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僕だけ居場所のない家から逃げ出した先で見つけた僕の本当の居場所  作者: ムラタカ
本編

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第36話  最終回



あれから大体2ヶ月が経過した。

クリスマスやら正月やらが過ぎ去り、とうとう俺達3年生の高校生活は残す所後僅かとなっていた。

俺は秋菜と受験勉強に勤しんでいる。

秋菜は大学進学を機に家を完全な形で出て俺との同棲を本格的に考えている。

だからか勉強はわりかし真面目にスパルタ方式だ。

まぁ所々秋菜なりのご褒美が含まれている。

例えばこれだ。



「どうかしら琢磨、私の耳かきは?あら、大っきいのが取れたわ、新記録!」


そう膝枕&耳掃除だ。

男なら一度は夢見るだろう、膝枕と耳掃除は。

女の子特有の甘いいい匂いと心地よい体温。

なにより膝が程よい柔かさと弾力で勉強で頭を使い過ぎた反動か眠気が誘発される。

耳の穴の中をカリカリとほじられるのも心地よく眠気を誘う、ウトウトしかかっていると


「すぅ…ふぅ~、」


「ひやぁ!?」


「あら?いきなり動いたら危ないわよ?」


「あぁあ秋菜さん?」


「秋菜。」


「……秋菜…今のは?」


「耳掃除と言えば耳ふぅ~は王道でしょ?」



と言うことはさっきのは間違いなく耳ふぅ~と言うことか、生耳ふぅ~と言うことなのか…。

これはアレだ、生ASMRだな。

全ASMRファンが泣いて喜ぶ境地に俺はいるようだ。



「これで後半の勉強会もやる気十分ね?」


「え……あ…はは…」



妖艶に笑う彼女は流石は冷嬢なんて呼ばれてるだけあってなんか雪女とサキュバスを足して2で割ったような印象を受ける、まぁ自分で言っておきながら全く意味がわからないのだがな…なんだよ雪女とサキュバスを混ぜて2で割るって…。

ただ彼女の勉強会はマジでスパルタで、頭の回転の早い人間の脳の中身が奇跡の産物であると改めて思い知らされた。



それはそうと以前から俺の中で密かに高まりつつあるとある説がより濃厚となった。

その説とは…。



「秋菜って割りかしドSだよな?」


「何かと思えば今更そんな事を言われてもね?」


「怒ると思ったらさも当たり前の事の様に自覚してんのね…」


「そうね…もっとも自分にこんな一面があった事には多少なりとも驚いているわ…多分ドSになれるのは貴方に対してだけよ、光栄に思って良いわよ、琢磨?」


「…、あはは……」


「今なら少しあの女の気持ちが分からなくもないわね、」


「あの女の気持ち?」


「夏芽明音」


「え?」


「勘違いしないで、あの女みたいに貴方を裏切るとかそう言う意味じゃないわ、…ただ琢磨って嗜虐心をくすぐると言うか何故か虐めたくなるのよね、反応がいちいちかわいいから…」


「か…かわいい……今一実感がわかないけど…」


「あの女も琢磨にソレを感じてたんでしょうね…でもその感じ方が彼女の場合歪過ぎた、自分の欲望を優先する余り相手を傷つけ過ぎた、取り返しのつかないレベルで、馬鹿な話ね…。」


「俺は…実際に弱かったんだ…親父が死んで自分の殻に閉じこもって他者を蔑ろにした、その結果があの惨状なんだ。」


「貴方は出来る事をやってたでしょ?それに例え貴方が弱くても貴方を裏切る道を選んだのはあの女よ…動画の件もそう…あの女があの義兄の本質を見抜いていれば今の惨状はなかった、私から言えば全て自業自得の一言に尽きるわ。」



俺の中で幼馴染だった明音を切り捨てるのは後ろ髪を引かれるというか、やはり許容出来ないモノがある。

あれだけの事をされていても何処かで助けてやりたいと言う気持ちがあるのは否定出来ない。


それでも俺は秋菜と共にこの先も進んで行く為に彼女の存在を過去の物にしないといけない。

それは残酷な事なのかもしれないが俺を好きだと言ってくれた秋菜の気持ちに応える為にも、そして俺を支えてくれた秋菜の為にも前に進まないといけないのだ。



「…秋菜には助けられてばかりだ…男として不甲斐ないよ…」


「それをいうなら私だって貴方に助けられて今の日常があるわ、私達は互いに助け合って今があるの。それはとても尊いモノよ。」


「今思えば奇跡的なめぐり合わせだよな、俺達の出会いって」


「そうね、ドラマでもあんまり無いんじゃない?自殺未遂から始まる出会いなんて、ふふ…、本当に奇跡的だわ」


「秋菜…」


「え…?どうしたのいきなり?」


「大学を卒業して…何処に就職したいとかコレがやりたいとか俺にはまとまった夢とか目標なんてない…そんなモノ持つ余裕も気力も持てなかった…それでも…そんな俺にも夢が一つだけ出来た……それは…秋菜と……秋菜と一緒に居たいって…夢が…。」


「琢磨…」


「俺…秋菜とずっと一緒にいたい…おじいちゃんになるまでずっと…秋菜と一緒に…いたい。」


「私…今夢を見てるのかしら…?告白を待っていたらそれをすっ飛ばしてプロポーズされてるんだけど?」


「だ…駄目か…?」


「だからそんな捨てられた子犬みたいな顔をしないで?思わず抱きしめたくなるから…ただ琢磨は私に大事な事を一つ言い忘れているわよ…おわかりかしら?」


「ここまで来ていてそこは拘るのね…改めて言うの照れるんですけど?」


「先に赤面モノのプロポーズをしといて何が照れるよ…呆れてものも言えないわよ」


「…では改めて…ゴホン!…秋菜…好きです…俺の彼女になって下さい!」


「ふふ、なにそれ」


「うぇ!?駄目?」


「駄目な訳ないでしょ?私も琢磨が好き…だから彼女になるわ、ふふ。」


「良かったァ〜」


「さっ!頑張らないとね、琢磨は私を幸せにしてくれるんでしょ?」


「おう!」



琢磨は秋菜と共に机に並べられた参考書や過去問題集等に目を向ける。

やらなければならない事はこれから沢山ある。

それを一つ一つクリアして秋菜と前に進んで行く。 

未だ予想し得ない大きな問題に直面する事もあるだろうが彼女と一緒ならそれも怖くない。


琢磨にとっても、そして秋菜にとってもきっと互いに思いあい、支えあえる力が彼等にはあるのだから。


       あとがき───────────────────────

本編はここで終わります。

評判次第で愛莉お寺編を登載したいと思います


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