表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/62

5-4そろそろいろいろ

皆様こんにちは。お世話になっております。

からすです。

そういえば、蚊はぶーんと飛ぶから文の字が使われているそうですね。

だから何というわけではありませんが。

●〇●〇


 オオナツの果実表面へ走る細い線へ、裁断の要領で刃先をあてると、わずかな抵抗感の後に刃先が果実へ深く食い込みました。


 お料理は現実でもよくするのですが、感覚的にはそれこそ熟れすぎた柿か桃に包丁を入れた時くらいの感覚です。

 手に持っていた状態では、かなり張りのある柑橘系の果実でしたので大分予想外。


 このまま切ればいいのかな? と思ったのも束の間、指示線を大きく外れている旨の警告文が表示されたことで、慌てて果実から刃先を引き抜きます。


 どうやら力を入れ過ぎたようですね。


 目的は種を取り出すことなので、正直このまま割れば取り出せないかな? とも思うのですが、オオナツは今一つしか持っていないので変なことをするとまた取りにいかないといけませんし、ここは丁寧にゆきましょう。


 もっと表面だけを撫でるように、を意識して、また同じことにならないように作業を再開。


 刃先で指示線をなぞると、表面の皮が小分けに剥がれ落ち、光の欠片となって散ってゆきます。


 幸いにして、丁寧に作業を進めれば、うまくできているかどうかは別として、何とか進められる程度の難しさではありましたので、そこは助かりました。


 かなり集中力の残量が少なくなっているところにこれは少し堪えましたが、適度に息継ぎをしつつ皮むき? の工程を済ませてゆきます。


 間、ぷるぷるし始めそうな手先を休ませつつ進めてゆくと、果実本体が大分ぼこぼこですし、なんだかまだ皮も少し残っている状態なのですが、工程が次へと移行しました。


 実際はそこまででもないのでしょうけれど、かなり時間が掛かったような気がします。


 続いての工程は、カットのようですね。


 果実へ走る指示線が、現れたり消えたり。

 この線に合わせて切っていけばいいらしいのですが……


 現れては消える指示線とにらめっこ。


 ふむ。

 無理では?


 あぁ、んん~?

 一応、指示線の位置が変わったりはしない様なので一か所一か所タイミングさえ合わせれば出来る、のでしょうかね。

 リズムゲームかな?


 指示線の数自体はそこまで多くないですから、やってみましょうか。


 とりあえず一か所。

 他とは現れるタイミングが大きくずれていてわかりやすい箇所から対処してゆきます。


 今、今、いま…… いまっ!


 線の出現に合わせて刃をあてます。

 すると、線の色が赤から緑に変化し、そこにとどまり続けるようになりました。

 説明では、これで成功となるようです。


 そうですね、一つ一つ対処してゆけば、まぁ、出来ないことは無いですか。


 残りも全て順調に、とはいかなかったのが、アビリティが無いということなのでしょうね。


 後半、処理した本数が増えてゆくほど、残りの線のテンポが複雑に変わってゆき、ループも長く変化に富んだものになっていました。

 それが何本も重なり合ってしまえば、もう混乱で一つ一つ丁寧になんて言ってられませんよ。


 さながら難易度の高いリズムゲームでもさせられているかのような感覚です。


 仕方がないので、比較的わかりやすくループしているものだけを済ませ、あとは勘で進めましたが、一部運良く成功したものを除き、ほとんど外してしまったのは言うまでもありません。


 失敗してしまうと、その線は出現しなくなってしまうようでした。


 作業は以上となるようで、全ての指示線を処理し終えた段階で、オオナツに大きな変化が現れます。


 きらきらとした光を発しながら変化したオオナツは、一口大にカットされた状態で透明な器に盛られた形へと変化しました。


 お皿はどこから来たのかな?

