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逃げた神々と迎撃魔王 現世編 〜おしかけ異世界転移して来た、怪力金髪美女と変態金髪美女。俺の人生のパートナーは、身に覚えのない娘からの贈りものだった〜 前編

 長文タイトルは遊びです。逃げた神々と迎撃魔王の番外編になっています。

◇ 俺は異世界転移していないはずなのに····


 目の前に突然現れた金髪美女二人から、俺は人生で初めて告白された。冗談でもドッキリでもない。


 急にやって来てどちらかを選べと言われても、俺には何が何だかわからない。どこかの国のコスプレイヤーの優劣でも決めて欲しいのだろうかと思ってしまう。



 この時に何が起きたのかを後で美女二人からの説明を受けた。でも俺には思いあたる節がないから、理由がさっぱりわからない。


 そもそも俺は、掃いて捨てるほどいる底辺労働者だ。三十を過ぎても、工事現場の交通誘導の警備員の仕事しか就けなかったおっさんだ。警備員が底辺なわけじゃない。やりたい仕事につけなかったから底辺だというわけだ。

 まあ、どうでもいいか、今更だからな。今日も朝からニヤニヤしていた学生達が、鼻をつまむ仕草をしながら嫌味ったらしく寄ってくる。


 ハイハイ、楽しそうで羨ましいよ。男女二人ずつの甘酸っぱい青春なんてなかった俺には眩しいことだよ。だからって、いちいち絡んで来なくていいだろう。何が楽しいのか鼻をつまんだまま、ゲラゲラと小馬鹿にして笑う。


 まあ、それくらいは日常茶飯事。もっと酷い現場だと、頭のおかしいドライバーが殴りかかってくるからな。監視カメラは無理でもボイスレコーダーは必須。それに比べたら、今回は楽な現場だよ。


 ただ、その日はいつもと違った。ムカつく学生達が輝いたと思った瞬間に消えたのだ。そして消えたはずだと思ったら、美しい金髪の女性が二人目の前に現れた。、それに消えた学生も姿を変えて戻って来た。

 あれ、さっきの学生達だよな? 急に俺より老けてないか?


 金髪の女性二人のうち一人は簀巻きのような状態で転がり、もう一人はガウツ、という言葉をしきりに叫びながら、しょぼくれたおっさんの俺に強く抱きつき泣く。


 何が起きたのかわからない。見たまんまの情報が処理しきれないって、こういう事を言うんだな。俺は大学受験には失敗したが、それほど頭は悪くないつもりだ。

 しかし、目の前に起きている現実を俺の脳が理解出来ずに固まってしまった。


 見覚えのない、明らかに外国の金髪美女達。なんでかわからんが、泣きながら締め殺すつもりかってくらいギュッとしがみついてくる。

 晴れて魔法使いになったご褒美なのか?

 そんな妄想が頭をよぎる。なにせ、いい匂いが鼻腔をくすぐり、柔らかな肢体が俺の何かを刺激する。

 

