帰ってきたぜ北海道!
「うっほーい! 帰ってきたぜ北海道! 神が不在の間、大地は乱れ狂っちまったかもしんねぇがもう安心だ!」
「あんたごときが全道の治安を維持できるなら警察なんていらないわよ」
「よお万希葉、いつの間にか合流してるじゃねぇか、静香と萌香も」
「アタシらはバカンスだ! な、萌香」
「あははー、向こうは暑かったねー」
新千歳空港に降り立った神威たち一行。ゲートを抜け、電車乗り場へ向かっている。
「そういや勇の気配がないな。どうした? 確かに一緒に飛行機に乗ったんだけどな」
「お、俺は、ここにいる……」
羽田から1時間半の空の旅。ゾンビ化した勇は麗に水を飲ませてもらい、柳のように両手を垂らしながらもなんとか立っている。
「なんだなんだ相変わらずだな! 怖かったらオナってるといいぜ! そうすりゃあっという間に着陸だ!」
「そ、そうか、今度から、そうする……」
「おうよ! だが便所は独占しちゃだめだぞ! ちゃんと席に座ってやるんだ」
「わかった……」
「ちょっとなに吹き込んでんのよ。いまの勇は神経が衰弱しきって善悪の分別がつかないんだから」
「あははー、見えないようにマッキーが覆い隠してあげればだいじょぶさー」
修学旅行同様、今回も万希葉が勇の隣に着席して介抱していた。
「ちょっ、無理無理ほんと無理!」
「介護だよぉ。いやらしいことなんてないからだいじょぶさ~」
「そ、そう言われたって、やることは、結局同じだし……」
大衆行き交う開放的な空港で下品な会話を繰り広げた一行は、電車に乗って40分後、札幌の地に降り立った。




