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130話 末路

「今この街にいる稀人はお前ら以外だと……21人か」



 さすがだな、ゴルダ。俺たち稀人を把握してるのか。

 土屋らが6人、どこで何してるのかわからん上戸ら3人、元開拓村の中野ら10人、それと男性の渡辺さんと大山さんで、計21人だ。



「でだな、最近ここに昼夜現れて騒いでいたやつらだが、捕まった」



 えっ?捕まった?何で?どこで?誰に?


 俺たちは全員目が点になった。



「今朝、早朝に市場で盗みをはたらいて捕まった。いくつかの店で、並んでた食いもんを盗んで逃げたが、すぐに捕まって警邏に突き出された。どうも以前から盗みをしていたようで、店のやつらもお互いに情報を流して警戒していたそうだ。今までギルドの依頼の失敗を大目に見てきた事もあり、今回は見逃しは無し、という事になった」



 今までは「稀人」という事でかなり大目に見てもらってきたはずだ。

 今回見逃しなし、とはどういう事だろう?



「……と言うと?」



 俺が口にしようとした事を山さんが先に言った。



「奴隷落ち、だな」



 奴隷……落ち。

 奴隷いるんだ?この世界。


 いや、ラノベではありがちだけどな。で、主人公が買う奴隷は美少女だったりが定番だ。


 土屋のような性格の捻じ曲がった高齢者の奴隷は、間違っても買わない。俺なら絶対買わない。奴隷商の人、買わされたんだ…土屋達を。



「そう…か」

「自業自得ですよ」

「自己責任だよな」



 奴隷などいない国から来た俺たちだから一瞬言葉を失ったが、本当にその通りだと思う。

 自業自得。まさにこの一言につきる。



「捕まったのは何人でしょう?」


「6人だ」



 と言う事は土屋達のグループ全員か。



「それから、その6人とは別個で、9人が鉱山送りになった。ギルドの依頼を立て続けに3回失敗、しかも報告せずにいた。依頼人からの訴えで捕らえる事となった」


「9人!」

「誰だ?」

「元開拓村組なら10人…誰がいないんだろ?」


「あぁと、ミヨシ、は入ってない」


「じゃあ小川さん中野さんと1係の7人か」

「三好さん、元開拓村の人とは別行動だったんだ?」

「あの子ホント抜け目ないなぁ」

「鉱山送りを免れたって事だろ?運いいよなぁ」


「いや、そうでもない。運が良いとは言えないさ。ミヨシは死んだぞ」


「「「「「「え?」」」」」」



 どう言う事だ?三好今日香が死んだ?



「ミヨシ、イイボシ、カミシマ、ウエトの4人は死んだ。隣街へ移動する冒険者達について行ってオオカミに襲われたそうだ。他の冒険者が通りがかった時には食い荒らされた状態だった」



 ゴブリンの氾濫中に村を脱走したやつらが51人も死んだのに、懲りずにまた外に出たのか。


 開拓村組ではなかった飯星たちも51人の事は聞いたはずだ。

 しかも三好は脱走こそしなかった(置いて行かれた)が、外の危険は十分承知していたはず。何故そんな危険をおかしたんだ?



「他の冒険者にくっついて行けば安全だと思ったらしい。だが冒険者に比べてそもそも体力も劣っていたため、あっという間に置いて行かれたみたいだな。武器も装備もない者だ。いくら街道とは言え、魔物か獣に襲われるのは普通にある。獣も強い人間より弱い人間を襲うだろうさ」



 そういう事か。三好らはやまとの事務室に戻るつもりだったんだろう。ただ自分達だけだと襲われても勝てない。

 だから強そうな冒険者の後ろについていった。しかし冒険者の足は速い。あっという間に取り残され、そこをオオカミに狙われたのか。



「6人が奴隷で9人が鉱山送りで死亡が4人か…」



 山さんにとってはかつて部下だった者だ。ヨッシーやあっちゃん達にとっても同じ職場で働いてた人達。

 というか日本人にとって「死んだ」と聞かされると、たとえ親しくなくても胸がモヤっとするな。



「普通に働けばそれなりに生きていけるのに」


「そうだな。彼女らの人生は彼女らのものだ。彼女らが選択した結果だ。僕たちは頑張って生きていこう」


「そうですね」


「ところで、コオザンオクリって、何?」



 あっちゃんの素朴な疑問にユースケ達もうなづいた。



「鉱山送りはこの街から北方にある鉱山で強制的に働かされる。9人は度重なる依頼の失敗による借金のために鉱山送りとなった。借金返済額まで働けば街に戻れる。だが、鉱山はなかなかに厳しい場所だ。借金が返せるまで生き残れればいいがな。それと、今回奴隷落ちした6人は犯罪奴隷だ。重い罪は処刑されるが軽い罪は犯罪奴隷として生涯生きる事になる。買われる相手によっては死んだ方がマシな事もあるらしい」



 この世界での常識を知らない俺たちにゴルダは詳しく説明をしてくれた。

 ホント、ゴルダって優しいというか面倒見がいいな、顔は怖いけど。



「あれ?あと2人、渡辺さんと大山は?」


「そのふたりはランクEの依頼を受けていたな。今のところ問題は起こしていない。街中の仕事をゆっくりだがこなしているようだ」



 へぇぇ、そうなんだ。頑張ってほしいな、と心から思った。



「そうなんだ。よかった。悪い話だけじゃなくて」


「そうだな」


「まぁ俺らはカオッチのおかげで恵まれてるからな」


「いやいや、みんなの頑張りだぞ」

「いえいえ、カオ大先輩のおかげでございます」

「いやいやいや」

「いえいえいえ」



 日本人のお辞儀合戦になったヨッシーと俺を見て、皆んなの顔に笑顔が戻った。


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