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123話 家に住む

 ゴルダの案内で実際の家を見に来た。



 俺の妄想力も大した事ないなと反省した。家は俺の想像を遥かに超えて大きく立派だったのだ。


 日本でいうところの5LDKとか8LDKの部屋数多い版を想像していた。もしくは襖でいくつも部屋が区切られた田舎風の家。


 けれどそんな感じではなかった。

 そりゃあ、王宮やベルサイユ宮殿と比べたら、うんとうんと小さいけれど、この世界の商人、ハンパねぇなぁってくらいはデカイ。


 俺は声に出してたみたいだ。ゴルダは俺の謎を即解いてくれた。



「商人といっても出は貴族の五男坊だ。かなり金をかけてたからな」


「ほおぉ」

「へぇ」

「凄いですね」



 ひとしきり感動したあと、皆でここにしようと購入を決めた。


 家の中に入ろうとしたら「帰る」と言い出す者が数名いた。

 理由は「楽しみはとっておきたい」「引越し当日にビックリしたい」などと男性陣。


「見たら魔法が解けるから」と可愛い発言はアリサだ。先日、ユイちゃんが「シンデレラ」を教会の子供達に聞かせていたからな。

 あっちゃんはキッチンが見たいと一緒に来た。



 置いていった家具などはそのまま貰っていいそうだ。さすが元貴族、太っ腹だ。


 引越し業者とか引越しトラックなんてこの世界にはないだろうから、あまり大きい物や運ぶのが難しい物は置いていくしかないのだろうな。


 あ、でもアイテムボックスのような収納持ちとかいないのかな?魔法の収納袋はあるって言ってたから聞いてみたらそんなに容量は大きくないみたいだった。



 ヨッシー達は開拓村の手伝いをもう少しするようなので、その間にこの家の“生活空間”を改良しよう。


 まず、トイレと風呂をもっと使い勝手が良いようにする。それから井戸に洗面場と洗濯場も増築しよう。もちろん大工さんに頼んだ。

 俺のステータスには土建スキルは無いからな。


 それぞれの部屋にはベッドやタンス、棚などを設置。テーブルは個人の部屋にはあえて置かない。

 なぜなら、やまとの事務フロアから持ってきた各自の机と椅子を置くだろうから。


 リビング?食堂?にはやまとの応接室から持ってきたソファーセットを置こう。

 あと、なんかわからんパクってきた絵画も飾っておく。


 客間にはテーブルと椅子を設置、ベッドは置くが布団は棚に収納しておく。出しっぱなしだと埃を被るからな。



 炊事場に近い倉庫には、やまとの給湯室から盗ってきた、ゴホン、持ってきたコーヒー、紅茶、日本茶、砂糖、クリープ、他いろいろを棚の上の方に置いた。


 棚の下の方にはティッシュや洗剤、タオルなど、床にはトイレットペーパーの段ボールを置いた。


 ちなみに開拓村にもいろいろ置いてきた。トイレットペーパーや防災用のいろいろな物だ。


 特に畑で採れた物で自炊ができるようになるまでは防災用の乾パンや、おこわ、缶詰で何とかするように言った。

 もちろん彼ら、彼女らの机や椅子、ロッカーも置いてきた。


 自分がやまとの書庫に隠し持っていた防災用のお菓子等も村の子供達にだしたので、ほとんど残っていない。


 俺は、物でもお金でも「貯める」「取っておく」のが苦手だった。


 必要な物は必要な時に使う。なければないでどうにでなるさ。そんな人生をおくってきた。


 だから今回、事務フロアから持ってきたものは開拓村と俺らで半々に分けた。

 あ、土屋達は知らん。知らんったら知らん。何か言ってきたらまず金返せと言ってやる。




 馬車はみんなで決めてから買いに行こう。

 あとキッチン用品もみんな、特に女性陣の意見を尊重して選ぼう。とりあえずは生活優先で、それから徐々に増やしていけばよい。

 裏庭の畑とか、通りの店は何屋にするかとか。想像するとワクワクするな。



 俺が家具を調達したり大工を頼んだりなんだりで慌ただしく過ごしていると、開拓村の家と畑もひと段落したようで、ヨッシー達が街に戻ってきた。


 開拓村の住民(元やまと社員も含む)は冒険者ランクがまだEのままだが、街の仕事はちょっとストップして村の生活に精を出すそうだ。