 ただ、泣いて叫ぶ名前らしき言葉には心当たりがない。人違いだよ。

 それに、転がっているもう一人の金髪美女は、明らかに変態だろう。拘束されて動けないのに、ニヤニヤ不気味に微笑んでいる。煽情的ではっきり言ってエロい姿だ。


 同じニヤつきでも学生達のムカつく嫌な笑いと違い、この拘束された美女の笑いは変質者のそれだ。同じような髪の色なので姉妹なのか? 美人だけど、あまり顔は似てないか。


 そして、しゃがみこむ学生達は一気に三十近く歳を取った感じだ。

 あの一瞬で何が起きたのか知らないが、中年のおっさんとおばさんのピチピチの学生服姿はキツい。

 なんだか戻って来れただの、死んだはずだの、喜び叫びあいながらも混乱している。


 とりあえず、登校中の他の学生達が奇異の目で俺たちを見る。特に簀巻きの金髪美女が不味い。

 俺のせいではないけれど、この工事現場に人だかりが出来てしまい、通報を受けた警察に連行される事になった。

 学生だった者たちは学生服のためか見逃された。逆に関わらずに済んでそれは良かった。

 この美女二人と関連があれば、面倒事がさらに複雑になりそうだからな。


 はぁ、それにしてもこれはもう仕事はクビだろうな。夏場や冬場の極端な暑さ寒さは厳しい現場だが、割のいい仕事はこれしかないのに。

 大体この美女二人に関係するのは俺じゃなくて、あの老けた四人の学生だった者達のはずだろうにいいのかよ。


 言葉が通じないのかと思っていたが、日本語をしっかり喋っていた。

 ただ言っている事の意味がわからず、警察もただの痴話喧嘩に付き合っていられないと釈放してくれた。


 裸同然で簀巻きにされた金髪美女に関しては、引き取り手のなくなった押収物のコートを譲ってくれた。同じような行為(プレイ)をして刃傷沙汰を起こした女性のものだそうだ。


 まあ、妥当な判断だよな。俺だって見た目で避けたくなる。美女であっても、関わっちゃダメなやつの見本みたいだよ。

 他人事だったのなら俺もそうして見なかった事にするだろうな。いくら美人でも警察官公認の変質者を、なんで俺が連れて帰る流れになっているんだ。密入国者とか、不法滞在者として連行しなくていいのかよ。


 なんかおかしい。どう見ても東欧系の金髪美女二人、調べないといけないものがあるだろうに、俺の身内という一言で問題なしとされてしまった。

 警察はあてにならない。とにかく目立つ二人を連れて、俺はボロいアパートへと帰ることにした。

 


「それで、名前は何て言うんだ」


 オンボロの安アパートに、似つかわしくない金髪美女二人。はっきり言って目のやり場にも困るボリューム。

 海外の美人モデルがなんの脈絡もなしに、底辺労働者の日常に関わる図を想像してみて欲しい。

 彼女達の口にする異世界転移の話しより、あり得ない現象だよ。


「あたしはサンドラ。あんたとは、冒険者としてずっと一緒に旅をして、その最期も見届けたものさ。世間では夫婦と思われていたよ」


 怪力の金髪美女はサンドラという名前らしい。最後の夫婦という言葉は、もう一人の美女へ牽制を含めた言葉のようで挑発するように笑った。


「ぐぬ〜、おまけのくせに図々しいわね。私はリエラよ。貴方には生命を救われて将来一緒になる約束したのよ」


 まともにしていれば、リエラは知的で美しい女性だった。しかし、シリアスな表情は続かず、サンドラにデコピンされ苦悶に呻く。この美女のパワーがヤバそうだ。


「それで、異世界からやって来たのが本当だとして、そっちの世界の俺は死んだのだろう? いくら時間を超えて俺の所に来ようと、そっちの俺と今の俺は一緒のようで別人だろう?」


 異世界ものについては俺だって少しは知識はある。底辺生活からおさらばして、チートスキルで無双出来たのなら、なんて現実逃避したくなるような生活だ。


 いまはおっさんとなったとはいえ身体はまだ動く。だが、もうまっとうな仕事につくことは出来ないだろうし、困窮して誰にも知られず死んでゆくと思っていた。


 異世界に行けた別の俺は、小さな幸せを手にはしたようで安心したよ。俺が素体でも、まっとうに生きて行けたんだな。

 ただ話しを聞いている限り、女っ気のないまま幼い娘を引き取り、成長を見守り続けることが叶わぬまま、亡くなったようだ。


 サンドラとは二十年以上側にいて、キスの一つもしてなかったらしい。

 その俺が、俺本人かどうかは分からないが言ってやりたい。

 何してんの俺は。こんな美女が好意を寄せていて、異世界から駆けつけるくらい惚れてくれたのに、馬鹿なんじゃないだろうか、と。


 リエラについては、彼女の一方的な想いが強いので仕方のない事だ。というか愛が重い。幼い頃の一幕でどうしてそこまで踏み込めるのだろうか。


 幼い頃に会ったっきりのおっさんに惚れるかな、普通。

 助けられたにしても、実際に助けたのは俺一人じゃないようだから、俺だけに惚れるのだっておかしいだろ。


 しかも、こちらへやって来ようと言い出した張本人のようだから尚の事わからない。

 話しを聞く限り、二人を送りこんだのは、俺を父親と尊敬しする愛らしい優しい娘というじゃないか。

 それがなんでこのリエラという金髪美女は拘束され、簀巻きにされた状態で異界から送られて来たんだよ。


 危ないメンヘラ女なのか、変態をこじらせ過ぎて病んでいるのか良くわからない。しかしてその拘束しないと危険だという人物を、どうして俺のもとへ送って来たのか聞きたいよ、我が見知らぬ娘にさ。


