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コスプレカフェを始めたら学園の三大美女が性癖を曝け出してやって来たんだけども  作者: すずと


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第45話 みんなの成績は?

「初バイトおつかれさま」


 今日も一日大盛況で終えたカフェふりー、クローズ後の店内。


 新人の月影さんへお疲れ様のコーヒーをプレゼントすると、「ありがとう」と素直に受け取り、仕事終わりのコーヒーを飲んでくれた。


「一日見てたけど、月影さんはなんの問題もなかったよ。次回からはフォローなしで一人でやってみようか」


「う、うん……」


 どこか歯切りの悪い返事に首を傾げてしまう。


「もしかしてまだ不安? でも、見てる限りは余裕そうだったけど」


「違う」


 どうやら仕事の不安じゃないみたいだ。


「えっと、もしかしたら、この仕事合わなかった?」


「違う」


 どうやら仕事の不満じゃないみたいだ。


「なんか、あった?」


 月影さんに問うと、彼女は思いの丈を話してくれる。


「誰も……私を罵ってくれなかった」


「はい?」


「今日一日働いて、『めっちゃかわいいですね』とか、『クーネス似合ってますね』とか、『クーネスさんが持って来てくれるコーヒー超おいしいです』とか──」


 月影さんは手で顔を覆い、声を震わせる。


「褒め言葉しか……褒め言葉しかなかった……なかったん、だよ」


 こいつはなにを言っているんだ?


「いつ、私は罵られるの? いつになったら私は貶されるの? いつになったら私をめちゃくちゃにしてくれるの? 不安と不満が募るこの職場。私の夢はいつ叶うの?」


「やかましわっ。なにを詩みたいに言ってんだ、この雌豚っ!!」


「ぶっひぃ♡ 今だった……♡ 勤務中じゃなくて仕事終わりに叶った♡ やべ♡ 仕事終わりの疲れた脳に罵るがきっきゅぅぅぅ♡♡」


 俺の浅めのSが疲れたドMの脳みそにクリーンヒットして、彼女は机に突っ伏して昇天しちまった。


「ザコ過ぎるだろ」


 つい思ったことをポロリと言うと、ぴくんと跳ねた。


「ザキョ……♡ ああん♡」


 あかん。この子ったらゾーンに入っちまった。何を言ってもドM発動する雌豚ゾーン。こうなったらなにも言わないのが得策だろう。


「みんなーおつかれさまー」


 親父が今日も閉店後の挨拶をしてくれる。


「もうすぐ期末テストだよねー。みんな、学生さんだし学業優先だから、遠慮しないで休んでねー」


 あ、もうすぐ期末か。うわー。だりぃ。忘れてたのに、このクソ親父め、思い出させやがって。


 ぶつぶつと脳内で親父様に文句を垂れていると、「きまちゅ……♡」と月影さんが起き上がった。


「きまちゅゅ♡ オワタアアアアアア♡♡」


 大絶叫の月影彩芽。


 いや、期末試験前に大絶叫するのは同感だが、こいつの場合、俺とはその意味合いが大きく違ってくるから安易に共感はできんな、これ。


「あはは……月影さんの反応から成績良くなさそうだねー。わかるなー。僕も成績は良くなかったからさー」


 親父。さっきの月影さんの反応を見て言うことはそれだけか? それだったらあんたは完全に毒されているぞ。


「あー、彩芽は成績良くないもんねぇ」


「クールビューティの見た目で赤点常連者だしー」


 他の学園の三大美女様も認める月影彩芽の成績の悪さ。


「ちなみに佳純の成績は?」


「私は平均80点くらいかなぁ」


「普通に良い成績」


「国語が得意で数学がちょっぴり苦手」


「保健体育は大得意ってか?」


「え? なんで?」


 ふん。勘の鈍いやつだ。この変態め。


「有紗は?」


 佳純の質問をスルーして彼女に問うと、パーにしてそれをそのまま目元に持っていく謎のギャルポーズ。ギャルパーだ。


「あーし学年5位常連☆」


「は!? ギャルなのに!?」


「ギャルなのに成績良いのウケるっしょ☆」


「授業中スマホ触ってんだろ」


「触ってるけど、それは授業がウケるほど簡単だからだしー」


「保健体育で成績稼いでるとか?」


「あーし、運動マジ得意よん☆」


 ふん。勘の鈍い奴だ。この変態め。


「七式さんはどれくらいなの?」


「赤点は回避できるレベルです……」


「赤点じゃなかったら全然大丈夫っしょ☆」


 お前が言うなよ、学年トップ5。嫌味にしか聞こえんぞ。


「雪村さんと水瀬さんの成績が良いなら、二人で月影さんの勉強見てあげたら?」


 親父の提案に学園の三大美女のふたりは苦い顔をする。


「実は……一年の頃にもうやったんですよ」


「へ? そうなんだ」


「いやー、あーしらの教え方って下手みたいで、彩芽にはあんまし伝わらなかったんすよねー」


 なるほど。現役時代に凄い成績を収めたプロプレイヤーが、凄い監督になるわけでもない。実際にプレイするのと、教育するのは別物というやつか。


「だったら自由が教えてあげなよ」


「い?」


 この親父様はいきなりなんちゅう無茶振りをしてくるんだ。


「自由って成績地味だけど面倒見良いから適任でしょ」


「成績地味とか言うな、くそ親父」


「自由くんの成績って?」


 親父の余計な一言が気になったのか、佳純が首を傾げてくる。別に隠しているわけでもなし、素直に答えてやる。


「平均60点くらい」


「あ、うん。地味だね」


「地味とか言うなっ!!」


 こちらのやり取りを聞いていた有紗が、「きゃっはっはっはっ」とギャル特有の笑い方で手をパチパチ叩いて爆笑してらっしゃる。


「やっば、自由くんらしくてばぶみ感じるわー」


「だったらせめてばぶみを感じる笑い方をしろ!!」


「成績トップ5の笑い方だよん☆」


 ムカつくー。頭の良いギャルとか最強かよー。


「そんなわけで、成績は地味だけど、面倒見の良い自由が月影さんを見てあげること。わかった?」


「なんでそんな流れになってんだよ」


「月影さんも大事な戦力だからね。期末試験で補習になってバイトに来れないってのもウチとしては困る。それに夏休みも補習に行くことになるなんて可哀想でしょ。学生の夏は貴重なんだし、自由、月影さんの赤点を回避させてあげること。これは店長命令だよ」


 ふんっと筋肉をモリモリにして見せてくる甘いマスクの中年。忘れていたが、こいつもまた一人の変態である。


「頼んだよ、自由くん。夏休み、みんなで笑って迎えたいし」


「あーしらじゃ無理だったけど、自由くんなら余裕っしょ☆」


 簡単に言ってのける学園の三大美女のふたり。


「補習で月影さんにコスさせてあげれないのは嫌だ」


 色葉すらも勉強を教えろと言ってくる始末。


「きまちゅ……♡ ほしゅゅ♡ ぬぁぁ♡ たぎりゅゅゅゅ♡♡♡」


 当の本人は未だにドM発動中。


 この子の場合、補習の方が良いのではないだろうか。




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