 とか、考えちゃいけませんね。


 皮も少し残っていますし、所々の断面は押し切ったようにつぶれていて綺麗ではありませんが、完全に失敗して他のゲームによくありがちな爆発とかしなくてよかったです。


 食料品アイテムのようなので、私は使い道がありませんが、一応アイテム説明を見てみましょう。


==========

『カットオオナツ』

 素人が、オオナツを食べやすい形にカットした、食料品もどき。オオナツの皮に含まれる強い毒性が取り切れていないため、食用には向かない。

調理者:シロ


品質:最低品質

※最低品質付与:精神消耗※


※付与効果▼

==========


 おぉう。

 これまたひどいことになっていますね。


 失敗はしなかったと思いましたが、これはまごうことなき失敗ですね。

 こうなると、もしかすると他のゲームのような失敗は無くてひたすらに悪いものができてゆく、という形なのかもしれません。


 精神消耗とは何なのでしょう。

 気になりますし試してみたいものですが、あいにくと私は食料品系アイテムが使えないので。


 いやー、ざんねんざんねん。


 あとは、付与効果も何かしら付いているようです。

 先ほど作った準芸術品アイテムにもついていましたが、逆に悪すぎても付くのですね。


 折りたたまれている内容を確認してみると、そこには『毒蓄積』の表示が。


 効果としては『使用した場合、対象に一定量の毒を蓄積する』となっていますが、これは毒液の説明欄にも同じものが書いてありましたね。

 この毒は、毒液によって与えられる毒と同じ効果ということでいいのでしょうか?


 ということは、これも投げつけたら相手を毒にできる?

 感覚的には食べ物? ですし、食べないと毒にならない感じがしますが、そこらへんはゲーム的に考えていいのでしょうか。


 まぁ、そんな用途で使うことは無いと思いますから、あまり考えても詮無い事かもしれませけれど。


 そういえば、えっと、何でしたっけ? あのもどきの方の芋虫から毒液が取れたのはこれに毒があったからなのですね。


 もどきではない方からは毒が出ませんでしたけど、そこらへんは、食性の違い?

 毒があるのは果実の皮っぽいですし。


 考えが逸れました。


 いずれにせよ、これは食料品アイテムとしては使い道が無さそうです。

 本来の目的からしてそのためではないので、別に構いませんけれどね。


 それよりも、本来の目的の種は?


 なにか特別なアビリティが無いと種とかそういったものは取り出せないのかとも思いましたが、そんなことは無く、終了直後は見逃していただけでもう一枚のウィンドウがポップしているのに気づきます。


 そこには『オオナツの皮』と『オオナツの種』が素材アイテムとして入手された旨が表示されていました。


 先ほどからいわれている通り、皮には毒がある説明がされていますが、これ、薬師とか、あとそれっぽいのは錬金術師とかでしょうか。その類のアビリティで抽出したら自前で毒液作れたりもするのでしょうか。


 ふむ。

 それも良いですね。


 出来たら結構助かりますよね。毒、強いですから。


 そこらへんもこの後ですね。

 

 無事、目的の種も入手できたところで、森土の入ったポーチを手に種を植えてみることに。


 種を植えようとすると、またもや新しいウィンドウが。

 そこには、また該当アビリティを持っていないことに対する警告。


 どうやら園芸師を筆頭にそれに類するアビリティが無いといけないようですね。


 警告を閉じると、今度は数多くの項目が並んだウィンドウが表示されますが、細かい部分はほぼ全てが選択不能となっており、今選択できるのは植える個数や場所といった、正に素人ができる程度の事だけしかできません。


