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109話 後片付け

 雪山、いや、雪森で遭難しそうだ。そう思いながら森の中を進んでいった。



 マップで赤い点をいくつか発見。数はそう多くない。


 ゴブリン達は街への襲撃を企んでいたため、大多数は森の中央から草原そして街方面へ移動し始めていた。

 そこをブリザードの範囲魔法をくらったのだ。大多数は瞬殺された…はず。


 はず…というのは、そこら中の大雪でゴブリンの死体が見えないからだ。

 ただマップから赤い点が消えているので死んだ、と判断した。



 残っているのは森の中央より向こう側に散っていた少数のゴブリン達。ブリザ範囲外のやつらだ。


 少数と言っても、百くらいはいそうだ。しかも広範囲に散らばっている。

 ブリザードでこれ以上足場に雪が積もるのは得策とは言えない。


 てか、俺が遭難する。地道に倒していくか。

 もちろんライカンさんが。俺は後衛だからね。頼むね。




 雪を踏み森の中を進むと少し開けた場所に出た。そこにゴブリンが20匹くらいいた。


 ライカンさん3匹中、2匹に倒すように命じた。

 一匹は俺の横にいろ。…いてね。


 ライカンはゴブリンに囲まれて団子状態で戦っていたが、やはり数の多さに苦戦していた。

 ライカンはだんたんと疲弊してとうとう一匹が倒された。すると残り一匹にゴブリンが集中した。


 ヤバイ。アレがやられたらこっちにくるぞ。


 と、そこで思い出した。ライカンは足が速いから出したサモンだ。

 戦うなら別にライカンに拘らなくてもいいじゃん。攻撃が速くで強いやつ、出せばいいじゃん。



「サモン!キングバグベアアアアアアア」



 俺が叫ぶと、出た。キングバグベアー。


 ライカンスロープよりもっとデカく筋肉質で凶暴そうな、凶暴そうな…これ何の魔物?ベアーっていうから熊系か?ええと、全然毛深くないんだけど……?



「ま、いっか。とりあえずアレやっちゃって。ゴブリンを全滅させろ」



 ガアアアアアアア



 俺の命令を受けたキングバグベアーは、何かわからない雄叫びを上げながらゴブリンへと向かっていった。


 キングバグベアー、ゲームでは通称、KBB。ちなみにKBBは一匹しか出せなかった。

 俺のINTだとサモンは同時に3匹が限度で、今ライカンが二匹出てるからだ。


 戦ってるやつと横で俺の護衛してるやつ。なので、戦い中のライカンが死んだらもう一匹KBBを出そう。


 なんて考えながら見ていたらあっという間に終わってた。


 KBBの圧勝。さすがだぁ。フンガフンガ言ってまだ戦い足りない感じだ。


 マップで次の赤い点へ移動する。ゴブリンを見つけた途端に突進して瞬殺していた。KBB…血の気が多いな。


 そんな感じで回っていたら森の周辺に赤い点はなくなった。

 全部倒し終えた。(KBBが)

 とりあえず報告を部長経由でゴルダへ入れた。



『そっかぁ。ご苦労様』



 部長に労いの言葉をいただいた。


 だが、ゴブリンの氾濫は乗り切ったが別の問題が発生している。

 そう、大雪だ。街の中やら街道やらの雪かきが大変そうだなぁ。



『え〜と、いったん街に戻りますね。今みんなはギルドですか?』


『ああ、そう。ゴルダさんと菊田くんと新田さんと僕はギルドにいる

他のみんなは西門に向かったって』


『この積もった大雪の中の移動は大変そうですね』


『ん? もう積もってないよ』


『へ?』



 何で?街はブリザードの範囲内に入ってたよな?



『最初雪が積もった時に、建物に避難していた冒険者や住民が外に出てきて、雪を見た事がないみたいで大騒ぎで子供らは楽しんでたみたいだけど。でも、ちょっとしてから雪が消えたんだよ。溶けたとかじゃなくて、フワッと一気に消えた。そっちはまだ雪残ってるの?』



 雪が消えた?

 ブリザードの魔法の効果が消えると一定の時間後に雪も消えるって事か?

 ブリザの範囲外でゴブリンと(KBBが)戦ってたから、森の中の雪がどうなったか知らなかった。


 テレポで林前に飛んだ。

 あんなに積もってた大雪は全くなかった。しかし代わりにゴブリンの死体が山と積まれて転がってた。


 うっわああ、くっさあ………。死んでまだ間もないのに臭いとは!



