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126話 畑の手伝いを雇おう

 俺はダンとロムを連れてスラムへテレポートした。


 ロムはすぐにタビーとジョンを見つけて住み込みの仕事の話をした。

 見知らぬ俺がいきなり話すのは怪しいからとロムに頼んだのだ。


 普通、怪し気な大人は警戒するらしい。それは人買い(人攫い)かもしれないからだ。

 迂闊についていって奴隷として売られるなどよくある話だそうだ。


 が、今回はロムの他にダンもいる。しかもダンは少し前からその大人(俺)と一緒に暮らしていると聞き、今回の話は警戒なく引き受けてくれた。



 住み込み食事ありで家の仕事をやってもらう。

 そして10歳になったらギルド登録をしてもらう。

 ただし、そのまま家事をするか冒険者になるかはその時にゆっくり決めてよい、と説明をした。


 二つ返事でオッケーだったので、あとはゆっくり荷物をまとめてダン達に家まで連れてくるように言って俺はテレポートをした。

 次は寝具屋だ。


 最初はベッドを三つ購入しようと思っていた。

だが、この先もこうやって増える事があるかも知れないと思い、多目に購入した。


 その寝具屋で小さい棚と小さい机と椅子のセットも購入した。買い物組の山さんやあっちゃん達には念話で追加を連絡した。



『残ったもうひとつの16畳部屋も4人部屋にして置こうと思う

ベッドやら何やらも増やして購入した』


『そっかぁ』


『そうだな』


『だから食器や炊事系も多めに購入してほしい。住み込みの子や護衛の人も人数にいれて買い物してもらっていいか?特に子供の着替えや手ぬぐいなんかは多めに…あ、フリーサイズの物に限るな』


『わかったー』


『足りなかったら都度買いにでましょう。馬車乗ってみたいですしね』


『乗りたぁい』


『乗りてぇぇ』



 俺も含めての乗りたい大合唱になった。ロムくん大忙しになるぞ。



『あと悪りぃ、念話での相談になっちゃうんだが』


『ん? 何?』


『教会の子供もひとりかふたり雇いたい。こっちは近いから通いでもいいんだが、裏庭の畑の世話や炊事をメインでやってほしい』


『炊事って事は女子って事?』


『女子でも男子でもどっちでもいいんだが、あっちゃんの出産に備えて、産休と育休は必要だろ?』


『カオっるうううううううん、グスっっグス、優しい』


『あ、そうですね。確かに』


『今はあっちゃんに頼ってる部分が大きいですからね』


『教会でも面倒を見るのは10歳以下って言ってただろ?その後はスラムに住んで仕事探すってさ。だから、もうそろそろ教会を出るって子で、冒険者に向いていない子に家事をお願い出来ないかと思ってさ。教会を出るまでは通いでいいから来れる子がいないかって。司祭に話してみようかと思う』


『いいと思う』


『賛成です』


『もちろん』


『さすがカオくんだ』


『んじゃ、今から教会行ってくるわ』



 というわけで、教会に来た。司祭とシスターにその話をした。ふたりとも大喜びだった。



「それは、こちらとしても願ったり叶ったりなお話です」


「ええ、そうですね」


「私達が手助け出来る歳を過ぎた子が、スラムで散っていくのを。

私達にはどうする事もできません。ひとりで生きられない幼子を優先するため、どんなに悲しくても私達の手のひらから溢れてしまう子を救えないのが現状です」


「俺らが救えるのは、いや、救うとかそんなんじゃないんだが

うちで雇えるのはせいぜいひとりかふたりだ」


「ええ、ええ、もちろんひとりだとしてもありがたいお話です」


「次のギルド登録を予定しているのは誰だったかね」


「エルダとキールですね」


「エルダと……キールか」



 司祭が少しだけ顔を曇らせた。



「何か問題が?」


「エルダは働き者で幼い子の面倒もよく見る少女です。冒険者ギルドに登録をしても街の中の仕事をうまくこなしていけるでしょう」


「そうですね」


「ただ、キールは……キールは足が悪いのです。スラムでキールを見つけた時にはもう右足が折れたまま曲がってついてました」


「歩けないのですか?」


「いえ、杖をついて器用に歩いています。自分の事は自分で全てできますし」


「ただギルドに登録しても仕事は貰えないでしょう。本人もここを出たら生きて行く事が難しいのを承知しています。けど、後の子の事を考えて次の春に登録をしたらここを出て行くつもりでいます」



