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124話 馬車を買う

 部屋割りが決まり各自が荷物を運び込んだ後、一旦食堂に集合してもらった。

 もともと荷物はそんなになかったので、皆すぐに集まった。




「第68回やまと会議を開催します」



 珍しく俺から会議の開催を口にした。



「えぇと、今回は重要案件です。全員集まりましたか?」



 周りを見回す。

 山さん、ヨッシー、ユースケ、あっちゃん、ユイちゃん、ダン、アリサ、マルク、俺を入れて9人いる事を確認した。

 この9人が、俺が今いるこの世界で優先したいメンバーだ。



「今回は緊急の案件がひとつ、普通の案件がひとつの2件だ、です」


「丁寧語でなくていいぞぉ」



 ヨッシー突っ込みありがとう。真面目な話だったので言葉遣いに悩んだのだ。



「まず緊急の重要案件について。今回思いもかけず資金入手にいたり、この家を購入する事ができた。しばらくはここを拠点に安定した生活を送れればと思っている。そのために、ぜひみんなで守りたい事がある。それは、土屋達のようなメンバーを決してこの家に入れない

という事だ」



 借家の時はズルズルと許したせいで乗っ取られ、お金も使い込まれる事となってしまった。

 最初から皆で決めてしっかり対応していれば、と、今更ながらに思ったのだ。



「前回は借家が乗っ取られ、お金を盗まれたりした。なし崩しに受け入れてしまった事が前回の反省点だと思う」


「いや申し訳ない、僕が大山くん達を押し付けたのが発端だ」


「山さんのせいじゃないですよ。大山さんらにくっついてきた土屋達を受け入れた事が原因だ。あの時は、2〜3日泊まるくらいなら、って安易に考えてしまったし。まさかあそこまですごい性格とは知らなかったからな。だが今回は、絶対にそれを許さない」



 俺を見る皆の顔がギュっと引き締まった。



「おそらく彼女らは借家の家賃を払えずにもう追い出されてると思う。神殿やギルド、市場をうろつくのは目に見えている。するとそこらで俺らの誰かしらが目にとまり、後をつけてくるくらいの事はするだろう。この家にいる事がバレるのも時間の問題だ。アイツらは絶対やってくる」


「そういうとこ抜け目ないからねぇ、土バア達」


「絶対来るね」


「えぇぇ怖くて買い物に行けません……」



 ユイちゃんが半ベソで震え上がっていた。大丈夫だ。土屋らが怖いのは俺らも一緒だ。

 ユイちゃんに、心の中で慰めにもならないエールを送った。……届いたかどうかはともかくとして。



「で、この家に入り込もうとしてくるのは確実だ。だが今回は、断固として追い返す!そこでしばらくの間、家を守る警備のような者を雇おうと考えている」


「警備?」


「そこそこ腕の立つ冒険者を警備員として雇おうと思う」


「誰か知り合いでもいるのか?」


「ギルドに依頼を出す。腕のいい冒険者求む。住み込み食事あり、金いくら、みたいな感じで」


「なるほど」


「俺らだとどうしても強く出られないだろうが、冒険者なら遠慮なく叩き出してくれるだろう」


「なるほどねぇ」


「彼女らは性格は最悪でへらず口は達者だが、所詮は口のみ。この世界の冒険者に力ではかなわない。最初は3人ほど雇って交代で24時間守ってもらう」


「そうですねぇ、夜中とか忍び込んで来そうですね」


「絶対来るでしょ」


「来ますね」


「来るな」


「やーめーてー、こわいぃぃ」



「土屋に限らずこの世界にも盗賊やゴロツキ、泥棒もいるだろうから、お金が続けば恒久的に雇とうのもありかと考えている」


「なるほどねぇ」


「了解です」


「あ、と言う事は一階の三部屋は警備員部屋に当てるか?」


「そうですね」


「それがいいね」



 とりあえず緊急かつ怖い案件はおしまい、次は楽しい案件だ。



「次にもうひとつの案件。馬車を買おう。裏庭の馬車小屋にはそこそこ大きいサイズの馬車が三台入るそうだ」


「そっかぁ、馬車があったら色々ラクだなぁ」


「開拓村へもカオさんの手を煩わせないで行けますね」


「ゴルダに聞いたんだけど、馬車はピンからキリまであるらしい。用途によって大きさや形を選ぶらしい」


「んん? 用途別? 馬車は馬車でしょ?」


「ちょっと想像が難しいな」


「ええと、日本でいうところの車を想像してみ? 奥さんが昼間買い物にいくミニとか、家族全員で遊びに行く大きめのボックスカーとか」


「それの馬版か」


「で、実際に明日見に行こう。ついでに色々買い物もしてこよう」


「いいですねぇ」


「今回は資金が潤沢にあるから必要な物は全て買おう」


「わあい」



 皆んなの顔が明るくなった。

 俺のふところ(お金)も明るいしね。

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