 二人の言っている事は相変わらず分からない。俺を彼女達のいた世界の俺として語られても、今の俺はそこへ行った俺ではないのだから当たり前だ。

 俺をいくら褒めようと、その俺は俺ではない。

 ただ、自分の置かれている状況は理解した。


 どうも異世界へ渡った俺は、あちらでは予定されていなかった招待者という事になる。

 チートスキルをもらって無双とか、転生して若返って、こちらの世界の知識で人生楽勝モードとか有り得ない話しだったよ。


「それでどっちを選ぶんだい」


 俺の困惑などお構いなく、サンドラと名乗る美女が俺の側に寄って来て、身体をピタッとつけてせまってくる。顔が真っ赤だ。多分、こういうやり方が苦手なのだろう。

 俺も人の事は言えない。そのせいでサンドラとあちらの俺は、ずっと互いに気持ちを言えなかったらしい。

 その辺りの思考は俺っぽいなというのが情けない。


 話しに上がる活躍を聞くほど、本当にそれは俺なのだろうかと思う。こんな美女に好意を持たれて、ずっと何もなく過ごせるほど、過酷な世界ってわけでもなさそうだよな。

 活躍自体も俺ではないと思わざるを得ないしな。


 リエラという変態金髪美女は、逆になんの恥じらいもなく擦り寄って来る。

 拘束を解いたら本当に素っ裸で、警察の方からコートを貰って正解だったわけだが、どうしてこの女性まで俺に送りつけたのかが、サンドラ以上にわからん。何度も言う、娘が俺を愛しているのかは疑わしいよな。


 落ち着いて考えてみれば、サンドラの惚れた男に対する愛の気持ちは、俺にも少しはわかる。

 本当の俺というのも変な話しだが、俺であったものの原形は俺なのだとすれば、せめてその原形である俺を幸せにして報いたい、サンドラが言いたいのはそういう意味なんだと思う。

 

 俺には確認しようがないし、そいつは俺の分身のようなものだ。違う世界で知らない人生を歩んだ時点で、別人だと思う。

 たぶん、このサンドラという娘はそれをわかっている。俺の娘というレーナも、わかっている。


 なんというか知った上で、俺という存在の元になった本体ごと幸せになってもらいたいのだろう。

 だから困る。その気持ちは嬉しいし、悪い気はしない。

 俺が何かしたわけじゃないのに、俺という存在が特別だと言ってもらえている気がして、それだけで充分救われた思いだ。


 だからこそ、添い遂げるだの、子を成すだのは受け入れられない。

 理性が壊れそうで自信はない。でも俺はきっと、俺だからわかる。チートとは言わないまでも、俺は力を与えられ、珍しい装備と、それなりの地位をもらっていた。

 もうその時点で詐欺みたいなものじゃないか。


 そんな俺だから、それが俺の権利の如く言われても跳ね除けてやるさ。きっと、別の世界の俺もそうしたはずだ。


 現実の俺は、安いボロアパートに住み、明日をも知れぬ底辺労働者に過ぎない。

 彼女たちが見た俺は虚飾された俺であって、元になっていようがなんだろうが、美女に迫られたら心が簡単に揺らぐクズなんだよ。


 思うにあちらではきっと与えられた力もあって、それなりに自信もあって余裕があったんだろうな。

 でも、現実の俺は見ての通りだ。好意を持たれていることにつけ込んで、欲望を吐き出しかけてる情けない男だった。


 だから、もう帰ってほしい。きっと幻滅させるから。せっかく俺であったものが築いた誇りを、俺自身が打ち砕いてどうするんだよ。


 据え膳食わぬは男の恥なんて言うけど、俺は顔を真っ赤にしながら想いを告げる女の人を愛おしく思ってしまった。俺であったものも、同じ気持ちを抱いたのはわかるよ。


「そんな面倒臭い女なんかずっと放っておけばいいのよ。さあガウツ樣、私を好きにしてくださいな」


 サンドラとの間に割って入ったこのリエラは怖い女だ。頭が良すぎて変なやつの典型みたいだ。

 裸のままじゃ何かと不味いのでリエラには、自分の持っている中で一番綺麗で着心地の良いTシャツと、未使用の男物のパンツにスラックスを着てもらった。

 

