表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/62

5-3芸術に至りうる

皆様こんにちは。お世話になっております。

からすです。

そういえば、御愛想って本来よろしい意味のものではないそうですね。

だから何というわけではありませんが。

●〇●〇


 ドロップ品を使ったアイテム作製もひと段落し、残りは普通に作製していくということで帽子とズボンの作製に取り掛かったわけですが、これらにはドロップ品が使えなかったため、編集の時点で作製可能難度ぎりぎりまで手を加えています。


 とはいえ、これらも元々のレシピの難度が高いためそこまで大きな変更を加えられたわけではありません。

 帽子にいたっては、作製可能範囲内で収めようと思うとそもそも鍔の形や大きさ程度しか変更できる点がありませんでしたし。


 それに比べればズボンはポケットの位置や数、全体のシルエット等々と編集が可能でしたが、こちらもあまり大胆に変更ではありません。


 ものが変わっても作業内容としては今までと変わりませんのでせっせと手を動かし、それぞれ編集したレシピで作製していきます。


 性能的にはどれもほぼ変わらず、帽子は基礎的な防御性能のほかには、鍔を広くしたものには『遮光』、厚手に作ったものには『頭部保護』の効果が付いていたくらい。


 ズボンの方はどれもあまり大きく形を変えることはせずに『簡易収納』という名のポケットを付けたのですが、ポケットは一枠に一アイテムしか入らないうえに『状態保護効果無し』の説明が付いていますので、ウエストポーチに付いている即時使用可能な枠と同様の効果を持っているようではありますが、それにしても使い道がありませんよね。

 

 あ、でも、状態保護効果がない状態だと収納しているアイテムがどうなるのか、というのは少し気になるかもしれません。


 何か変化があるのか、完成したズボンに装備を変更し、どうにかなっても困らないものということで渋草を一本入れておきます。

 保護効果というくらいですから、何か外的要因があって初めて実感できるものなのかもしれませんが、少し実験。


 外見的には、入れた渋草は全ては入りきらずにポケットから顔を出している状態です。


 このまましばらく放置してみましょうね。


 そのままの状態で作製を続け、今度はドロップ品を使わずに編集だけをした上着や手袋、ポシェットも作製してゆきます。

 の、前にちらりとバッグ内を確認。


 『芸術へ至る極点』の効果を確認してみたいので、いくつかのミニポーチを作る分くらいの素材は残しておかないといけません。


 買い込んだ素材にも、もう残り少ないものとそうでないものがあります。


 一番消費が早いのはやはり糸と布でしたね。

 糸のほうは、常に『惜しまぬ強縫』を使い続けているせいもあるのでしょうけど。


 一方で一番消費が遅いのは金具やチャーム類です。

 そもそも留め金等はそういう編集をしなければ一つの作製に一つ二つしか使わないことが多いですし、チャーム類は今のところ、難度的にポシェットぐらいにしか使えませんし。


 バッグの中を見ながら、何をどれくらい使ったのかを少し眺めます。

 予想よりもまんべんなく消費してはいますが、それでもかなり差があるので、今度からは編集した後で必要な素材を決めてから買うとしましょう。


 確認も終わり上着の作製から着手してゆきます。


 当然ですが、どれも先に作った森狼の毛皮を使った上着よりは防御性能の面でも低かったですし、特に何か目新しい効果付いたわけでもなかったですが、上着の内ポケットはズボンのポケットと違い状態保護効果が付いていたのが印象的でした。


 内ポケットも即時使用可能な枠となっているので、今の技量では二つ付けるので難度ぎりぎりでしたが、もっと技量が上がれば懐にたくさんのアイテムを忍ばせることも可能ですね。

 アニメとかでたまに見る、懐から何でも出てくる系のあれが再現できちゃいます。


 その後も、編集を加えたそれぞれのアイテムを作製してゆきますが、丈夫になったり枠が増えたりと今までも見たことのある効果ばかりで、目新しいものはありませんでした。


 一通りの編集したアイテムを作製し終え、いよいよ芸術に至る極点の発動に挑戦することに。


 ほかのアイテムでは発動させられませんでしたので、やはり基礎的な作成難度が一番低い練習用ミニポーチで挑戦してみるといたしましょう。


 まずは練習用ミニポーチに新しく購入した拡張レシピを適用した状態を確認してみます。


 ぱっと見たところでわかる拡張レシピによる変化の内容は、『練習用』というのが外れてミニポーチという名称になったのと、わずかに基礎難度が上昇している点ですね。


 少し編集も試してみましょうか。


 編集では具体的にここがこう変わった、と言えるところを見つけることはできませんでしたが、何となく、練習用ミニポーチではできなかったことができるようになっていると感じます。

