165話 39F、そうだよね
『38F』のマップも網羅し、地図作成も終わった。
もし、このダンジョンが転移してきたやまと商事ビルと同じ階数なら、残すはあと2階、39Fと40Fだ。
ゴルダを先頭に階段に並び、ゴルダが『39F』の扉を開けるのを待った。
『39F』は、セーフティゾーンだった。
開いた扉の中は広い空間と真ん中あたりに泉、そう、『30F』と全く同じ作りのフロアだ。
「助かった……安全域か」
ゴルダが大きく息を吐いた。
ゾロゾロとゴルダに続いてフロアに入っていき、皆もその場に座り込んだ。
良かったよ、39Fがセーフティゾーンで。もしここも普通にモンスターがいるフロアだったらと思うとゾッとする。
今朝、30Fのセーフティゾーンを出てからここまで戦いづくめで、ラスト、40Fのボス戦とか無理だから。体力的にも気力的にも絶対無理だ。
ゲームならパソコンの前に座ってるだけだから平気だろうが、現実には歩きづくめで体力ボロくそに削られているからな。
富士山に登って山頂でボス戦、みたいな感じだ。こんなにくたくたでボス戦に臨んだら確実に死ぬな。
疲れた、本当にもう無理。
ゴルダと星影は一応このフロアを確認していた。プロフェッショナルだなと感心する。
ザッと確認を終えたゴルダ達が戻って来たので、俺らはアイテムボックスから野営の道具を出した。
当然だが今夜はここで野営だ。体力を復活させて明日、『40F』に突入するらしい。
とにかく今夜はさっさと夕飯を食って就寝する様に言われた。
「ゴルダ、夜警の交代はどうするの?」
リザイアがは弓の整備をしながらゴルダに聞いた。
「そうだな。ここはおそらく30F同様、安全域だと思う。そして40Fは間違いなくボスだろう。明日の戦いのためにも出来れば全員の体力を復活させておきたい」
「見張りを立てずに全員で休むのか?」
「それは……危険じゃないか」
「うむ、どうしたもんか」
万が一を考えての見張りをどうするのかって事か。
あ、それなら……。
「俺、キングさんを出しておくから、全員一緒に休んでも大丈夫だと思うぞ」
「あ、でも……夜中にサモンが終了に…なりませんか」
キックの心配ももっともだ。
「そうだな、スマホのアラームをセットして、その時にサモンを新しいのに交代させておく」
「あ、なるほど…」
それから皆んなで食事を摂った。
ゴルダ達は武器や装備の点検、山さん達は地図の清書やお互いに照らし合わせをしていた。
絵画センスの無い俺は山さんチームに入れずに手持ち無沙汰だったので、ダンジョンの各階のモンスターやドロップの表を作成した。
1階 『22F』モンスターなし ドロップなし ※ただの通路?
2階 『23F』スライム ドロップなし ※踏まなければOK
3階 『24F』ゴブリン ドロップなし ※ケチ
4階 『25F』オーク 豚肉 ※美味しそう
5階 『26F』ノールン 果物 ※美味しそう
6階 『27F』オウルベア ハチミツ、毛皮 ※美味しそう
7階 『28F』ゴーレム 石 ※堅い!剣の人注意
8階 『29F』ジャイアントスパイダー 魔石 ※ヒャッホウ!
9階 『30F』★セーフティゾーン ※たぶん安全
10階 『31F』ライカンスロープ 牙、爪、毛皮 ※んー
11階 『32F』タートルドラゴン 亀肉、甲羅 ※堅い!
12階 『33F』アリゲーター 鰐肉、鰐皮 ※結構速い
13階 『34F』ラミア 蛇肉、蛇皮、牙 ※上半身見てると危険
14階 『35F』スコーピオン 蠍肉、毒の尾 ※怖い
15階 『36F』オーガ オガ肉、オーガの血 ※ヒャッホウ血くれ
16階 『37F』コカトリス 鶏肉、嘴、鶏冠 ※鶏肉!石化注意
17階 『38F』グリフォン 鶏肉、牙、爪、羽 ※鶏肉!
18階 『39F』★セーフティゾーン ※恐らくボス前?
19階 『40F』未定……
ふむふむ、一覧表にするとわかりやすいな。
俺はテントの中でゴロンと横になって作った一覧を見ていた。
このダンジョン、結構食材が出るので弁当屋としては嬉しいな。
ゲテモノ肉や謎肉はともかくとして、豚肉と鶏肉は嬉しい。……ん?牛肉は無いのか?牛肉を出しそうな牛っぽいモンスターって何だろ?
ミノタウロス…とかか。強そうだな。うん。牛肉は街の店で普通の牛の肉を買おう。
果物やハチミツも地味に、いや、派手に嬉しいぞ。あと俺にとって1番嬉しいのは『29F』の魔石だ。しかし、実質9階かぁ。登るの面倒だな。
ダンジョンはテレポートのブックマークが出来ないのが難点だな。
亀肉や鰐肉などの謎肉も一度は食べてみた方が良いのだろうか?日本でも猪肉や鹿肉はジビエとか言って流行ってたな。
いや、俺は食べた事ないけど。結構値段が高かったから貧乏人には敷居も高かった。亀、鰐も食べたら案外美味いのかもしれん。
しかし、サソリはなぁ、食べる気がせん。待て、もしかして、カニっぽいとかあるかもしれん。
サソリのあの毒の尻尾を除けば、ほぼザリガニだ。エビやカニのような甲殻類っぽいよな。茹でたら美味そ…
「うるせぇぞ」
「早く寝ろ」
「メシ食ったのに腹がすくだろが!」
「カオくん、独り言大きすぎる」
「カオさん、寝言は寝て言え」
ラルフ、ゴルダ、フィル、山さん、ナオリンに怒られた。特にナオリン、容赦ねぇ。




