表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/62

5-1作業

皆様こんにちは。お世話になっております。

からすです。

そういえば、針供養ってなんだか可愛いですよね。

だから何というわけではありませんが。

●〇●〇


 露店通りの先が街の奥につながっていることが判明したわけですが、『&C’s』にはギルドの入り口側から出た方が早いので、そちらから中央通りへ出ました。


 お店に到着すると、『&C‘s』は相変わらずの盛況具合で、比較的多くの方の出入りする姿が目につきます。


 お店へ入ると、奥のカウンターには…… えっと。

 ま? そう、マルメさんです。

 マルメさんがいらっしゃいます。


 今回は特にお聞きするような用事もありませんので、壁沿いの棚の方へと近寄り、皆様がお買い物をしているのに混じってウィンドウを開きました。


 潤沢なマネーパワーで今の作製可能難度範囲内で買うことのできるレシピを買い漁り、素材も上から…… とは流石にいきませんが、使わなそうな素材は省いた一通りを、1スタックずつくらいは買い込んでゆきます。


 素材は単価が10 C行かないものがほとんどなので、数が多くても大した金額ではありません。


 それでも1スタック99個の素材を何十種類と買い込んでいった結果、最終的なカート内の合計は、レシピと素材で17800 C。

 素材は21スタック分で、バッグの中に入りきらずアイテムボックスの方まで溢れてしまいました。


 少し買い過ぎたような気がしなくもないですが、この後ある程度使い切るまで作ればいいのです。


 レシピを作ってから必要な素材だけを買い込んだ方がよかったのでは、と購入してから気付いたのはヒミツ。


 そしてそんな買い方をしたせいか、バッグへ重量過多の効果が付いて、それを装備している私の方には行動制限のデバフが付いてしまいました。


 自身へ何かデバフが付くのはこれが初めてですよね、確か。

 今持っているアビリティのスキルたちにはバフもありますが、効果の付与ではないのでね。


 買い物を済ませ『&C‘s』を出たところで、どの程度行動に制限が掛かっているのか少し体を動かしてみます。


 ふむ。


 普通に歩くことはできるのですが、走ることやジャンプはできそうにありません。

 空気が重い、硬い服を着ている、そんな感覚です。


 この状態だと戦闘は出来なさそう、と思うくらいで、活動する分には何の支障も不快感もありませんから、問題はありませんけどね。


 と、ギルドへ戻ってクラフトスペースへ向かおうとしたところで、預けていたハーフマントの修理が完了した通知が届きます。


 先に回収して来ましょうか。


 ギルドとは反対方向、装備修理の『相棒』の方へ方向転換し歩みを進めます。


 中央広場を通り、相棒へ到着。

 受付の際に受けた説明を思い出しつつ、お店の中を見回しますと、壁際で何かを操作している方々の姿が見えました。


 確か、受け取りはそこでしたよね。


 受付時よりも少し人が並んでいた受け取り口の列に並び順番が来るのを待ちます。


 さほど時間を置かず、すぐに順番が回ってきました。


 壁に据えつけられた簡単なカウンターは、一か所ごとに左右と仕切られています。


 少しして、空いた場所へと進むと、そこにはウィンドウが表示されていました。


 ウィンドウには、修理装備受け渡し、同一の品を探す、修理情報、修理履歴、と項目が並んでいます。


 試しに修理情報の項目を選択してみました。

 すると、修理に出していた『霊翠のハーフマント』の修理を担当された方、修理内容、その他の細々とした情報が表示されます。


 修理履歴の方は、該当装備品がありません、との表示でこちらは手持ちの方の装備修理履歴を確認できるのですね。


 同一の品を探す、というのは今預けている装備品と同じものの公的な取引履歴を検索してくれる機能になっているようでした。

 霊翠のハーフマントは取引無し、になっていましたが、取引が無いと類似品についても検索できる機能が付いています。

 気になったので検索をかけてみると、『ハーフマント』の情報が出てきました。

おそらくこの装備に、霊翠の、と付いたのが今預けている装備なのでしょうね。


 直近ではマケボでの売買のようです。

 取引額は300 Cでした。

 修理の時に500 C払ったので、元の品としては買った方が安いのですね……


 機能の確認も済みましたので、修理装備受け渡し、の項目をつつきます。


 すると、新たなウィンドウとして、修理後が完了した装備品の情報がポップし『以上の内容で修理を完了いたしました』の文字と共に『受け取り』の項目が。


 内容を確認。

 とはいっても状態付与の破れ(大)が消えているだけで、他に変わりはありませんが、確認し、受け取りを選択します。


 それによって、ウィンドウの表示が『ご利用ありがとうございました』に切り替わり、アイテムボックス内へ装備品が引き渡された通知が表示されました。


 他に操作すべきことは何も無い様でしたので、そそくさとカウンター前を離れ、お店を出ます。


 修理したのはいいのですが、ハツメさんも仰っていた通り、装備しても一切の効果がないので、使い道がないですよね。


 一応コートの上からでも装備可能な様でしたので、してみますが、色合い的にも見た目的にも合いません。


 どうしたものでしょうか。


 捨てる、の項目が見当たりませんので、一先ずはアイテムボックスの方へ放り込んでおきます。


 中央通りを元の目的通り、ギルドへ向かって進み、ギルドへ到着しました。


 中を進み、なんだか大分久しぶりに感じるクラフトスペースのカウンターへ。


 受付には見慣れた顔ぶれのお三方が眠っておられます。

 交代という概念はないのでしょうかね?