 何だよ、働けずに死ぬってわかってるのに出て行くつもりなのかよ。

 10歳の子が?他の小さい子を生かすために?司祭達もわかってるのにどうにも出来ず送るしかないのか。


 ヤベぇ 涙が止められない。



「ば、」


「ば?」


「ばがり、まじた」


「「???」」


「ぞ、ぞのごっを、ギールを、グズっズズズ……、ギっ、ズズっ、キールにっ…うちで、はだらいて、もらいまずズズっ」


「?」



 おれの嗚咽混じりの鼻声のせいで通じなかったようだ。


 ちーーーん。鼻をかんだ。



「ズっ…すみません。ええと、キールに、うちで働いてもらおうと 思います。仕事は炊事と裏庭の畑ですが、ひとりでするわけではないので、出来る事を出来る範囲で良い。どうでしょう?キールに聞いてみてもらえますか?」


「まぁ」


「もちろんです」


「すぐ、すぐにキールを呼んでまいります」



 シスターに呼ばれてキールが部屋に入ってきた。確かに杖をついて右足を引きずっている。

 司祭に座るように言われて、今さっき俺がした話がされた。キールは初めは青い顔をしていたがすぐに明るい顔になった。



「あの!私……頑張ります!一生懸命働きますのでお願いします!」



 キールが座ったままではあるが膝につくくらい頭を下げた。



「うん、よろしくな。で、いつからこれる?教会の都合もあるだろうから、いつからでもいいぞ?」



 キールはシスターの顔を見上げる。



「こちらは大丈夫ですから、あなたの都合のよい時にしなさい」



 今度は俺の顔を見ながら早口で捲したてた。



「あの、あの今日からでも行けます! あたし、行きたいです」



 よかった。決まりそうだ。だがいくら教会からそう遠くないとは言え、足が悪いのでは通うのは大変ではないか?



