119話 やる事が整理されてきた
畑作業や木材の切り出しが始まってからもいろいろな案が出された。
その都度話し合いを設けたが、元やまと社員だけでなくもちろん村民のみんなも加えての話し合いをした。
出された議題の中で最も優先されたのは“ギルド登録”だ。
当初は、家と畑が落ち着いてから未登録者が全員で街に登録に行くという事だった。
開拓村民に聞いてみると、ギルド登録者はひとりもいなかった。
開拓村は開拓をするために集められた家族達なので、冒険者業務を兼任する人はいないそうだ。
もちろん、村の開拓がある程度終わり普通の村となったあとには、引退した冒険者が住む事はあるようだ。
けど、この世界はいつ何があるかわからない。
先日のゴブリンの氾濫のようにこの先何かが起こった時の為に、10歳以上は全員登録をしておいた方がいいと説得をした。
元社員と元村民で合わせると結構な人数になった。大勢でギルドに押しかけても時間がかかりもったいない。
なので、開拓作業と並行して、毎日5人ずつ登録に行くことになった。俺が、テレポートで連れて。
せっかく街に連れていくので、登録ついでに街に2日間滞在してもらい、仕事をひとつふたつこなしてもらった。
小遣い稼ぎと、いずれランクDに上げるための経験値稼ぎ、ってところだ。
そんな感じでまず元村民の人達の登録をすませたら、今度は元社員達を同じように連れて行った。
俺は開拓村からギルドへ人を運んだらまたすぐ開拓村へ戻りひたすら木を切り出した。
山さんやキック達は毎日村の外へ食料を獲りにいった。
元社員も元村民も一緒になって男性陣は家作り、女性陣は畑や家事を行っていた。粗末だった村民の家もこの際一緒に建て替えた。
それと毎日する事がふたつ。ひとつは、早朝のラジオ体操。
いや、ラジオは無いんだけどさ、みんなうろ覚えとは言え鼻歌混じりであの曲を口ずさみ体操をおこなった。
作業中の事故防止に朝の体操は必要だ。建築現場の人らが朝から体操していたのを通勤電車から毎日見かけた。
もうひとつは、ラジオ体操後に生活魔法の訓練をした。
毎日行っていると、ひとり、またひとりと生活魔法が使えるようになっていった。
水を出せて火が起こせるというだけで、生活はすごくラクになるはずだ。
開拓村の全員が何となくタイムスケジュールに添いスムーズに動き始めた。
朝、陽が登ると起床広場でラジオ体操、生活魔法訓練。
水汲み、洗面、朝ごはん。
5名(及び俺)は街へギルドへ。山さん他数名は村の外に肉獲り、残りの男性陣は家作り、女性陣は畑作業、戻った俺は木こり。
昼ごはん後に生活魔法訓練。午後はまた同じ作業。
夕ごはん後に全村民が集まり報告会(進捗状況報告とも言う)、日が暮れたら寝る。
ちなみに俺は毎日街の教会に戻って寝ていた。
何故かと言うと、
『カオる〜ん、マルたんがグズってるの。戻ってこれる?』
あっちゃんから念話が入るのだ。
ゴブリンの氾濫から、いや、土屋の借家乗っ取り事件からマルクが寝ぐずりするようになってしまったのだとか。
昼間はアリサやあっちゃんが何とか宥めているが日が暮れるあたりから部屋の入り口から離れなくなるそうだ。
俺が戻ってくるのをそこでひたすら待っているそうだ。
布団に寝かそうとしてもグズって寝てくれないらしい。
ホントにあのクソ婆あ!と俺は土屋を恨む。