 恒例のすぐに起きてくださる受付さんの窓口へ近寄ると、羽耳の受付さんは私が近寄るとすぐにうつ伏せに伏せていた顔を上げてこちらへ向きます。


「いらっしゃいませ~

 クラフトスペースをご利用ですかぁ~?」


 若干ぼんやりとした瞳でこちらを視認し、された問いかけに、肯定のお返事を。


 クラフトスペース利用券は無いので今回は、お金、なのでしょうか?


「は~い、それでは、ご利用代金、1000 Cになります~」


 意外と高いのですね。

 クラフトスペース利用券は、フリークエストの報酬でしたよね?


 今はお金には困っていないのでいいですけど、どちらが良いのでしょう。

 フリークエストは他にメンテナンス券ももらえますから、身体部品の劣化を進めるスキルも増えてきましたし、フリークエストをちゃんとやって集めておいた方がいいのでしょうね……

 ゲーム内の一日あたり最大で八枚は貰えるわけですから、やりたいクエストが無くても積極的に達成して気軽に使ってしまっても良さそうです。


 そんなことを考えながら表示された取引ウィンドウに承認を押して鍵を受け取りました。


 あちらからどうぞ~、とひとこと言ってすぐにぱたりと突っ伏してしまったお姉さん。


 お疲れなのでしょうか。ご自愛ください。

 私はいつ来てもこの方々が受付にいらっしゃるわけですが、受付業でお疲れなのか、はたまた私の知らない業務をしていてタイミングがかち合っているだけなのか。


 寝入ってしまったことで羽耳もカウンターに張り付くようにぺたりと倒れてしまっています。

 触ってみたい衝動を抑えて、寝入るお姉さんを横目に扉へ向かい、クラフトスペースへ入室しました。


 クラフトスペース内は、同じ部屋なのかは定かではありませんが、中の見た目や置かれているものは前に来た時と変わらず、です。


 違うお部屋なんかもあるのでしょうか。

 もしかしたらもっと高レベルになったらすごい設備が解放される、みたいなこともあるのかもしれませんね。


 バッグは下ろして置いておきます。


 以前はここに置いてある裁縫道具の方が性能は良かったのですが、今は前回の利用後に購入した装備の方が性能がいいので、そのまま作製を開始。


 新しく買ったレシピを片端からそれっぽく編集してゆきます。


 レシピは、作製可能難度の中で買えるものを全て買っていますが、製作可能難度以上のものはそもそも制限が掛かって買えませんでした。

 なので、数的には新しいレシピは五つ。


 あとは練習用ミニポーチの拡張レシピが一つありました。


 ステータス的に作製可能難度が上がっていたので、必然的に作れるものもポーチやバッグよりも難しいものとなっています。


 ものとしては、帽子、手袋、上着、ズボン、ポシェットの五種。


 色々とぐりぐりいじくりまわした結果、それぞれのレシピを基礎として、私がパッと想像できる程度のものであれば割とどんなものでも再現可能でした。


 特にポシェットは装飾性が高いと言いますか、他のものは、チャームを付けたり、といった装飾をしようとするとすぐに難度が跳ね上がってしまうのですが、ポシェットはその上昇幅が緩やかで、今の私のステータスでもある程度の装飾を梳けることができそうでした。


 と、いうのも、ドロップ品の『角うさぎの純白尾』や『森狼の尾』は完全に装飾素材扱いのようで、森狼の尾はまだしも通常ドロップだからなのか、難度的にズボンにだけは付けられたのですが、純白尾の方は上質品だからなのか、ポシェット以外には付けた瞬間難度を大幅に超えてしまうことになっていたのですよね。


 なので、角うさぎの純白尾はポシェットに使ってしまうことにしました。

  森狼の尾もポシェットの装飾品として使うことにします。


 それ以外の素材では、ポシェットにはさらに角うさぎや森狼の毛皮も追加素材として使い、残りの毛皮は上着の追加素材として使うことにしました。


 爪や牙は手袋には付けられましたが、そんな色物は一個だけにして、他は装飾品としてポシェットやウエストポーチに付けて作ることに。


 レシピの編集が完了すればあとは手を動かすだけです。


 その前に、ステータスを見て使えそうなスキルを確認していきます。


 『作業適化』でステータスを上げるのは必須ですよね。


 『芸術を解す機械』『尊ぶべき誤りの選択』……

 芸術を解す機械は一つ作るごとに切れてしまうので忘れずに毎回発動しないといけません。


 尊ぶべき誤りの選択はCTが十二分あるので、最も効果の高そうなスキルに使うくらいでしょうかね。

 流石に全てのアクティブスキルに使うために何度も十二分待っていたら、時間がいくらあっても足りません。

 よほどの物を作製するわけでもなければそこまではしなくていいでしょう。

 

