60話 初クエストは街の中
ボードに貼られた依頼の中から出来そうなものをチョイスした。残念ながら5人で一緒に受けられる依頼は見つからなかった。
商家の荷運び:2名募集
引越しに伴う家屋の掃除:2名募集
食堂の手伝い:1名募集
無難なのはこんなところか。
5人で話し、食堂がユイちゃん。荷運びはヨッシーとユースケ。掃除がダンと俺で受ける事になった。
それぞれ依頼書を持って窓口へ行き、依頼先への行き方や注意事項などを聞いて向かう事になった。
俺とダンが向かったのは個人宅の引越しではなかった。結構大きな店舗プラス家屋で、持ち主が別の街へ移動したそうで、空になった後の敷地内の全ての掃除という依頼だった。
長く住んでいた様で建物はかなり汚れていて傷みもあり、不要な家具等も置き去りにされていた。
「これ、ふたりで掃除できるんか?」
「数日はかかりそうですね」
「だなぁ」
俺はポリポリと頭を掻きながら建物を見つめた。
依頼金額は時給や日給ではなく、依頼一件でいくらとなるので、達成に日にちがかかればかかるほど安価になってしまう。
今回の依頼は銀貨2枚。
1日で終われば、1日で銀貨2枚稼いだ事になるが、7日かかれば、7日で銀貨2枚かぁ。
「まあ、やるしかないか」
「はい」
元いた世界でも毎日山の様な雑務と仕事をこなしていたし、やってやれない事はない!よし!やるぞ!
あ、その前に。
「シールド!シールド!エンチャントアマ!エンチャントアマ!ヘイスト!ヘイスト!」
自分とダンに防御魔法と装備強化とスピードアップ魔法をかけた。
普通の服に装備強化が効くのかどうか不明だが、とりあえずかけた。
「え?」
ダンは自分が光った事に驚いた。
「ああ、防御魔法とかかけた。掃除中にケガしたら大変だからな」
「へええええ」
ダンは嬉しそうに自分の身体をペタペタ触っていた。
さて、掃除かぁ。
異世界転移モノの小説では、主人公は『クリーン魔法』とか持っていて一瞬で部屋や自分を綺麗にできる、とかなんだけど。
あいにく俺がやってたゲームにはそんな魔法は無かった。
したがって俺が持ってる魔法は攻撃、補助、回復など、戦いに特化したものだけなんだよな。
生活魔法とかあったらよかったのに。残念。(ショボン)なので、せめて補助魔法の中のシンプルなやつだけでも自分らにかけてみた。
さっそく掃除に取り掛かろうとしたが、掃除道具ってどこにあるんだ?
「掃除道具になりそうな物がありませんね」
そこらを見て回っていたダンも同じことを考えていたようだ。
あ、やまとからいただいてきた中に掃除道具がいろいろあったな。
雑巾とか、モップとか、バケツとか。掃除機は電気がないから無理として、使えそうなものをアイテムボックスからいくつか出した。
「エンチャントウエポン!」
掃除道具に武器強化魔法をかけておいた。ウエポンじゃないけどね。
いや、掃除夫にとってモップは武器だ!