 露店で買ったよくわからない種は何やら珍しそうなので、今回はお試しで、オオナツの種だけを植えておきます。


 露店で買ったこの種、『オニフスマ』というものの種らしく、名前は見ることができるのですが、それ以外の情報を見ることができないのですよね。

 私の予想が正しければ、照会のスキルの仕様は原生のものしか見ることができていないので、もしかすると、この種は原生のものではないのかもしれませんよね。


 どうしましょうか。

 これの為だけにそっち系のアビリティを取るのは流石に少し抵抗がありますよね。


 種の扱いについては一旦置いておきましょう。


 確かこういうのはあまり深すぎてもいけないのですよね。

 聞きかじりの知識で指の第一関節位の穴を開けてオオナツの種をぐりっとねじ込みます。


 それだけで植えること自体は出来たようで、ポーチの説明にオオナツの種という表示と共にその横に『成長度0%』の表示が新しく追加されていました。


 他にしなければいけないことも、今のところはなさそうなのでアイテムボックスの方に保管しておくことに。

 ボックスに入れていても状態を確認することはできるようなので、枯らさないように頑張ってみましょう。


 クラフトスペースを出る前に、ズボン装備に入れっぱなしにしていた渋草を確認してみますが、説明的にも特に何か変化はありません。


 装備を元に戻し、ようやくクラフトスペースを出ました。


 相変わらず先に起きてくださる真ん中の羽耳受付さんに鍵を返し、ついでに気になっていたアイテムの破棄方法についてのことを聞いてみます。


 お姉さん曰く、アイテムの破棄は素材であれば素材買取窓口でポイントに変えてもらえるそうですが、その他のものの場合は、売却か破壊が主となるようでした。


 そういえば素材買取窓口なんてものもありましたね。


 マーケットで取引できないものや面倒なものの場合は、破壊か、安くはなってしまいますが、こちらの窓口で引き取ってもらうこともできるそうです。


 まだいいですけど、荷物の整理をしないといけなくなった時は思い出しましょう。


 お礼を言ってその場を離れます。


 一旦マケボへ寄った後、向かう先はアビリティ習得紹介受付です。


 そろそろ新しいアビリティも見てみたい頃合いですよね。

 取らないにしても受けておくだけ色々と気になるものは触ってみたいところです。


 マケボへ寄って、魔石の売り上げを回収しますが、売れていたのは一個だけでした。


 他の売値を見るとどうやら私よりだいぶ安い価格で出品している方も多くいらっしゃるようでした。


 取引履歴での価格は右肩下がりになっているようで、今の最低価格に合わせて出品すると少しもったいないかもしれませんね。

 履歴を遡れば、相場は上がり下がりを繰り返しているようですから下がる一方ということはなさそうですし、手持ちくらいのお金があれば一先ずは十分。

 一旦出品していた魔石は回収してしまいましょう。


 マケボでの操作を終え、随分と久しぶりな気がするアビリティ習得紹介受付へ向かいます。


 受付は相変わらずがらんとしており、そのまま窓口に進むことができました。

 窓口ではくるくるピンク髪のお姉さんが対応してくださります。


 ギルド証を提出し、アビリティ一覧の載ったウィンドウを受け取り、窓口を離れて近場の長椅子の端に座り、触ってみたいアビリティを選んでゆきます。


 戦闘系は今の所不足を感じたことは無いですよね。

 しいて言うなら範囲攻撃系があったら何かと楽かも? と思ったくらい。


 薬師系は取ってみたいですし、錬金術師みたいなのでもいいですね。


 あとは裁縫師以外の技師系も気になります。

 木工や彫金、細工、どれも魅力的な響きですよね。


 他は採掘師と、一応園芸師でしょうか。調理師は流石にいらないですよね。


 そうして気になっていたものを思い起こし、アビリティ一覧から選択してゆきます。


 今回申請を出すのは、薬師、錬金術師、木工師、彫金師、細工師、採掘師、園芸師の七種にすることにしました。


 薬師があるので、錬金術師はやら無くても良いかなと思うのですが、どんなアビリティなのか気になるので入れてあります。


 決めたところで、再度受付へ赴き、申請券を発行していただきました。


 「あなたの才に幸あれ」の言葉を頂いて、その場を後にします。


 開始地点はどれも結構ばらばらのようでどれから行くか迷いますね。

 錬金術師は裏通りの方で、採掘師と園芸師は、これ街の外でしょうか?


 それら以外は中央通り沿いに目印が立っていますので、近場から行ってみましょう。


 それぞれの位置を確認しつつ、ギルドを出ます。


 一番近いのはギルドを出て通りを挟んで斜め向かいのお店。

 目を向ければ見える位置です。


 マップには、薬品類の店『U toHeart』と書かれていました。

 読みは…… ゆーとぅーはーと?


 わかりませんね。()()()()です(思考停止


 全然気にしていませんでしたが、こんな近くにあったのですね。

 自分に使うのでなくとも、それこそ毒とかの相手に使うものもあるかもしれませんし、見ておけばよかったです。


 マップはこうして目印が立ったり意識しないと店舗名とかの記録はされないので見逃しがちですよね。


 一度くらい街探索みたいなこともした方がいいのでしょうか。


 そんなことを考えながら通りを横切り薬屋さんへ近づくと、広い入り口は開け放たれ、店内の煌々とした明かりが通りに漏れ、道を照らしています。


 意識して見ていなかったので気づきませんでしたが、お店からはひっきりなしにひとが出入りしていました。

 当然ですが、普通であれば回復薬等々は冒険のお供ですからね。


 店内では多くの方々が棚付近で手元を操作し、おそらく回復薬などを購入しておられるのでしょうね。


 私も出入りする人波に乗って店内へ進みます。

お読みいただきありがとうございます。


もしどこかで面白いと感じていただけたようでしたら、星を光らせてくださると感動します。

あとブクマとかも(強欲

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これはらも【糸操り】みたいに、習得紹介からじゃなくて偶然で見つけったスキルを習得して欲しいですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