもない執務室に俺たち含む10名が集まるとかなり狭くなったがしかたがない。



「今後の作戦会議だが」



 切り出した俺の顔をみな真剣な面差しで見上げて聞いていた。



「たぶん、明日か明後日にはギルドから何らかの指示があると思う。北西の草原を越えた林に、結構な数のゴブリンが沸いていたからな」


「北西の林、やはり近いですな」


「ゴブリン…」


「結構な数とは?」



 ザイアス司祭が神妙な面持ちで聞いてきた。



「林だけでおおよそ五百、その先の森にはもっといるかと」


「ご、ごひゃく…」



 ザイアス司祭とシスター・ダイアンはかなりの衝撃だったようだ。あっちゃん達にはその深刻さはイマイチ伝わっていないようだった。



「こういうモンスターの氾濫みたいな事って割とあることなんですか?」



 ザイアス司祭に聞いてみた。

 ザイアス司祭は真っ青な顔を引き攣らせて答えた。



「ある…と言えば、あるのでしょうが、この街の近くでは初めてです。いえ、私がこの街に赴任してきてからは初めてです。それ以前はどうなんでしょう。モンスターの氾濫は、村なら全滅、この程度の街でもかなりの被害、いえ、壊滅的な被害に……」


「この街の冒険者達が対応しても?」


「ええ、数が、多すぎます。50や100ならまだしも、500以上……」


「ふぅむ」


「おそらくギルドはもう王都へ支援の要請を出しているはずです。しかし、王都からこの街まで早馬で5日はかかります。王都で準備後出発したとしても7〜10日、間に合うかどうか」


「ゴブリンどもが林をいつ出るのか、どの方向へ向かうのか。その2点が問題だな」


「そうだな、この街とは反対の方へ行ってくれれば時間は稼げるんだが」


「あの林からこの街は近い。間違いなくこちらへ来るでしょう」


「司祭さま……」


「すると、問題は、“いつ” か」


「ヤツらがグズグズしててくれればいいが」


「10日ほどもたついてくれれば王都からの支援が間に合うでしょうが」



「時間との戦いか」

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