 元は大きく形の変わるような編集はできなかったのですが、拡張レシピを適用することでできるようになっていたのがそれを一番実感できたところですね。


 巻物収納が作れてちょっとうれしかったです。

 もちろん保存して後で作ります。


 もちろん、そういった編集はそれなりに難度も上昇しますし、変な編集、確認できたのは液体を収納できるようにする編集ですね。


 そもそも、容量的な収納能力のあるだけのポーチでは液体は収納できないということも新事実だったのですが、それは置いておくといたしまして、そのようなものにはそれだけ別に必要になってくる素材があるため、実際にできるものは現時点では限られています。


 このように、確実にできることは増えているのでしょうが、今確認できたのはそれくらいでした。


 芸術に至る極点は私の技量とアイテムの難度によって難しさが決まっている印象なので、まずはなるべく必要な難度を下げた状態で挑戦してみましょう。


 まずは拡張レシピも適用しない、練習用ミニポーチの状態で、なにも編集を加えずに作成してみることに。


 諸々のスキルもしっかりと発動させ、油断なく作製を開始します。


 開始してまず驚いたのは、その簡単さでした。


 作ったのはまだステータスが低いころでしたね。

 ステータスがかなり高くなった今となっては裁断の指示線もまさに極太です。目を瞑ってもできそうなくらい。


 ……さすがに言い過ぎましたが、そう思うくらいには指示線が太く、簡単なものとなっております。

 普段が素麺の太さだとするのなら、太麺のうどんくらいの太さ。


 ですが今回の目的はただ作ることではありませんから。

 芸術に至る極点、その発動です。


 極太の指示線の中にあって、ほかのアイテムを作製する時の指示線と変わらない程の細さしかない線。

 その線を慎重に辿ってゆきます。


 わかってはいましたが、アシストが無い所為でかなり精神がすり減ります。

 普段のアシストに感謝ですね。


 これまでの傾向からいって、作製中の全てその指示だけを辿り続けなければ成功しないというわけではなくて、全体のうちのどれくらい、みたいな考え方なのでしょうけどそれがどれくらいなのかわからない以上、慎重にやるに越したことはありません。


 慎重に、丁寧に作業を進めていきます。


 ほかの作製時の倍、とまではいかないものの、かなりの時間をかけながら裁断を終えた時のことでした。

 縫製の工程に進む前に、今までには無かった表示が現れます。


 そこには、『練習用ミニポーチ』は芸術品質へと昇華する可能性を秘めています、の文字。


 作業中に数度、線からはみ出してしまったこともありましたが、その程度であれば問題はなかったようで、安心しました。


 ですが、ミス数のカウントのようなものが引き継がれているのだとすると、次で油断してしまえば失敗してしまうでしょうから、引き続き気を抜かずに作業を進めましょう。


 工程を進め、縫製の指示点を打っていきます。


 しっかりと事前に『綾取り』と『目通し』も発動しておき、準備は万全。


 単純に労力が二倍かかってしまう『惜しまぬ強縫』は今回使用していません。

 それくらいは頑張りなさいというお話ですが、集中力が持つ気がしませんので……


 縫製は元からそこまでアシストがかかっていた感覚はなかったのですが、往々にしてそういうものは無くなってから気づくのですよね。


 アシストの無い状態で点を打つ作業は意外と大変で、ここ、と意識しても少しずれてしまいます。

普段であればその補正が入っていたのでしょう。アシストのありがたみをありありと実感させられました。


 幸いにして、アシストの無い感覚に慣れてからは、各スキルのおかげもあったのか最初の数回以降は特に失敗することもなく、作業は順調に進みます。

 慣れてからは裁断よりも楽に感じました。


 最後の点を打ち、作業が終了。

 と、同時に新たにウィンドウがポップします。


 そこには、『練習用ミニポーチ』は準芸術品質として完成されました、の文字が。


 じゅん…… 準、なのですね。


 ズレた個所は十にも満たないはずですが、少し下がってしまったのでしょうか。

 それとも、今はこれが上限?


