204話 番外編ーファルビニアの戦い⑥
見えた。アレが闇の神殿か。
「神殿と呼ぶには小さいな」
「中は広いのかも知れない。しかしこれ以上は進めないぞ。アンデッドで地面が見えない」
それぐらい一帯がアンデッドで埋め尽くされている。
「神殿の中まではわかりませんが、外側はあの大きさです。カオるん、あの建物の周りをイラプションで掘れますか?」
「出来るが……もう少し近づかないと」
「MPは?」
青いバーを確認する。
「MAXだ」
俺とタウさんが話している間も皆は俺らの周りのアンデッドを倒し続ける。
「ファイアーストーム、いえ、ブリザで小者を一掃しましょう。カオるんはブリザ、続けてファイアストームをお願いします。カオるんが魔法を放ったら、残った雑魚は無視で神殿の近く、行けるとこまで突っ込みます」
「わかった」
「皆さん、手持ちのスクロールはありますか?」
「ある。あと少しだが」
「俺もだ」
「あります」
「あるよー」
「カオるん、神殿に近づいたら、あの扉、アンデッドが湧き出ている扉向かって『整理整頓』を打ってみてください」
「派遣魔法か、了解」
「では、まずはブリザとファイアストームを!」
タウさんの合図で俺は魔法を放った。
「ブリザアアアド! ファイアストオオオオオム!」
目の前の敵が一瞬、いや、二瞬か、で吹き飛び目の前が開けた。
「行きますよ!」
皆が、俺も、神殿へ向かって走り出す。
一掃された思ったアンデッドも神殿の扉から直ぐに溢れ出した。俺は目の前のタウさんの背中を見ながら走り続けた。
「カオるん、あそこに整理整頓を!」
「おう! 整理整頓!」
ん…、詠唱し辛いというか、伸ばせないな。「せいとん」って、何かストンと落ちた感じになった。せいとーんにすべきだったか?
「お! いいぞ」
「うわ、見てあれ、一列になってる」
「行列の出来る神殿w、お、アカンぞ、両脇からはみ出てきてる」
「せいりぃぃせいとーーーん、5列縦隊ぃぃぃ」
もう一度派遣魔法を被せて使った。しかも今度は5列の行列だ!
「ナイスです! カオるん」
「行列が出口を塞いでるから出てこれないぞ」
「パラさん、アネさん、ミレさん、ゆうご君、ここを任せます。行列を叩いてください。カンさん、リンさん、僕は、カオるん守りつつ神殿周りを移動!カオるんはイラプションで神殿を囲う様に堀を作ってください」
「わ、わかった」
「整理整頓は10分です。僕らは8分で戻ってきますよ」
「カオるん、青P飲んだ方がいいです」
カンさんに言われて慌てて青P(魔力回復薬)を飲んだ。
大きな魔法を連続で使用したからMPバーが半分に減っていた。このあともイラプションを連続使用するのだ。MP回復を待つ暇はない。
タウさんと走り出す。リンさんとカンさんはブリザで死なずに残ったアンデッドを倒してくれている。
俺はタウさんが指示を出した場所にイラプションを放つ。
イラプションは地割れを起こす魔法だ。しかも地割れの距離は100メートルくらい。
この神殿はさほど大きくないので、神殿をコの字に掘るのは楽勝だ。
長さ的には大した事はないが、深く掘る為に一箇所で4回ずつイラプションを放った。そして正面近くのパラさん達の所まで戻ってきた。
「タウさん、MPがあと20%も無い」
「わかりました。正面の扉にもう1発整理整頓を打てますか?」
「大丈夫だと思う」
「皆さん、今からカオるんがMP回復を行います。もう10分、行列を殲滅してください」
タウさんが皆に指示を出している間に前の整理整頓が切れて扉からアンデッドが沸き始めた。
すかさず『整理整頓』を放ち、それからMP回復速度上昇の『メディテーション』を発動させた。
青P、メディテ、マナクリスタル、ブラックエルダー変身と、通常の4倍速でのMP回復だ。
青いバーがグングンと伸びていくのが目の端に見えた。




