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174話 いよいよ解禁

 その日の夕方教会に行った。


 4名の通いのバイトの子供は直ぐに決まった。

 それからゴルダ案件にしようと思った追加の住み込み職員だが、何と教会の伝手で紹介をしてもらえたのだ。


 教会の10歳前後の子供達をうちに寄越してもらってたので、教会では幼い子の面倒を見るために、ここ数年の間に教会を出てスラムで暮らしている少年少女を教会に呼び戻したらしい。

 冒険者の道に進まなかった(進めなかった)子達らしい。


 教会の乳幼児の世話以外にも中庭の管理等もお願いしているそうだ。

 なので人となりはよく知っているので大丈夫と太鼓判を押してくれた。


 弁当を運べる力のありそうな少年ふたりと家事や料理が(それなりだが)得意そうな少女が3人。

 またしても教会からいっきに5人も引き抜いて大丈夫なのかと聞いたら、また探してくるので大丈夫との事だ。


 彼ら彼女らは13〜15歳で、ダンやアリサから見たら少しだけお兄さんお姉さんだ。

 3階の部屋を使用しようとしたが、ふたりの少年はロム達の部屋で良いと言った。


 一部屋に6人(ダンを入れると7人)だが、全然問題ないそうだ。

 3人の少女はキール達の部屋へ入った。こちらも6人(アリサを入れると7人)だが、全く問題ないそうだ。




 ギルドから知らせが来た。


 いよいよダンジョンがオープンになるそうだ。

 俺は初日のみ、ダンジョンの入り口で辻シールドを行う事にした。


 街から出ているダンジョン行きの馬車は、1日1回。朝の6時発だ。

 死霊の森のアンデッドタイムを考慮するとその時間になる。


 朝6時のダンジョン行き馬車は、街から『死霊の森入口』経由、『ダンジョン』入口までいっきに進む。トイレ休憩無しだ。

 ダンジョンへは10時すぎ頃に到着予定。ダンジョン泊した冒険者を拾って街へと戻って来る。



 冒険者はまず22Fで地図を貰い進んでいく。地図は無料だ。


 22Fは魔物が出ないし、外からも入ってこないという事で完全にセーフティゾーンと似た扱いになっていた。


 セーフティゾーンと異なるのは、30F、39Fのセーフティゾーンはだだっ広い場所であったが、22Fは細長い道がグネグネと続く。

 その道沿いに、トイレ、簡易寝袋、食事処、馬車待合椅子などが設置されていた。武器防具の簡易修理もある。


 俺は初日に『ダンジョンオープン記念シールド』と貼り紙をして、ギルド員が入塔受付をして地図を渡した冒険者にシールドをかけた。



「いってらっしゃい、気をつけて。シールド!」


「いってらっしゃい! シールド!」


「おう!すまないな」


「地図があるのはありがたいな」


「ん? 23Fはスライムだけ?」


「スライムだけなのか? では24に行くか」


「24はゴブリンだけで、何も落とさないらしいぞ」


「地図に魔物の種類に何を落とすかまで書いてあるのか、便利だな。どうする? もっと上に行くか?」


「いや、一応ゴブリンを倒しながら慣らして行こうぜ」


「帰りにスライムを取ってくるか」


「スライム専用の網と袋も無料で貸し出していまーす」


「スライムはここで買取をしてもらえるのか?俺たち数日は篭るつもりだ。狩ったスライムを持ち歩くのは邪魔になる」


「大丈夫ですよーここで買取しています」


「25はオークか。オークなら楽勝か。その上がノールン……28がオウルベア。このあたりが限度か?」


「無理せず、今回は25、26、27を回ろうぜ。で帰る前に23でスライムを狩る」



 初日からダンジョンは冒険者でにぎわっていた。


 送迎馬車無料、地図あり(しかも無料)のダンジョンなぞ珍しいそうだ。


 街の高ランク(A〜C)の冒険者が結構来ていた。星影の連中はギルドの指名依頼できていた。

 何かあった時にすぐに駆けつけられるように23〜28をぶらついているそうだ。



 初日は無料でシールドをかけたが、翌日以降もやらないかとゴルダから声をかけられた。もちろんシールドの料金は払うと言われた。

