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コスプレカフェを始めたら学園の三大美女が性癖を曝け出してやって来たんだけども  作者: すずと


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第47話 心も身体も控えめなクールビューティ

『この雨だし、仕方ないけど、月影さん家に迷惑にならないようにね』


「あ、ああ」


『それじゃ』


 親父へ素直に事の説明をすると、月影さんの家が良いのならとあっさり了承を得る。俺が女の子ならこうもあっさりはいかないんだろうな。


 それにしても、誰かの家に泊まるというのは初めてである。小さい頃は色葉の家で預かってもらったりした記憶はあるが、泊まったことまではなかった。


 ドキドキと心臓が鳴るのは、初めて誰かの家に泊まるから。


 ──なんて、そんな理由なんかじゃねぇ。


「同級生が風呂に入っている……」


 そうなんよ。入ってるんよ。学園の三大美女がひとり、クールビューティ担当の月影彩芽が、すぐ近くで風呂に。


 いや、そりゃ自分の家だし、風呂くらい入るのが当然。むしろ、月影さんが風呂キャン界隈女子じゃなくて助かる。


 いやいや、そんなことはどうでも良いんだよ。同級生の女の子が風呂に入ってんだぞ。裸だぞ。裸になってんだぞ。同級生が、同級生が──ぶひぃぃ。


 ──落ち着け降井自由。雌豚の家だからって雌豚発動してどうする。いや、俺は雄だから豚野郎ってか。


 ──カチャリ。


 リビングのドアが開く音が聞こえて来た。どうやら月影さんが風呂から上がったみたいだ。


 ふ、ふふ……冷静になれば俺はなにを焦っていたんだ。別に目の前で裸になったとか、そんな話じゃあないってのによ。俺という男は、たかだか同級生が風呂に入っただけで取り乱して童貞丸出しじゃねぇかよ。


「降井くんも入る?」


「あ、ああ。もらっても良いの──か?」


 振り返った時、目を疑った。


 月影彩芽が素っ裸でバスタオル一枚を首にかけた状態だったから。


 え、なに? クールビューティ担当さんのおっぱいもクールビューティみたく控えめなのね。ぷっくりした先っぽも控えめなピンク。でも、その下は全然クールビューティなんてもんじゃなくてジャングル──。


「ぶっひ!!」


「……なんで降井くんが雌豚発動してんの? それは私の専売特許のはず」


「んなことぁどうでも良いんだよ!! ふ、ふふ、ふきゅ、ふきゅは!?」


「ふきゅ?」


 首を傾げながら、自分の姿を見渡した。


「あ、いつものことで忘れていた」


「そんなあっさりな反応!?」


「まぁ見られて困るプロポーションはしていないから」


「そういう問題かよ!!」


「それに、降井くんには裸を見られるよりも恥ずかしいところを見られている」


「雌豚に羞恥の自覚あるんだね」


「圧倒的今更感」


「そっかぁ──とはならん!! さ、さっさと服を着てくれ、理性が吹き飛んでちまう!!」


「り」


 月影さんは特に焦る様子もなく、自分の部屋に向かって行った。


 いや、いくら自分の家だからって油断しすぎだろ。それに、何の焦りもない。俺なんかに見られても気にならないってか。それはそれで複雑だな。



「……」


 服を着た月影さんより、「降井くんもお風呂入って良いからね」と許しを得たので、風呂好きな俺は遠慮なくもらうことにしたんだが、じーっと浴槽を見つめてしまう。


「……さっきまで月影さんが入っていた湯船」


 つい先程の月影さんの裸はまだ脳内にくっきりと残っており、あの姿の彼女がこの湯船に浸かっていたことを思うと、ゴクリと生唾を飲んでしまう。そのまま湯船の湯を飲んでしまおうかとも思っちまうね。いや、流石にド変態が過ぎるからそんなことはしないが。


 つうか、こんなん思春期男子には興奮材料でしかないんよ。美少女の残り湯にダイブしたいとか思ったけど、そんなことをした日にゃ俺は変態の烙印を押されて……ん? 本当に押される? 俺の考え以上にやばい思想の奴等を知ってるぞ。


 え? いく? いっちゃう? 月影さんの残り湯に包まれちゃう?


「──ぬぉぉぉおおおおおぉぉ」


 気合いを入れてシャワー出した。そのままシャンプーを拝借して、少し強めに頭を洗う。


「俺のへたれどーてえええええええ!!」



「良い湯だった?」


「いや、シャワーだけです」


「それはいけない。やはり疲れは湯船に浸からないと取れない」


「はは。所詮俺はへたれですよ……」


「?」


 湯船上がり、月影さんと俺の会話が噛み合っていない中、ぎゅるるとお腹の音が鳴り響いた。俺ではない。月影さんだ。


「お腹すいた」


 どうやらお腹が鳴っても恥じない系女子らしい。欲望をそのまま俺に伝えてくる。


「晩ご飯まだだし、腹減ったよな。出前は──」


 反射的に窓の外に目をやると、さっきよりも強い雨が降り注いでいるのがリビングから見えてしまう。


「こんな中を出前取るのも気が引けるな」


「確かに。買いに行くのも論外」


 電車が動いていないうえに、外に出ると危ないから泊まらせてもらっているのに、外に買いに行くなんて論外だよね。


「月影さん。料理はしないの?」


「ふっ。甘く見ないで」


 彼女はドヤ顔をしてから言い放つ。


「壊☆滅☆的☆」


「すげーや。逆に清々し過ぎでお星様が見えちまったよ、俺」


「降井くんは?」


「簡単なものなら」


「うそ。料理できる系男子?」


「一応、飲食店の息子だからな。ある程度はできないと。俺で良ければ作ろうか?」


 そう言うと、月影さんは少しばかり目を輝かせた。


「冷蔵庫の食材はうんと使って良い」


「あいよ」


 家の人からの許可もえたので、バカでかいカウンターキッチンにある冷蔵庫を開けさしてもらう。


「……食材は、うんと、ね」


 豪邸に相応しい大きな冷蔵庫の中身は卵しかなかった。冷凍庫には冷凍ご飯のみ。


「普段、出前かコンビニだから」


 そうですかい。こんなに立派なキッチンなのに勿体ない。宝の持ち腐れだなぁとか思いながら、冷凍ご飯と卵を数個取り出した。


「チャーハンで良いよな」


「手作りチャーハン?」


「食材が少ないから質素なチャーハンになるけど」


「良い。チャーハン好き」


 まさか豪邸でチャーハンを作るとは思いもしなかったが、彼女が良いと言うのなら良いのだろう。


 簡単にサッとチャーハンを作ってあげる。調味料は大量にあったから、塩胡椒だけ使わせてもらった。大量の鷹の爪は見なかったことにしておこう。


「はい、お待ちどうさん」


 質素なチャーハンだってのに、テーブルに座る月影さんはまるでお子様ランチが届いた子供みたいに、無邪気な顔をして食べてみせた。


「おいしい」


「良かった」


 俺も食べてみたけど、いつもより味が薄い気がしたが、それでも彼女がおいしいと言ってくれるのは素直に嬉しかった。

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