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200話 番外編ーファルビニアの戦い②

 タウさん達が王都から戻ってきた。


 どうやら王都ギルドでもファルビニアのアンデッド討伐の話が出たそうだ。



 ファルビニア国の南側に位置する3つの国、特にラッシルガル国は山脈に近い上にファルビニア国に接する部分が多い。

 ファルビニアから溢れたアンデッドはまずラッシルガルへと流れ込み始めた。


 ラッシルガルは民を南側へと逃がしつつ、同盟国でもあった隣国のカルーココとメサへ、ギルド経由での救援を要請した。


 しかし、カルーココやメサがそれに応えようと態勢を整えている間に、アンデッドは両国へも迫り、それぞれの南南東側の村へと入り始めてしまった。


 三国は沿岸のダルガ国へ救援要請を出し、ダルガ国は同盟関係であるエルアルシアへ協力要請を出すに至った。




 ギルドへと戻ったゴルダだったが、王都からの知らせを持ちやまと屋へと引き返してきた。


 ちなみに、今までの国内のギルド間は通信用魔道具を使い行っていた。だが、数十秒の使用しか出来ず、魔力充填に数日間を要した。


 しかし稀人の特性(稀人同士はフレンド登録をすれば連絡が可能)を理解した後、王都のギルドにて数名の稀人を職員として雇い、主要な街へ配置する事で連絡が容易くなったのだった。


 もちろんムゥナの街のギルドにも最近王都からひとり、転勤をしてきていた。




「おう、タウロも戻ったか。知っていると思うが王都のギルドから正式な強制依頼が出た」


「ええ、あちらで聞きました。強制依頼はSランクの冒険者並びに、職持ちの稀人です」


「ああ、ファルビニアでのアンデッド討伐が本格的に始まった場合、また山脈を越えてこちらに溢れる可能性がある。国は今回の討伐に騎士団は出せない。騎士団は山脈のこちら側で守りに就く。それとAランク以下の冒険者もだ。いざという時のために国に残ってもらう」


「ふむ、だけど、職持ち稀人って、山さんやキック達もか? あっちゃんはほとんど戦った事ないぞ? 赤ちゃんもいるし…」



 ゴルダが難しい顔になった。



「本来、強制依頼は、その資格を持つ者は例外なく依頼を受ける事になるのだが」


「大丈夫です。王都でその辺りは了解を得てきました。このムゥナの街からの依頼参加は、パラさん、リンさん、カオの3人だけです。山さん、キック、ナオリンはゴルダさんの下で今回は動いてください。リドル君とあつ子さんはやまと屋で待機、レモンさんも待機でお願いします」


「そっか。良かった」



 俺は胸を撫で下ろした。


 あっちゃんが職持ちとは言え、妊娠、出産、産後育児で戦う状態ではなかったのだ。

 それをいきなりアンデッドの氾濫現場に連れ出すとは、無理すぎる。



「遠征するのはSランク冒険者と、稀人でもある程度戦える人間です。王都でも、職持ちですが不参加を受理されている者はいます」


「王都も強制依頼は出したが、無駄に稀人を失いたくないのだろう」



 ゴルダがホッとしたように呟いた。


 まぁ、普通『強制依頼』と言ったら有無を言わさず強制なのだろうからな。だが、稀人は適材適所で使った方がお互いにお得だと気がついたか。


 もしうちの国にアンデッドが溢れているならそんな事も言っていられないのだろうが。



「王都のうちの血盟からは、僕とカンさん、アネ、ミレさん、ゆうご君の5人が参加します」


「出発は適宜と聞いたが、一旦王都へ集まるのか?」


「ええ。他の方達も準備がありますから。明日の正午に出発を予定しています」


「明日の昼に出発か……。ダルガに着くのに約10日。そこから三国へ。三国が持ち堪えてくれれば良いが」


「ダルガまで10日もかかるのか……」


「この国の沿岸の港から船で大陸をぐるりと回るからな」


「その辺は大丈夫です。実は少し前に僕とカンさんで船を利用してダルガ港までは行きました。今回王都のギルドから呼び出されたので戻りましたが、ダルガの街はブックマークをしているのでテレポートが可能です」


「でも、タウさんとカンさんだけ飛べても、俺たちが船で着くのに10日かかるぞ」


「大丈夫ですよ、カオるん。覚えてませんか? 血盟主の唯一の魔法、コールクラン。自分の元に血盟員を呼び出す魔法です」



 あ、そうだ、それがあったか。



「僕が飛んで、コールクランで皆さんを呼びますから、カオるんはそこをブックマークしてください。そしてこの国へ戻って冒険者や他の稀人をエリアテレポートで運んでいただけますか?」