 『惜しまぬ強縫』は、リペアオイルも素材も沢山ありますし、毎回使っていいですよね。

 

 『綾取り』と『目通し』はどうしましょうね。

 これらはMPを消費するので使いどころは慎重に考えなくてはなりません。


 まずは使わないでやってみて、きびしそうであれば使う、という風にしましょうか。


 そうしたら、一番影響がありそうなのは作業適化ですよね。

 尊ぶべき誤りの選択を発動して、作業適化、作製ごとに芸術を解す機械、縫いの時には惜しまぬ強縫、きびしそうなところがあれば、綾取りや目通しでさらにバフを掛けて、といった感じの流れで行くのが最適ですね。


 よし。


 流れを反芻し、考えた順番でスキルを発動してゆきます。


 まずは角うさぎの純白尾を使ったポシェットから行きましょう。


 スキルを発動させるごとに『劣化が進行します』『劣化がわずかに進行します』と通知が来るのを承認。

 芸術を解す機械も発動し作業を開始します。


 バフのおかげか裁断はスムーズに進みます。

 それでも余裕で簡単と言えるほどではなく、丁寧さは欠かせません。


 ステータスはかなり上昇しているはずなのですけど、なにか別に要素があるのかもしれませんね。


 ステータス上のTECは73まで上昇しています。バフあり状態ならそろそろ100越えそうですね。

 それに引き換えSTRが未だ一桁という現実。


 バランス悪いですね。


 でもいくらステータスを上げても、なんかダメージとかそれこそ、作成難度とか、そういったものは高くない気がしますよね。


 なぜなのでしょうね?


 森でもあの時は既に50以上のTECがあったはずですが、それでも大したダメージは出ていませんでしたし。

 シノに見せていただいたステータスから考えても、もちろん、高いということは無いですけど、TEC50で序盤のモブにその程度ということは無いはずです。


 となると、思い当たるのは装備なのですよね。

 補正の低い装備ではいくらステータスが高くても意味が無いのかもしれません。


 でも、装備は強いものほどアビリティのレベル制限がありますし……

 ほんと、同時並行で上げていくのが大事ですね。


 と、そんなことを頭の片隅で考えながらできるくらいにはスムーズに作業が進み、通常の布と角うさぎの毛皮の両方の裁断を済ませ、縫製の工程に。


 縫製の工程では針を使わずアビリティの効果とステータス値のみで作業を進めていきます。

 惜しまぬ強縫を発動することで、先に進んでは戻る、と同じ点を二回打つように繰り返し、その度にがりがりとHPが削れます。


 おそらく芸術を解す機械の効果で一点を打つとその周囲の点もある程度まとめて打たれるので、ありがたいですね。


 一度当たりのHP消費は4と小さいものですが、数が多いのと惜しまぬ強縫の効果で打つ回数が倍になっているため、縫い終わるまでに途中三本のリペアオイルを消費することになりました。


 これ、私は薬品過剰(オーバードーズ)が無いのでいいですが、他の方はどうしていらっしゃるのでしょう。


 そこまでで、ようやく基礎部分。

 そこに、さらに上から角うさぎの毛皮を縫い付けていきます。


 さらにリペアオイル一本分のHPを消費し、これでようやく本体部分。

 ですがこれで完成ではありません。


 ここから、角うさぎの純白尾を付ける作業です。


 純白尾を付ける際にはなぜか魔石が一つ要求されました。

 流石にもったいないかな、とも思いましたが、それだけ何かすごいことが起きることを期待して、そのコストは許容します。


 使用する魔石を選択して消費し、ほぼ完成しているポシェットへ最後の仕上げをしていきましょう。


 純白尾を止め具の所に付けるように作ったのですが、縫うのがこれまた難しい。


 矢鱈小さいうえに、動いていますし、立体的に位置しているので、指示点同士が重なって見づらいです。


 極小折り鶴マイスターの私でも、これは、きびしいですよ。


 頼みの綱である綾取り、そして目通しも同時に発動させ、今できる最大限で作業を進めます。


 幸いにして、その二つを発動させれば、かなり強い補正が掛かっているのか、数度の打ち損ね程度で作業を進めていくことができました。


 この作業に関しては芸術を解す機械の効率上昇効果は発動しないようでした。

 切れている様子はないので、発動条件を満たしていないのでしょう。


 呼吸を忘れてしまうほどにリアルMP(集中力)を消費し、ようやく最後の点を打ち終えたのと同時に、思わず大きくため息をついてしまいます。

 慌てて息を吸い、今度はゆっくりと息を吐き出しました。


 幸せが逃げて行ってしまいます。アブナイアブナイ。


 変になった呼吸を整えてから、早速、完成したポシェットの情報を確認してみます。


 さて、出来栄えはいかほどでしょうかね?

お読みいただきありがとうございます。


もしどこかで面白いと感じていただけたようでしたら、星を光らせてくださると感動します。

あとブクマとかも(強欲


まねーいずぱわー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