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コスプレカフェを始めたら学園の三大美女が性癖を曝け出してやって来たんだけども  作者: すずと


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第38話 ばぶみでスーパー制圧中

 イケメンムーブ爆発のばぶみたっぷりナースネーチャに扮した有紗とやって来たいつものスーパー。


 スーパーでもナースネーチャのコスプレは随分と目立つようで、周りの人からの視線をビンビンに感じてしまう。


「ねぇ、ママ。あの人耳付いてるー。かわいいねー」


 そんな無邪気な子供の声が聞こえてくると、有紗はニコっと笑顔で子供に手を振ってあげていた。その顔はばぶみ発動の変態的顔面ではなく、母性溢れる子供好きな顔であった。


 彼女が手を振ってあげていると、とてとてと小さな子供が有紗に抱き着いた。


「ん?」


 唐突に有紗へ抱き着いた小さな子供が彼女を見ると、泣きそうになっていた。有紗から溢れるばぶみで、お母さんと間違えてしまったのだろうか。彼女はそんな子供の顔を見て、優しい保母さんみたいな顔をしてあげている。


「どしたー? 迷子かー?」


 ポンポンと頭を撫でてあげると、「すみませーん」とすぐにお母さんのご登場。何度も頭を下げてくる。


「すみません。この子、他人に懐かないんですが、どうしてだろ、すみません」


 お母さんも予想外のことで困惑している様子だが有紗は笑顔で、「いえいえー」と明るく言って、小さな子供に手を振っていた。


 流石は学園の三大美女様。そのルックスとばぶみで小さな子供が寄って来るってか。


「海斗くんやら莉乃にはばぶみ発動させるのに、実際の子供にはばぶみ発動しないのか?」


「いや、そりゃ発動しかけるけど、見ず知らずの子供に発動させたら犯罪じゃん。そこはやばいから我慢っしょ」


 変態にも理性はあるらしい。


「俺には我慢せず、ばぶみ発動させるのに?」


「自由くんは、その、なんていうかな……なんでもありっしょー」


「っなわけないっしょ」


 このばぶみのナースネーチャ、とんでもないこと抜かしやがる。


「それで、今日は何を買いに来たの?」


「あ、ああ」


 スーパーに来たのに、このままだと有紗の母性溢れるばぶみで、ここに子供が大集合を果たしてしまうな。それは困るため、すぐに買い物に移るとしよう。


 買い物と言っても大したものは買わない。頭の中で刻んだメモを呼び起こす。


「醤油、かな」


「醤油ね。おっけー」


 返事をして一人で向かって行ったということは、醤油を待って来てくれるということかね。なら俺は俺で塩と砂糖を買うとするか。


 そう思って塩やら佐藤が並ぶ陳列棚の方へ足を向けた。


 うーむ。塩一つ取っても色々な種類があるよな。どれをどの用途で分けるとか俺には全くわからん。いつもの安い塩を買い物カゴに入れ、砂糖も同じく適当なものを買い物カゴに入れた。


「持ってきたよん」


 塩と砂糖を買い物カゴに入れたタイミングで戻って来た彼女。流石はナースネーチャ。足が速いことで。


 振り返ると同時に瓶を渡されてしまう。


「そうそう。これこれ。寒い時はこれをグッと飲むと、カアアってなって、一気に体温上昇だね。って、これウィスキーやないかい」


「ウチ好き? えー、いきなりスーパーで告白とか困るんどすけどー。告るならやっぱ学校の屋上とかがマストっしょ」


 有紗は身体をクネクネとしている。どうやらイケメンなギャルでナースネーチャな有紗様は学校の屋上での告白をご所望らしい。王道だね。


 じゃなく。


「誰がウチ好きって言ったんだよ。ウィスキーだよ。つうかお前、一人称、『あーし』か『わたし』だろうが。そもそも、なんで言い分けてんだよ」


「ノーマル有紗があーしで、シリアス有紗がわたしだよん☆」


「あー、なるほど」


「これでまたわたしのことが知れたね」


「「イェーイ」」


 パチンと謎のハイタッチ。


「今のはシリアス有紗なのか?」


「だよん☆」


「じゃあシリアスついでにちゃんと醤油を取って来てくれ」


「うい」


 ♢


「──まさか、ここまでとはな」


「めんぼくない」


 スーパーの帰り道。一つ嫌味をつぶやくと、視線を伏せておられるギャル様。


 俺だってわざわざ嫌味なんぞ言いたくもないが、醤油もわからないとは思わなかった。それに加え、七味が欲しいと言ったら辛子を持って来る。わさびが欲しいと言えば生姜を持って来る。


 自分の常識は相手の非常識だと思えと親父には教わっているが、これは完全にこの子が非常識で良いよね?


「うう……役に立つために来たのに、これじゃあ自由くんの足でまといだよね……」


 ついさっきまでのイケメンムーブがウソみたいに項垂れてしまっているナースネーチャ。


 そんな彼女を見て、「あはは!!」と、ついつい笑ってしまう。


「な、なによぉ」


「いや、お世辞にも役に立ったとは言えないからさ」


「わ、わかってるから、これ以上傷口を広げないでよね」


「まぁ、役に立ちたいとか、仕事ができるように見られたいっていう気持ちはわかるんだけどさ、やっぱり適材適所ってあるだろ。有紗は今のままポンコツで良いんじゃないかな」


「ちょ、めっちゃストレートに言うじゃん!! 嫌なんですけど、それ!!」


「間違っても、空回りしても、俺は有紗の良いところを知っているからな」


 風邪を引いたら見舞いに来てくれる。役に立ちたいと休みの日も店を気にして来てくれる。はた迷惑と捉える人もいるかもしれないが、純粋にそう思っているからだろうか、俺としてはその心がけは嬉しいものだ。


 そんな純粋な彼女だから子供達が寄って来る。子供は素直だから、そういった人のところにしか集まらないだろう。


「……ッ!?」


 こちらの発言を、有紗は受け流すように視線を逸らした。


「そういうの、反則なんですけど……」


 ぽつりとこぼした言葉は俺の耳にまでは届いて来なかった。


「え? なんて?」


「なんでもないよっ。半分持つ」


 そう言って半ば強引に俺の持っていたエコバッグを半分持ってくれる。


 重い物なんて入ってないから大丈夫だぞ。なんて言おうとして言葉を引っ込めた。


 こういうところも有紗の良いところなんだよな。


「こうやって持つと夫婦っぽいでしょ」


 た、確かに、スーパーの帰りに荷物を半分こするのは新婚夫婦みたいでエモい。


「あはは。自由くんはすぐ顔が赤くなりまちゅねぇ♡ またありさお姉ちゃんでばぶみ感じまちゅか♡♡」


 こうやってすぐばぶみを発動させるのがたまに傷だがな。

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