 少し余裕が出来たら、この先は自力で街へ行きギルドの仕事をしてゆこうと決めたそうだ。


 うん。社員さん達、昔とは比べ物にならないくらい自立してきたなぁ。と、ちょっと感動して涙が…。



 副部長の長谷川さんも栄養のある食事と睡眠をキチンと取ることが出来たので何とか体調が回復した。

 開拓村へ戻り、みんなと一緒に頑張っているそうだ。ちなみに、“副部長“ではなく、ただの長谷川と呼んでほしいそうだ。




 俺たちは教会のみんなにお礼を言って、教会を出た。


 俺たちの新しい家は、ギルドの二軒先、教会(神殿)からだと大通り中央を斜めに横断した先だ。9人で歩いて俺たちの家へ向かった。



「デカイよなぁ」


「大きいですね」


「……」



 俺達は家を見上げて感慨に耽った。


 いきなり変な森に居て、街に連れていかれて(俺は自分で)、ギルドに登録して、借家に住んで。

 土屋達が襲来して、ゴブリンが氾濫して、開拓村大脱走があって、開拓村の立て直しをして、そして、家を買った。



「この通りに面してるとこが店なんだけど、まだ店をどうするか決めてないので閉めてある」


「ええと、どこから…入ればいいんです?」


「カオるん、玄関どこー?」


「あ、この扉じゃない?」


「そこは使用人の出入り口だけど、そこでもいっか。店が開店したら店の中を通って入る……のか?」


「これだけ大きい家だと裏からとかも入れますよね?」


「裏ってどこから周るの?」


「普通は家の横あたりに小道が……この細い小道がそうかな」


「あれ? 裏通りに出ちゃった」


「あ、裏通りから入れるぞ。塀が途切れているとこ」



 裏門を見つけた俺たちはそこからようやく中に入った。



「うっわ、デッカ」


「この広い庭もです?」


「こっちの小屋は何だ? 離れ?」


「あっち側も離れがありますね」


「こっちは馬車小屋、まだ馬車はない」


「ばぁしゃあああ?」


「馬車…乗ったことない」


「用途考えてみんなで買いに行こう」



 そう言いながら馬車小屋とは反対の方に皆んなを導いた。



「こっちはトイレと風呂と洗面所兼洗濯場」


「せんめ…じょ?」



 アリサがよくわからないという顔をした。こっちでは“洗面所”って言わないのかな?そう言えば、宿でも教会でも井戸で顔を洗っていたな。



「あぁと、井戸があったのでそこを大工に頼んで改装してもらった。冬でも寒くないように小屋で囲って、顔洗ったり歯磨きしたり。あと洗濯もそこでする」


「洗濯機は…ないよね?」


「ないね」


「聞いてみただけ」


「生活魔法で水が出せる人は、お湯を出す練習をしよう」


「する!」


「します!」


「トイレは増築して男女別にした。風呂は大きめにしたので時間交代で入るか」


「そうだね。風呂がふたつあっても、2か所沸かすのは大変だしな」


「風呂って薪で沸かすのか?」


「お風呂掃除も大変じゃない?」


「こっちじゃ入らない人普通にいるし、金持ちでも週1〜2だって」


「門の近くの風呂屋も、結局日本の風呂とはだいぶ違ってましたね」


「かなり温めのお湯を浴びて汚れを落とす、みたいな感じだったな」


「慣れたら慣れるもんですね」


「元の世界で毎日入ってたのが嘘みたい」


「時間交代じゃなくて、今日は女子の日とか日別でいいかもね」


「どうしても入りたい人は最後に残り湯で」



 風呂については大盛り上がりで結局、日別に男女交代に決まった。入れない日が多かったから一日置きでも嬉しいそうだ。



「裏庭が広いから畑作って野菜を育てようぜ」


「いいですね」


「あ、ここに俺の犬出していい?」


「あ! カオさんのワンコですね」


「裏庭で番犬として飼いたいんだよね」


「外飼いですか?」


「うむ。家に入れたいけど大きいからなぁ。一応馬車小屋の中に犬の寝床とかは作ってある」


「出して出して! ワンさん」


「わんたん?」


「サモン、クラシック! サモン、ゴスペル! サモン、エンカ!」


ワン!

バウ!

ガウ!