 ですが、一応発動は出来たようでよかったです。

 ただ、一番簡単な練習用ミニポーチでぎりぎりでしたし、これ以上難しいものとなると、慣れてくれば意外とできるようになるのかもしれませんが、もう少しステータスを上げるか、装備をもっと良いものにして精度を上げるか。


 どれも結局はアビリティのレベルを上げる必要があることに変わりありませんね。

まぁ、他のこともしながらのんびりとゆきましょう。


 さてさて、そうしたら完成したアイテムを拝見させていただこうではないですか。


 ここまで頑張ったのです。いいものになっているといいですね。


 アイテム説明を開き、内容を確認します。


==========

『シロ’s made 芸術に至りうる 練習用ミニポーチ』

 アイテムボックスとは独立した収納が可能な、初心者が練習用に作るミニポーチ。

 作りは単純だが、完成に果てはない。

製作者:シロ


品質:準芸術品質

※準芸術品質ボーナス:状態維持※


※付与効果▼

==========


 ふむ?

 ボーナスは、他のものでは『状態保護効果』となっていますが、今回は『状態維持』となっていますね。

 単純に言葉の意味として考えるのであれば、中のものの状態が悪くなるのを『抑制』するか『無効化』するか、の違いと考えていいのでしょうか。


 今の所何か入れているものが悪くなったりといったことがないので、そこらへんが感覚的にわかりづらいです。

 食料品系のアイテムは持っておく必要が無いですからね。


 とはいえ、ここら辺は単純な効果の向上です。


 気になるのは付与効果ですよね。

 今回は特に、追加で何か素材を使ったわけではないので、芸術に至る極点の効果で付いたものとなるのでしょうけれど、確認してみましょう。


 閉じられていた部分を開き内容を確認してみると、そこには『重量軽減』という効果が記載されていました。


 さらに付与された効果の内容を覗くと、効果としては『合計重量を軽減する』というものになっています。


 数値的に見られないので忘れがちなのと、なにかの中に入れられる収納が今の所ミニポーチだけなので印象に薄いですが、そういえば総重量の制限があるのでした。


 合計重量の軽減というのがどれくらいの数値? 割合? なのかはわかりませんが、こういう効果があるのであれば、以前に思ったマトリョーシカ的収納もあながち不可能ではないのかもしれませんね。


 名前は、シロ’s made というのがとってもかっこいいのでそのままにして、芸術に至りうる、の所は…… そうですね、『No.(ナンバー)』 にしましょうか。


 あ、でも、準ですし『Sub No.(サブナンバー)』にしましょう。


 名前欄を編集し『シロ’s made Sub No.000 練習用ミニポーチ』と入力し、決定しました。


 芸術に至る極点の感覚も効果も何となくわかりましたし、一旦作製はこれで休憩にしましょうか。

 予想以上に集中力がごっそり持っていかれました。


 素材の残りも、布を中心にほぼありませんし、丁度いいですよね。


 何か他の事、そろそろ、フリークエストや他のアビリティにも触れてみようかなとクラフトスペースを後に…… の前に。


 バッグの中から露店で購入したなんだかよくわからない種と『オオナツの果実』、森土の入ったミニポーチを取り出しました。


 そういえばこれもやってみようと思っていたのですよね。


 とりあえず、出来るのかわかりませんが、オオナツの果実から種を取り出してみましょうか?


 どうしたらいいのだろう、と手にした大きな果実を眺めながら悩んでいると、ウィンドウが開きます。


 『アビリティの無い行動にはシステムアシストが掛かりません。ご注意ください』という警告文と共に現れたウィンドウには必要となるアビリティ名や適性装備、作業が可能な装備その他の情報が並びます。


 適正装備の一覧の中には短剣も含まれていたため、オオナツの果実を片手に、反対の手で先ほど買ったばかりのスティレットを抜きました。


 一応刃がついてはいますが、基本的には突き用の武器でしょうから大丈夫なのか心配になりますね。

 大丈夫と書いてあるのですから大丈夫なのでしょうけど、エストックとか刃すらついていなかったはずですし。


 というか、新品武器の最初の使い道が果物カットとはこれ如何に。


 スティレットを手にすると、オオナツの果実の表面へ作製時の裁断時の様な線が現れました。


 その線はとても細く、周りにぐるりと走っています。


 こういうのはTECの値で難易度が決まっていそうなものですが、アビリティが無いとステータスの値もあまり関係ないのかもしれませんね。


苦労しそうな予感を感じますが、意を決して果実の表面へと刃先をあてがいます。

お読みいただきありがとうございます。


もしどこかで面白いと感じていただけたようでしたら、星を光らせてくださると感動します。

あとブクマとかも(強欲

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