 このリエラという女性は、とにかく頭がおかしい。話しを聞く限り、俺であったものとの縁は多少あるにしても、その思いだけで異世界までやって来る思考が理解出来ない。


 想い続けたのはいいとして、サンドラのように近しい存在だったわけではない。幼い時に助けてくれた相手の中の一人に対して情愛が深すぎて怖い。

 顔すら忘れているような相手、そして既に亡くなった相手なんだよな?


 いまも欲望そのままに身体を擦り付けてくるが他人に近しい、いやほぼ内面も知らない他人の俺にどうしてそこまで開けっ広げに迫れるのだろうか。

 サンドラが手刀一発で退けてくれたが、その目は肉食獣そのものだ。


「話しはわかったし、気持ちも伝わったが、俺には君たちの期待に応えられない。悪いが元の世界に帰ってくれないか」


 俺は冷たく言い放つしかなかった。もう十歳若ければ、理性など飛んで、貪りついた。でも、今の俺にはその後の責任が取れない。サンドラは好ましい女性だし、リエラは基本的に悪い娘ではない。

 だからこそ、この世界に置いておくわけにはいかない。


 あちらで俺が既に亡くなっているというのなら、かわりに俺が行くというわけにはいかないのだ。


「はぁ、わかっていたけど頑固だよね」


「私達、ガウツを口説き落として種をもらうまで戻れないのですよ。貴女の娘さんにそういう魔法をかけられてますから」


 何してくれてんの、その娘。口説くというか種って何だよ。完全にやりに来てる痴女そのものじゃないか。


「あんたのそういう性格の根本を、あの娘は見越して言ってるのさ」


 一番ヤバいのは俺の娘のようだ。俺が亡くなって悲しんだんだよな。それを乗り越え愛する男と結ばれて子まで成して、今更俺を気にするのか?

 それに俺をあちらに送りつけた原因の偽神とやらは、彼女達の世界をあらす災厄のような存在なわけだ。

 

 現にあの学生達は俺と違って望んで召喚されて、あちらの世界でだいぶ好き勝手にやらかしたらしいからな。

 おっさんおばさんになってから学生時代に戻されたって、死ぬより過酷な現実が待っている気がする。まあ、彼らは戻ってこれて喜んでいたけどな。


 俺を馬鹿にした連中だし、ざまぁと思わないでもない。ただ、彼らも何もわからず異界に攫われたようなものなので、その点は同情する。


 しかし、その後の行いについては、話しを聞いた限り好き勝手にやっていたようだ。こちらの世界では当然罪になる、許されない行動が目立った。

 やけになったとしても自制せずやった事には変わりなく、あちらの世界での流儀に乗っ取り殺されても仕方なかったと思う。


 俺の娘はそのあたりは厳しいようで、俺のために彼らを俺と同じ状況に立たせたようだ。俺と違って仲間がいるだけマシかもな。


 ひとまず話しの内容は突拍子もないが、行くあてのない女性二人を放り出すわけにもいかない。

 異界から来た人間も外国人扱い、不法滞在者にのるのか?いやこの場合は密入国者か。


 異世界召喚というのがあるならば、俺は行ってみたい側であって、来て欲しい側じゃないんだよ。このどん底の暮らしから抜け出す方法なんて思いつかない。相談出来る友人がいれば違ったのかな、と思う。

 大学受験に失敗し落ちぶれていく一方の姿を見せたくなくて、自分から拒絶してしまった。

 他人の失敗を嘲笑っている内はまだ余裕があるものだと思ったものだよ。

 わたし脱ぎます、とデカデカと載せたタイトル。恥じらうサンドラと流暢に喋る知的なリエラ。誰が、いつ、どこでなどどこにも載せてないし、発言していない。

 