『鹿野くん?』


『ああ、すみません。今テレポで林前の草原にきましたが、ホントに雪が全くないですね。代わりにゴブリンの死体が山ほど。これ、どうするにしても一回そっちに戻りますね』



 そう告げてテレポートしようと思ったが、連れていたKBBとライカン二匹をどうしようか……。前に犬を出した時、仕舞うことが出来たのを思い出した。



「サモン、返還?」



 と言ってみたらKBBとライカンが消えた。単身になって街のギルドへテレポートした。





 ギルドではゴルダと部長達が待っていた。



「おう、お疲れさん」

「お疲れさま、鹿野くん」

「鹿野さん、ご苦労様です」

「鹿野…さん、どもです」


「みんなもお疲れさんでした」



 頭を下げながら挨拶をかえしてゴルダや部長達の顔を見回した。

 キック、菊田さんのところで俺は視線を止めた。



「特に菊田さんのおかげだ。菊田さ…キックがブリザードの助言をくれたから倒す事ができた。ありがとう」



 キックは驚いた表情をした後、直ぐに俯いてしまったが嬉しそうな表情が少しだけ見えた。



「いや…僕は別に…鹿野くんの魔法のおかげだから…」



「で、何でみんな西門に集合しているんです?雪かきの必要はなくなったんですよね?」



 ゴルダに向き直って尋ねた。



「西門というか、もう門から出て草原へ向かっているはずだ」


「ゴブリンの掃除なんだってー」


「うん。ゴブリンの死体を転がしておくのは問題があるから」


「そうだ、だから街中の冒険者に掃除に向かってもらった」


「なるほど」


「今回は死体が相手なのでランクに関係なく全冒険者への強制依頼だ

戻ってきてすぐに悪いがお前さんにも参加してもらう」


「鹿野さん、キックと部長と私を森の中までテレポで送ってもらえます?」


「ん ?いいよ」


「私達ってアイテムボックスが使えるじゃないですか?だから、冒険者がゴブリンを一匹ずつ手で運ぶより効率的に掃除できるんですよ」


「そうなんだよ。だから僕と新田さんと菊田くんと鹿野くんは森林あたりのゴブリンを集める事になってる」


「集めて西門前に運んで、そこでどんどん燃やしていくんだって」



 新田さんが説明してくれた。新田さんとは仕事で全く話した事がなかったけど、ハキハキとわかりやすい話し方だしいい子だな。


 あの職場の人間関係に辟易していて人と関わろうとしてこなかったけど、実際に関わってみると良い人もいたんだと思い、少し反省した。


 あっちゃんやヨッシー達ももちろんいい奴だし、部長も菊田さんも新田さんも、想像していたよりずっといい人だ。

 もしかしたら他の人も…救えなかったあの中にもいい人はいたのかも。


 だが、俺は、後悔はしない。

 救えなかった人らは、彼女らが自ら選んだ道を進んだんだ。俺が選んだ道ではない。その責まで負うつもりはない。


 あと、土屋たちとは話しても理解できない、というか、彼女らに言葉は通じない。うん。くっそう 俺んちを乗っ取りやがって。


 心の中で悪態をついた。



「あ…でも僕たちを森林に運んだら…鹿野さんは西門に戻った方がよくないですか?」



 部長とゴルダの顔をチラチラ見ながらキックが自信なさげに小さな声で言った。



「あの…鹿野さんファイアボール使えますよね?ウィズ定番の……」


「ん?ああ、うん、使える」



 キック『ラインエイジファンタジー』はすぐやめたって言ってたけど、何気にウィズの情報持ってるな。DE(ダークエルフ)なのに。



「なるほど、カオが火魔法を使えるなら西門でどんどん燃やしてもらうか」



 ゴルダがすぐに理解したように言った。


 というわけで、俺は3人を森林にテレポで運んだあと、西門でゴブリンの焼却に努めた。



「ファイアーボオオオル」

「ファイアーボオオルウウ」

「ファイア…? いや、ファイヤ、ヤかな?ファイヤーボーーール」

「ファイヤー! ファイヤー!」



 詠唱に関係なく魔法は発動し続けた。

 だが、格好つけたいお年頃なので身振り手振りは必須だ。右手を前に突き出して叫ぶ。



「ファイアボォリュゥ」



 英語の発音のように舌を巻いてみたがイマイチだった。

 ゴルダ、その生暖かい目で見るの止めて。


 冒険者達が運んでくるゴブリンをどんどん燃やした。あ、ちょっと待って、MPが結構減ってる。


 アイテムボックスからMP回復薬を出して飲んだ。オロDみたいな味だった。

 部長達はある程度収納したら念話してきたので、テレポで向かい(迎え)に行き、ゴブリンをボックスから出した後また森林へ送るを繰り返した。



「ファイヤー、くっさ、ファイヤー、ファイヤー」



 もう、ゴブリン、マジくせえ。



「死ね死ね!(もう死んでるけど)この世から消え去るのだ! ファイヤーァァァァ」



 頑張って燃やした。誰か褒めて?

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