 俺がゲームで飼っていたイッヌが出た。シェパードとセントバーナードとドーベルマンだ。



「デカイなぁ」

「きゃーカワイイー」

「可愛いか?」

「犬好きにとっては可愛い…のかな?」


「全員、伏せ!」


「撫でても噛まない?」


「クラ、ペル、エンカ、ここにいるみんなは仲間だから、噛んじゃダメ。味見してもダメ」


「…味見…するときあるんだ…」


「家に入れる時は足の裏を拭いてあげればいいんじゃない?」


「ていうか、俺らも靴履いたままだよな? この世界」


「玄関で靴を脱ぐ習慣はないみたいですからね」


「俺の部屋は土禁にする!」


「あ、僕もそうしよう。やはり靴脱いで寛ぎたいよね、日本人は」


「あたしの部屋も土禁」


「私も」


「じゃあ犬を自分の部屋に入れる時は足を拭くっと。2匹は裏庭で番犬、1匹は室内でいいか。3匹でローテして」


「「「バウ」」」



「じゃ、とりあえず家の中入ろっか。クラ、ペル、エンカ、今日は3匹ともここで待機」



 クゥゥン

 ちょっと悲しそうに鳴いた。



「ここ裏から入って廊下を真っ直ぐ進むと店に出る」


「この店、かなり大きいですね」


「商品も棚も何もないから余計に広く見えるのかもしれないな」


「実際にいろいろ置いたらそこまで広くはないのか?」


「それでもかなり広いですね」


「でも何の店をやるんですか?」



「それもおいおい話し合おう」



 さらに廊下を進んでいった。



「で、こっちが炊事場とそこに続いてる部屋が食堂。使うものは今日明日にでも買い物に行こう」



「で、裏庭側に窓がある部屋が3部屋、あと倉庫が3つ。3部屋は使用人用の部屋だったそうでそんなに広くない。日本でいうところの8畳くらいか?ベッド、タンス、棚は入れておいた。寝具は買ってない 机、椅子も保留」


「そっか。誰が使うかで、自分の机と椅子入れるもんね」


「ああ、職場の机と椅子」



 皆んなでゾロゾロと階段を上がって行く。



「次は二階」



 皆がキョロキョロと見回していた。



「二階は家族用の部屋が5部屋、客間が2部屋、使用人部屋が3部屋。広さで言うと、えぇと、16畳が5、12畳が2、8畳が3って感じかな」


「二階は部屋が10個!」


「使用人っていうか住み込みで働いてた店員とかだろうな」



 さらっと2階を説明して三階へと階段を上っていく。



「で、三階。ジャジャーン」



 俺は三階の主人部屋の扉を開けて皆んなを中に入れた。



「超デカイ主人部屋、部屋の両側に続き部屋がある」


「続き部屋? 主人専用のお女中さん部屋?」


「いや、使用人部屋は別に5部屋もあった」


「え! 三階に使用人部屋が五つ!」


「あ、じゃ、あれじゃないか。愛人部屋…」


「「うわぁ サイテー(ですね)」」



 あっちゃんとユイちゃんが顔をしかめた。



「いや、お妾さん部屋もふたつあった」


「「どっちにしろサイテー(です)」」


「まあ結構デカイ店だし、金持ちっぽいから、主人の護衛が控えていた部屋かも」


「忍者部屋か」



 ヨッシー、それ当たりかも。忍者というか、主人の護衛部屋だろう。



「さて、部屋割りどうしよっか。一階に8畳3部屋、二階に16畳5、12畳2、8畳3。三階が続き間2部屋付きの超デカイ部屋、12畳くらい2部屋、8畳が5部屋」



「カオくんは三階の続き間付きの部屋だよね」


「やですよ」



 即答でお断りした。



「だって家のお金払ったのカオっちだし、当然主人部屋だよね」


「絶対やだ。あんな広い部屋落ちつかない。眠れない」


「あたしはこれからもっとお腹大っきくなるし、一階がいいなぁ」


「私とアリサちゃんもあっちゃんと近い部屋がいいです」


「一階は3部屋しかないんだよ。マルクは一応アリサの部屋にベッド入れたいから8畳だと狭くないか?」


「そうですね。あっちゃんも出産した時ようにベビーベッド入れるとしたら8畳は狭いかな」


「あっちゃん、二階で昇り降りが大丈夫なら16畳部屋はどう?ユイちゃんとアリサも並びで」


「山さん、ヨッシー、ユースケ、ダン、俺は、2階の12畳と8畳でちょうど5部屋あるからジャンケンで負けた3人が8畳でどうだ」


「いいね」


「え、俺、小さい部屋で」


「おう! 負けないぜ」


「ジャンケンいいですね。恨みっこなしで」


「あの、16畳部屋も空いてますけど」


「16畳にひとり暮らしなんてやだよ」


「私、16畳にひとりなんですけど…」


「まぁまぁ。女の子はいろいろ部屋を飾ればそんなに広さを感じないよ」



 ユイちゃんのブーイングをスルーして俺たちはジャンケンをした。



「「「「「ジャーンケーン ポン」」」」」



 ヨッシーと山さんが12畳、ユースケ、ダン、俺が8畳に決まった。ダンはほっとした顔をしていた。



「三階はお客さま用にすっか」


「ですねぇ」


「だなぁ」



「一階の部屋はさぁ、店始めてうまくいったら教会の子供を住み込みで雇ってもいいかって思ってるんだ。その時にそこに入ってもらうとか」




 とりあえず各自の部屋に預かっていた事務机と椅子を置いて回った。


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