 ほんの数十分のゲリラ的な放送で、俺のひと月のバイト代を稼ぐ。

 女がどうこういう気はない。お金を簡単に投げ入れるやつが男とも限らないが、面倒な手続きを除けば簡単にお金が稼ぐ事が出来て泣きそうだよ。


 タイトル詐欺だなんだ騒ぐが、ちゃんと脱いでるんだよ、わたしという文字が。詐欺じゃないが、詐欺みたいな手段で視聴を稼いで次からどうするんだろうな。

 本当に脱いだりしたら消されるだろうから、煽る方もわかってるんだよな。


「ああいう人達は、脳内がやられたい人達ばかりだから、一度見た以上また釣られ続けるものよ」


 酷い暴論だ。あくまで一時の資金を稼ぐためで、リエラは生活の手段にはしなかった。彼女の本命は、地下世界だという。


「確か、日本という国には富士山という霊峰があるんでしょう? そこから地下の入口の一つがあるはずよ」


 そんな異世界の常識みたいに言われても、創作ファンタジーと違って現実だぞ、ここは。昔見た本やミステリー番組でもたまにあるな、そういう話し。

 そもそも霊山とか神山とか言われて神社まである。登山客でごった返してトラブルも多いようだけど、あれらは富士山の神に参拝するわけでも、敬意をはらうわけでもないよな。


 登山客の酷さに神域が汚されたとしても、地下が消えてなくなるわけでもないけど、財宝狙いに行くのなら俺はもっと酷いやつにならないか心配だ。


 信心深いわけじゃないけど、自分の身に起こってみて初めて実感したしさ。安易に触れちゃいけないものってあるんだってことを。


 現実感のない美人に挟まれてる俺。職場を放棄で仕事を解雇されたせいで、いまだに夢か幻を見ている気になる。それでも、寂しいボロアパートへ帰った時に、迎え入れてくれる人がいるのはいいなと思った。


 リエラの提案には根拠などまったくない。ただ日本各地で昔は金が取れていた事や、日本の古来からある神話を考えると、興味深い話しではある。

 車の免許などないので電車で移動して、あとは歩きになる。その前に二人の服や食料品など買い込む必要もあった。

 どこから取り出したのか、ゲームに出てきそうな装備品を着ようとしていたのを止めた。


「そんな格好で歩いていたら目立ち過ぎだ。それにそっちの世界では、いつも鎧やら何やらを身に付けて歩くのか?」


 海外はどうだったか知らないが、こっちじゃ祭の日やハロウィンの日、大きな会場でイベント関連をやっている時でもないと目立つ。

 最近はまあ、そうでもないかもしれないが、この二人は自分達の容姿をわかっていな過ぎる。


 二人は、もじもじ照れている。キレイだとは思うが、可愛い、愛してるなんて言った覚えないぞ。なんというか都合よく、意味を曲解する。

 悔しいが、なんか楽しい。俺は人との触れ合いに飢えていたのかな。それとも、異性とキャッキャッするのが結局好きってだけなのか。


 ひとまず、どちらが好きかは決められない。狭いアパートの一室に、色気にあふれた金髪美人と、モブ感いっぱいの俺。このまま出て行ってくれないと俺の理性なんかあてにならんぞ、と下手に言うのも不味い。


 考えた出した結論は、結局は送り返すしかない事だ。よくわからんが、もう充分だよ、見知らぬ我が娘。

 ありえない事を体験させてもらえたというだけで、生きていて良かったと俺はつくづく小物だと思い知れて良かった。


 富士山の地下に何があるのか知らないが、必ずこのうるさくて可愛らしい二人を送り返す事を、俺は心に決めた。

 

 

 ご来訪感謝です。一応、前編後編の予定となっております。

 元となる舞台が異世界なので、ハイファンタジーに設定しましたが現世中心なら違うかもしれませんが、その辺りは後に変更させていただきたいと思います。


※ 主人公が現代の世界を舞台にしている物語なので、ローファンタジーに変更しました。

 前後編二話の予定でしたが、前中後の三話になりました。

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