 なるほど、それなら明日の午後には今回の参加者はダルガまで行ける。



「そこから先はブックマークはありませんので、私たちは足での移動になります。もっともあちらの状況にもよりますし、まずどの国へ進むのかはそこで指示があるようです」



 それからタウさんはおもむろにアイテムボックスから皮袋を取り出して中身をテーブルの上に出した。


 アクセサリー……、腕輪やイヤリングなどだ。これは、地下ダンジョンのデーモンのドロップだ。

 何でこれを今ここで?と疑問に思いつつタウさんを見た。



「ええ、これはデーモンのドロップです。僕らはそれぞれ自分専用の装備やアクセサリーを持っていますから、あまり必要ありませんし買取に出して分配するか悩んでいましたが、ちょうど良かったです」



 ちょうど良かった?何がだ?



「これらアクセサリーの効果です」



 そう言ってタウさんは紙を一枚テーブルに置いた。


----------

剛腕の腕輪[攻撃力アップ]2個

俊足のアンクレット[攻撃速度アップ]

清らかな息吹のネックレス[浄化]2個

静かなる眠りを誘うブローチ[スリープ]2個

穢れなき守りのイヤリング[祝福]12個

----------



「結構良い付与がついていますね。特にネックレスとイヤリング。ネックレスには、付けた者を中心に一定の範囲が浄化されます。それほど広い範囲ではありませんが、対アンデッド戦には役立ちます。それと穢れなき守りのイヤリングは『祝福』が使えます。祝福はWIZの魔法のブレス系エンチャントと似ていますね。自分や仲間にかければブレスエンチャントに、敵に放てばヒールのようなダメージを与えます。これらは今回のアンデッド討伐で使えます。死霊の森の地下ダンジョンだからアンデッドに有効なドロップが出たのですね。ラッキーですよ」


「イヤリング12個……そんなにあったか?」


「ええ、最初の時は、腕輪、ネックレス、イヤリング4つ。ゴルダさんを連れて行った時に、ネックレス、ブローチ、イヤリング4つ。山さん連れて行った時に、腕輪、アンクレット、ブローチ、イヤリングが4つ出ました」


「毎回、イヤリングは4つ出てるのか」


「そうですね。それ以外はランダム……なんでしょうね」



 俺たちにはダンジョンのドロップよりもB2のショップの方が何十倍も有難かったので、その存在をすっかり忘れていた。



「それでですね、今からデーモン退治に行きましょう。転移のメダルがあるのでダンジョンの1Fのセーフティゾーンに飛べますし、ボスは、確か即復活でしたよね? デーモンを出来る限り倒して皮袋をいただきます。僕、カンさん、パラさん、アネ、カオるん、ミレさん、リンさん、ゆうご君の8人でパーティを組みデーモンを倒します」


「オケ」

「わかったー」

「おう」


「用意が出来たら飛びますよ? という訳で、ゴルダさん失礼します」


「ああ、すまない。頼む」



 ゴルダには詳しく説明をしなくても理解出来たようだ。


 俺たちは今から死霊の森地下ダンジョンのボス、デーモンを倒してドロップをもらう。

 デーモンのドロップはアンデッド対策の付与が付いたアクセサリーが複数入った皮袋だ。


 タウさんは、恐らく、そのアクセサリーを今回のアンデッド討伐の冒険者や稀人に配るのだろう。



 俺も出来る事は無いかと考えて、対アンデッド戦用の魔法スクロールを作る事を思いついた。


 だが、時間がない。これからデーモン退治だ。


 なのでレモンさんと山さんには神殿の女神像でブランクスクロールの作成をお願いした。

 ダンジョンから戻ったら寝ずにブランクスクロールへ魔法つめの作業になりそうだ。


 あ、待てよ、ゴンザに頼もう。実は王都であの後、ゴンザレスを捜してフレンド登録をしたんだ。


 俺はゴンザレスに念話を送り、タウさんに断ってからテレポートで王都へ行き、ゴンザレスに会った。


 スクロールショップ『ゴンザエモン』で作れれば簡単だったのだが、ゴンザの店ではブランクスクロールの作成は出来ないそうだ。


 A4コピー用紙を一箱ゴンザレスに渡して、王都の女神像でブランクスクロールを作成してもらい、ついでにアンデッド対策の魔法を詰める作業もお願いした。


 ゴンザも明日の作戦には参加するそうだが快く引き受けてくれた。

知り合いにもWIZがいるそうで、今夜は仲間と頑張ってくれるそうだ。


 ついでにバナナも差し入れをしておいた。

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