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SS④ マルクとヒマリの観察日記

 これはカオ達が異世界へ転移して8年目、マルクと陽葵ちゃんが魔法を覚えたての頃の話です。

(マルク:カオの養子 陽葵(ヒマリ):パラさんの四女)



-------(マルク視点、かっこ内はナレーター)-------



「ねぇねぇ、マルちゃん、私達もう10才の大人じゃない?」


「う、うん。ヒマちゃん」


「明日からこれをするべきだと思うの」



 ヒマちゃんから渡されたのは一冊の薄い本だ。

 お父さん達は『ノート』と呼んでんいる、中が真っ白の本だ。



「ヒマちゃん、これで何をするの?」


「ぎよーむにっちを書くのよ」



 ぎょーむにっち………。何だろう?



「何それ」


「ほら、マルちゃんのお父さんが毎日やってるじゃない、ギルドのゴルダおじさんとしてるやつ、アレよ!」



 ゴルダおじさんと?…………ああ!あれか。



「交換日記だよ? お父さんがゴルダのおじさんとやってるやつ」


(いや、違う)



「交換にっき? ジロおじさんは『ぎよーむにっき』って言ってたよ? カオおじさんが書いたのをジロおじさんが読んでからゴルダおじさんに渡すんだって」


(ジロおじさん:山川次郎、元部長。ゴルダおじさん:ギルド長)



「カオおじさんってすごいね」


「うん! ジロおじさんもゴルダおじさんも、父さんが書いた本が好きなんだ!」


(大きな勘違いである)



「僕たちも本を書くの?」


「そうよ! 魔法の本! 昨日ヒールとライトを覚えたじゃない?」


「うん」


「裏庭のお花に毎日ヒールとライトをして、お花が伸びていくのを本に書くの!」


「凄い! それ、イイね」


「お母さんが子供の頃もよく書いてたって言ってた!」


(それは夏休みの観察日記である。カオが山さん経由でゴルダに提出しているのは日誌である)



 僕とヒマちゃんはそれから毎日、お風呂と夕ご飯が済んだあとに裏庭の畑の花にライトとヒールをかけた。

 ヒマちゃんはにっち、にっき?に時々絵も入れている。


 父さんが書いている横で僕らも書き、一緒にジロおじさんに提出するのだ!



「毎日なんて書く事ないぞ……ブツブツ、たまには四コママンガでも描くか」



 父さんも時々、絵を描いてるみたいだ。


 ヒマちゃんは5日で飽きちゃったみたいだけど、僕は父さんと一緒に本を書くのが楽しいので続けている。



「偉いぞぉ。何でも続ける事が大事だからな。何も書く事がない時は

『昨日と同じ』でいいんだ。天気の話題でもいいな。『今日は良い天気だった』とか『雨だった』とかな」



 父さんは色んな事を教えてくれる。


『ノート』の右下に絵を描いてパラパラめくると絵が動くのとかも教えてくれた!


 やはり父さんは凄い魔法使いだ!



-------(山さん視点)-------



 カオくんから渡される業務日誌は、最早業務でも何でもない。


 日誌……とも違う、カオくんの日記のような感じだ。しかも最近は漫画も入っていて、それはそれで面白い。夏休みの子供の日記帳を見ているみたいで微笑ましい。


 僕は読むとすぐにギルドのゴルダくんへと渡している。


 僕やカオくんには解らないが、時々緊急の案件に発展しているそうだ。


 最近カオくんの養子のマルクくんも日記を書き始めた。マルクくんはカオくんにとても懐いていて、カオくんのやる事を真似るのが大好きみたいだ。


 今朝もカオくんとマルクくんの日記をゴルダくんへ届けて自宅へ戻ると、目を通したゴルダくんが慌てて追いかけてきた。



「ヤマカー、スマンが裏庭を見せてもらうぞ」



 そう言ってゴルダくんが店舗側から廊下を通り過ぎて裏庭へと走っていった。

 気になったので僕も追いかけた。


 ゴルダくんは裏庭の畑の前に立っていた。


 最近裏庭に来ていなかったから気がつかなかったが、畑がボワボワとボリューム満点になっていた。


 あ。大きいカボチャが。1mくらい?


 僕はカボチャのサイズに目を取られていたが、ゴルダは薬草を指差してこちらを振り返った。


 あれ?あの辺の薬草は地面から20cmくらいのはずだが、7〜80cmの高さに伸びて、花の下に実もなっている。



「おい、これ……」



 ゴルダくんの手にはマルクの日記帳が握られていた。





-------

追記(説明)

 ヒールとライト魔法を毎日当てた事で、植物の成長が著しく促された模様。そこで育てていた薬草は回復薬を作る植物。()は100年に一度成ると言われている。


 因みに、マルクの絵日記には草と実に名前が付けられていた。

『エリ草』『フジ実』と。恐らくカオの命名センスだ……。

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