78話 ゴブリンの異常発生
さて、マップを確認した。
背の高い草が生えた草原を進んでいた時は自分の周りがしっかりと見えるようにマップは拡大照準にしていた。
林前に来て今度は広範囲が見えるように地図拡大に切り替えた。(もちろん手動でプインと指で摘んだ)
うわ、なんだ?
赤い点が林の中にボツボツボツボツ。
赤い点はだいたい3〜5個で固まって動いている。マップに映るんだから魔物だよな。
ゴブリン……だろうか?
東京都ドーム何個分かわからない広さの林の中に赤い点は結構いた。
ちなみに、ドームで広さを例えたが、「東京都ドーム◯個分」って、そもそもその例えが田舎者の俺にはイマイチわからんわ。
ドーム一個分の広さって広いの?狭いの?まず東京都ドームに行ったがことない。
日本人全員が東京都ドームの広さを理解してると思うなよ!
ここはあえて俺が知っいてる広さで例えさせてもらおう。(逆に)知らない人いたらスマン。
この林は、東京デスティニーランドとデスティニーシー(駐車場含む)の広さくらいかな?
ランドとシー(駐車場含む)の広さくらいの林の中に、いるわいるわ赤い点(たぶんゴブ)が転々と点々テンテンテンテンテン。
行ったことある人はランドのマップがあったらちょっと開いて見てくれ(って誰に向かって言ってるんだよ、俺……)
まず、ランド入り口のゲート辺りに3匹、5匹、5匹と3グループ。
ゲートをくぐったミッチーの花壇辺りに……6匹が3グループ。
ワールドバザー(お土産屋さんが並んでるアーケード)はグループがわからないくらいゴチャゴチャいるぞ。
その先、未来ランド、妖精ランド、冒険ランド、開拓ランド、他……あかんくらいいるな、赤い点。
ゴブリンさん、今日はデスティニーリゾート(林)に修学旅行ですか?
え?49歳のおじさんが何故デスティニーランドに詳しいのか?キモイ?ほっといてくれ。
地方に住んでいる者にとってデスティニーランドは死ぬまでに一度は行きたい場所ダントツナンバーワンだ。それは老若男女かかわらずだ!
ましてや首都圏に越してきたからには、行くしかない。行くだろう。オッサンだろうがボッチだろうが。
PCゲームから遠ざかってたここ10年は年間4〜5回は行ってたな。
で、目の前の赤い点が散らばったマップに話を戻すと、これ、どこから攻略すればよいのか、俺達4人じゃ無理じゃないか?
まぁ、せっかく来たし?
とりあえず、入場ゲートのやつだけでもやっとくか。
ランド(実際は見渡す限り樹々に囲まれた林)の入場ゲート辺り(ゲートなんて無いが)は、3、5、5、の3グループか。
ゲートの左から攻めようかな。
「俺が林に入ってゴブを引いてくるから、ここで待っていてくれ。メリーは俺が飛び出した場所を見てて。俺に続いてゴブが出たら、すぐに弓で射ってくれ」
「ゴ、ゴブ…はい」
「ヒューゴ達は後ろの草原を警戒しつつ、臨機応変な対応で」
「はい!」
「大丈夫ですか? カオさんひとりで」
「大丈夫だ。引くのは慣れているから」
「え? なれて・・・?」
「じゃ! 行ってくる」
3人をそこに残して林に突入した。
ゲームでも「引き役」はよくやっていたのだ。ウィズは前線で戦うのは無理。攻撃魔法もMPの関係で連続使用出来ない。
そうなるとパーティ狩りの時はせいぜい「引き役」くらいしか役に立つ場面がなかったのだ。
モンスターを置き去りにしないバツグンの逃げ足(の遅さ)だと、褒められているのか貶されているのかわからないが、結構重宝されていた。
ナイトもエルフもダークエルフも、皆、足が速いし攻撃速度も速い。
それに比べてウィズって……悲しいくらい足も攻撃も遅くヒョロヒョロの攻撃力に紙のような防御力。
しかもMPすぐに枯渇するし。あのゲームは本当にウィズに厳しいゲームだった。
ゲームでパーティ狩りをする時はたいてい俺が引いてみんなが倒すという手法を使っていた。
しかし、ここがもしある意味現実だとしたら、「引く」のも命がけだな。
追いつかれる=死、だもんな。
それとヒューゴ達3人はまだランクがDなので、あまり大量に引いても処理しきれないだろう。
とりあえずゲート左の3匹から引く事にした。
マップを見ながら静かに3匹に近づく。あまり音を立てるとランド中の修学旅行生が集合しちゃうから気をつけないとな。
目視で3匹を確認。やはりゴブリンだ。3匹の前に静かにすべり出た。
ゴブリンが俺を見てニヤリと笑った。俺を獲物と思ったのか。
「ゲギャ」
すかさず踵を返して走り出す。
ゴブリンをまかない程度のスピードでさっきの場所へ向かって走る。
林から飛び出す直前に声を出した。
「行くぞ! 3匹!」
間違えて俺が射られたら笑えんからね。3人が待っていた所に飛び出した。ゴブリン3匹も次々と飛び出す。
メリーが3匹を弓で射たが、1匹外した。
「ゴメンなさい! はずしたあ!」
「オッケー、大丈夫。一番後ろのやつ、バルトロ、ヒューゴ出来るか? 頼む。あと2匹は引いてるから! メリー、俺についてくるやつを弓で射って!」
そう言い、矢が刺さった2匹を杖で軽く殴ってこちらに注意を向けた。
2匹が俺を追い始めたのでメリー達の周りをグルグルと回った。
メリーは俺について走る2匹のうちの1匹の胸をうまく射抜いた。
バルトロとヒューゴも最後尾の1匹を倒したあと、俺を追いかけてくる最後の1匹を倒しにかかった。
「ふぅ、うまくいったわね」
「すごい! あっという間に3匹やったぜ」
「さっきのもいれれば6匹ですよ」
「まだまだいるからな。次引いてくるけど大丈夫か?」
「はい!」
「全然平気だぜ」
「んじゃ、引いてくる」
意外とこの世界でも“引き狩り”はありだな。