「足が悪いと通いは辛いか」



 俺がボソっと呟くとキールは途端に泣きそうな顔になった。

 足のせいで断られると思ったようだ。下を向いてしまった。俺は慌てて言い直した。



「教会から通いって思ってたが、足が悪いなら住み込みの方がいいだろうか。住み込みでよければ、荷物をまとめてもらえれば俺が運ぶので」



 それを聞いたキールが思い切り顔を上げた。



「はい! あ、荷物、すぐ用意します! すぐ出来ます!」



 慌てて立ち上がったキールにシスターが落ち着くように言った。



「キール、慌てなくても仕事は逃げませんよ。一緒に荷物をまとめましょう」



 そう言ってシスターとキールは出ていった。



「うぅむ、もうひとり女の子がいた方がいいかな。キールと同じ住み込みでキールの補助をしてくれる子とかいませんか?」



 出産を控えたあっちゃんのお世話のつもりが、あっちゃんがお世話をする事になっても困るな。俺は慌てて司祭に問いかけた。



「ふうむ。確か今はエルダとジェシカがキールと一緒に行動していたかな。ジェシカはキールよりふたつほど下でしたかな」


「ならば、キール、エルダ、ジェシカの3人を今回住み込みで雇う事は可能ですか? 3人が一緒にいなくなると教会が大変になるだろうか」


「いえ、こちらにとってはとても有難いお話です。3人の行く末が決まってくれればどんなに安心出来ますか」



 というわけで再度シスターを呼んでもらい、エルダとジェシカにも話をしてもらった。3人は一緒に住み込めるという事で大喜びだった。


 3人の荷物(そんなに無かった)を俺の収納に入れて、3人を連れて家まで戻った。


 途中、ギルドによって警備員の依頼を出した。

 うちはギルドから2軒先と近いので、応募があったらすぐに知らせてくれるそうだ。



 家に着くとまずキールら3人を食堂に案内してそこにいてもらい、俺は2階の16畳部屋に買ってきた家具を設置した。


 それから2階の各部屋のドアに名前の紙を貼った。人数が増えたので誰の部屋かすぐわかるようにした。


2階大通り側 奥より

201号室(16畳):キール ジェシカ エルダ

202号室(16畳):ロム シュロ タビー ジョン

203号室(16畳):アリサ マルク

204号室(16畳):あっちゃん (ベビー)

205号室(16畳):ユイちゃん


2階裏庭側 奥より

206号室(12畳):山さん

207号室(12畳):ヨッシー

208号室(8畳):ユースケ

209号室(8畳):ダン

210号室(8畳):俺カオ



 部屋割りが決まってから実はちょっとしたクレームがあった。


 ダンがロム達と同じ部屋に入りたいと言い出し、アリサもキール達と同じ部屋がいいと言い出した。「広すぎて眠れない」と。

 ユイちゃんまであっちゃんと同室にしたいと言い始めた。


 普段お泊まりに行く分には構わない。個人の自由だ。泊まる部屋に自分のパジャマや寝具を置くのも相手先がOKなら良し。

 けれど、ダン、アリサ、ユイちゃんの部屋は部屋としてキープしておく。


 家族(兄弟)が友人宅に泊まり込んだり住み着いても、部屋はちゃんと残してあるよ、的な感じだ。いつでも戻ってくる部屋はある。と、そこまで説明したら、「同じ家内じゃん」とあっちゃんに突っ込まれた。


 そうこうしているうちに買い物組から念話が入り、テレポートで荷物を収納して歩いた。

 夕方には全員が家に戻った。



 各部屋で使う物は配り、それぞれが自分の部屋へ持っていった。ロム達の男子部屋や、キール達の女子部屋では奇声が上がっていた。


 それから台所で使う物を整頓したり、風呂、トイレ、洗面・洗濯部屋の棚にもいろんな物品を設置した。



「カオっち〜、油性ペンある? あったらちょうだい」


「ん? あるぞぉ」


 言いながらアイテムボックスから油性ペンを数本出して渡した。職場からパクってきたやつな。


 同居メンバーがいきなり増えたので、食器やタオルなどに各自の名前を書くそうだ。なるほどなるほど。



 食堂(リビングと呼ぶやつもいる)のテーブルも増やした。食事は交代で取るだろうが、たまには全員で、という事も考えてテーブルと椅子を増やしたのだ。



 夕方にゴルダが訪ねてきた。


 ギルドに出していた依頼「警備員募集」だが、さっそく応募があったらしい。

 昼1名、夜間2名。


 昼は通いで冒険者のバズッドさん。

 家族持ちで最近大きな怪我をして街中での仕事を探していたそうだ。怪我はほとんど治ったのだが、家族から”冒険者を引退してくれ“と泣かれて今回この仕事を受けてくれたそうだ。

 長期でいてくれればいいなと思う。


 夜間2名はソロの冒険者でガイさんとトリューさん。

 住込み可能だそうだが短期の契約だ。次の良い依頼が見つかるまで警備の仕事をしてくれるそうだ。宿代が浮くということで短期で美味しい仕事だと言っていた。


 ちなみに夜間の警備の依頼は今後もギルドで管理をしてくれるとの事。

 冒険者の信頼度とかがイマイチ不明だったので、ギルドが管理してくれるのはありがたい。


ちなみに部屋は、1階裏庭側

101号室(8畳):トリュー

102号室(8畳):ガイ

103号室(8畳):空き部屋

と、貼り紙をしておいた。

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