 しかし、俺はお金をとってまでシールドをかけたくなかったので断った。


 ゲームの時の『辻ヒーラー』の矜持とでも言おうか、お金を貰うとしたらもっと自信を持って貰えるモノでもらいたい。

 その話をしたら、ダンジョン行き馬車の出発時刻(6時)に南門に毎日来てくれないかと相談された。


 仲間に相談したところ「カオさんが大変でなければ」と言って貰えたので、6時に南門へ弁当を持って売りにいった。

 ダンジョンへ行く者で弁当を買ってくれた者にシールドをかけた。


 ダンジョン行き馬車が出発後、また西門に戻って弁当の販売を続けるというのが俺の日常になった。




 ダンジョンは順調に冒険者達で混み合っているそうだ。順調に混み合うと言う言い方も変か。

 今のところ大した怪我人もなく、皆ダンジョンを謳歌しているようだ。


 しかし、やはり28Fのストーンゴーレムで難儀しているようだ。

 地図には武器破損の注意も載せたのだが、やはり剣を折られて戻る冒険者もチラホラといたようだ。そんな冒険者には教会の女神像を薦めているそうだ。


 俺が持ってるダマ剣は数が少ないのでギルドに卸してはいない。だが何と、王都からダマスカス剣が送られてくる手筈になっているとゴルダから聞いた。さすがだな、ゴルダ。



 そして相変わらず24Fのゴブリンフロアは不人気のようだ。

 25F以上に行く冒険者がランクA〜Cなのを見て、ギルドではランクD冒険者のためのイベントの開催に踏み切った。


 まずは23Fの『スライム捕獲祭り』だ。


 参加条件は冒険者ランクがDである事。スライム捕獲用の網と袋はギルドから貸し出される。ソロでもパーティでも参加可能だ。

 獲れたスライムの容量で順位を競う。パーティの場合は容量を人数割りだ。


 もちろん要所要所にギルド員が立っているので何かあっても直ぐに駆けつけられる。


 スライムは容量を量った後、ギルドが買い取る。賞金は1位:銀貨5枚、2位:銀貨3枚、3位:銀貨1枚だ。

 参加賞としてやまと屋の弁当とシールド券が贈られる。(もちろんギルドによる購入分)。


 うちからはダンとロムが参加した。本当はヨッシーやユースケも参加をしたがったが、集合場所に集まった若い面々を見て、諦めたそうだ。



「今度、俺たちで獲りに来ようぜ!」


「うちのトイレにも必要ですよ」



 ダンとロムは頑張ったのだが、残念ながら3位内には入れなかったそうだ。でも楽しかったと言っていた。



 それから次に開催されたのが24Fでの『ゴブリン訓練』だ。これも参加条件はランクDだ。


 ランクDにとって初めての強敵となるゴブリンに慣れさせるという目的で開かれた訓練だ。

 教官役の冒険者によってパーティでの役割、ソロの時はなど色々と教わる。


 この『ゴブリン訓練』は今回7日間、参加者を7グループに分けて行われた。


 今後は月イチでギルド主催で続けていくらしい。参加費無料の1日訓練だが、最後に23Fを通る際にスライムを獲り、22Fで売って帰れるという、低ランクにはおいしい訓練イベントだった。


 ダンとロムも参加したがったが、まだ早いと判断して今回は見送らせた。

 もっと街の外で獣とかの狩り経験してからの方が良い。自分を含めてだが。


 そう、竜の慟哭の子らは参加したそうだ。

 今回の『訓練イベント』はひとり1回までだが、次回からは空きがあれば参加可能らしいので、もっと参加しようと話しているらしい。


 イベントとは別に、一緒にダンジョンに行きましょうと誘われている。その時はダンとロムも連れていくか。


 ダンジョンの24Fは、魔物は何も落とさないが外での狩りがかなりらくになっている事に気がつく者が増えていく。


 この世界、経験値のような数字的なモノは無いが、明らかに何かがプラスされるようだ。

 ずっと後になるが、それに気がついたギルドは24Fでの訓練を推奨するようになった。

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