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131話 お店の計画

 俺たちは、抱えていた面倒ごとがなくなったおかげで今度こそ新しい家で新しい出発をおくる事が出来た。


 ゴルダが帰ったあとそのままリビングで会議を開く事にした。



「ええと、第二回やまと屋会議を開催します」



 ゴルダがいた方を向いて座っていた皆んなは俺の方に向き座り直した。



「あ、今後の事?」



 あっちゃんは相変わらず察しがいいな。



「そう。ようやく落ち着きそうだから、以前に話題に出した店の事を少し詰めて話さないか?」


「店をやるって話か」


「何のお店をやるんですか?」


「カオくん、何か案がありそうだね」



 山さんは本当に鋭いな。山さんの顔が少しワクワクしているように見える。



「店を始めるにあたって、まず、①俺たちにも出来る商売、②この街の商売に出来るだけかぶらない事。この2点を踏まえて考えたいんだよな」


「なるほど、自分らに出来る商売……」


「事務……は商売にならないかぁ。自分に出来る事って何だろ?」


「②の被らないってのはどうしてです?」


「ああ、うん。たとえば食事処みたいなものは、大通り沿いにもたくさんあるだろ? それに宿屋でも食堂を併設してる。あと市場は屋台も多いしどこでも食べられる。新たに食堂をやるとしたらよっぽど特化したメニューでもない限りすぐに潰れるよ」


「確かに〜。この街、美味しいモノたくさんあるもんね」


「なるほどねぇ。食堂あたりが一番始めやすいと思ったけど意外と難しいですね」


「でも他に俺らが出来る事って何だ?」


「出来る事を探すのは意外と骨がおれるから、まず出来ない事をあげてはどうかな?」



 お、さすが山さん。部を仕切っていただけある。



「出来ない事……製造業的な事かな? 開拓村の手伝いをした時に思ったんですが、家を建てる建設業とか家具を作る製造業とか、知識も経験もない僕らには厳しいですよね」


「そうだな。誰かの下で言われた事のみしか出来ないんじゃ、自分達の商売にはならない」


「大工や家具屋は無理っと」



 ユイちゃんが部屋の壁沿いに置いてあったホワイトボードを近くに引いてきて皆んなの意見を書き始めた。



「人材派遣はなしだな。ギルドがあるからな」


「基本、この家の店舗部分で出来る仕事ってのが大前提だからな」


「接待業もなしですね」


「この家の店舗で夜の接待とか! 絶対禁止!!!」


「子供達がいるんですからね!」



 あっちゃんとユイちゃんが目を三角にして俺らを睨んだ。

 か、かしこまりました。(汗)



「飲食、製造、接待あたりは無理と」



 ユイちゃんがホワイトボードに書き足す。皆がうんうんと唸りながら考えている。



「あとはぁ……販売業?」


「そうですね。販売員なら出来ます」


「あと、売り上げ計算とかも出来る」


「仕事的に販売業は可能かぁ」


「この店も元は商人が住んでたって言ってたから、店舗は商売向けだよな」


「じゃあ販売系で話進めようか」


「すると次の問題は何を販売するかですね」



 ユースケも察しがいい。本当に良い仲間が集まったな。



「販売するモノも市場と被らない方がいいよな?」


「そうですね、結局売れないと商売にならないですから」


「でも、市場って何でも売ってるよね?」


「というか、俺達にはまだ仕入れ先もないから、その辺も視野に入れて売るモノを考えよう」


「自分達で作るモノ?」


「自分で作る物って何だろ? 編み物とかビーズアクセサリーとか」


「コケシ…いや、彫った事なかった」


「考えてみると意外と無いんですね。自分で作れる物って」


「バスケとかサーフィンとか、クソの役にも立たねえ趣味だけだよ俺なんてさ」



 皆んながああでもないこうでもないと頭を抱えてた。



「カノくん、何か案があるんじゃない?」



 山さん、ホントに侮れない。



「ざっくりとした案なんだが、弁当屋」


「弁当屋?」



 この街で店をやろうかと考えていた時に思い浮かんだのが、弁当屋だった。



「この世界ってさ、元の、日本みたいに朝昼晩キチンと三食摂るっていう習慣はないみたいだろ?朝は食わないでそのまま仕事をして、腹が空いたら近場で済ます。市場が近ければそこで、食堂や宿屋があればそこで。街の外に狩り行く時も固いパンか干し肉のように手軽に齧れるもので済ます」


「うん。だからこの家で皆んなで一緒に朝ご飯にした時、子供達驚いてたね」


「夜も、家族持ちは家で夕飯だが、冒険者や独り者は大体酒とツマミみたいなもんだ」


「あ、それは日本でも似た感じ」


「……新橋のオヤジ飲み街」


「馬車の練習に行った時に弁当を持っていっただろ?あの時の子供達の反応を見て、イケるんじゃないかって確信した」


「ああ、子供達大喜びしてたね」



「店舗で弁当販売するって事?ほっかもったとかオリジム弁当みたいな感じかな」


「うん、まぁ…店舗でも多少は販売するけど。考えていたのは、実は、売りに出たいんだよ」


「売りに出る?」


「そう、例えばこの街の門の前。冒険者が狩りや移動する時に西門や南門を多く使うから、その門の所で弁当を販売する、とか、あとは朝のギルド内での販売。どっちにしてもギルドの許可とかは必要となるけどな」


「なるほど。昔の駅弁のような感じか」


「そそそ! あっちゃんやユイちゃんみたいな若い子は知らないだろうけど、昔は駅のホームで弁当屋が売り歩いてた時期があるんだよ」


「え、うそ、なにそれ便利〜」


「あとは、作業場のような場所に昼頃売りに行ってもいいな」


「え?じゃあこの家にお店は必要なくない?」


「そうだな。まぁ、リピーターがここまで買いに来た用に少量を店舗販売してもいいかな」


「ギルドの依頼掲示板に今週の弁当メニューとか貼らせてもらうのもいいですね」


「あ、それいい!」


「じゃあ弁当屋の方向でもう少し話を進めていいか?」


「オッケー」

「はーい」

「いいぞぉ」

「おお」

「ええ」



 弁当屋の案は皆んなからの了承を得れたようだ。



「最初のうちは利益度外視で、お試しで少量で始めよう」


「そうですね。新規顧客をどのくらい掴めるかわからないですからね」


「どんなお弁当にするんですか?」


「日本で売ってたような豪華なのはちょっと無理だな」


「あと腐りやすいものもダメですね」


「おつゆとかが溢れるのもNGじゃない?」


「無難なのはパンに具を挟んだサンドイッチか、パンとおかずの組み合わせかな」


「パンも種類がいろいろあったよ? どれがいいんだろう」



 結局、ギルドの仕事を受けるのはしばしストップして、皆んなで手分けして市場やお店でパンや具材を買ってきて研究する事にした。



 大人組は弁当開発に、子供らには家事をお願いした。

 子供達にも街中での買い物を手伝ってもらった。試食は教会の子供達にも助けてもらった。


 最初は自分達で味見をしていたが満腹になりすぎて味がわからなくなってしまったのだ。




 ちなみに、第二回やまと屋会議を開いた午後、ゴルダに連れられてワイズさんがやってきた。


 トリューの代わりに夜間警備をしてくれる人だ。

 ワイズさんは皆んなに軽く挨拶をした後、夜に備えてさっそく個室に寝に行った。



 ゴルダに弁当屋の話をするとギルドの掲示板の件もアッサリとOKしてくれた。

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