4-4君は強いよ
皆様こんにちは。お世話になっております。
からすです。
そういえば、一部のかき氷のシロップの味は全て同じなのだそうですね。
だから何というわけではありませんが。
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幻影の稀撃の効果が切れる前に、再度同じやり方で挑戦。
行動ごとに切れてしまうのか効果の切れてしまっている、芸術を解す機械を発動し、物陰から顔を出した角うさぎへ短剣を構えたまま近づき、先制攻撃を待ちます。
そろそろ見慣れてきた突撃の構え。
風の声を発動。
そのまま飛び掛かってくる角うさぎへ羽々流々、からのなるべく角うさぎのいる方向へ短剣を振ります。が、流石に先ほどのようにうまくいくことは無く、突撃を避けたところまではいいのですが、攻撃が当たることは無く角うさぎはその場を通過し地面に突き刺さり、しばしじたばたとした後に角が折れ、お亡くなりに。
その後も芸術を解す機械を発動せず戦ってみたり、風の声を発動せずに戦ってみたり、むしろ羽々流々に従わずに戦ってみたりとスキルの試運転を重ねていきます。
羽々流々の歩法と風の声、幻影の稀撃の組み合わせは、最初以降一度も決まることはなく、泉の水玉相手にやっていた時同様に相変わらず攻撃を当てることができませんでしたが、元々これくらいの期待でしたし、そんなもの、と納得できる範疇です。
羽々流々に身を任せて動きながら動くものに攻撃を当てるのは、いうなれば動く床に乗りながら野球のボールを打ち返すような、そんな状況なわけでして。
正直、角うさぎさんに関して言えば羽々流々の効果で避けず自力で避けた方が攻撃は当てられるのですけどね。
とはいえ、これは角うさぎさんの突撃がとても直線的で、どの個体もほぼ変わらない軌跡で攻撃してきてくれるからなので。
ただ、そんな試運転の中で少しずつ慣れてきて思ったのは、角うさぎは的が大きいからか、不規則な動きをしないからか、羽々流々を使っても慣れれば攻撃を当てられるような感覚がありました。
そうして途中、幻影の稀撃のCTが明けるのを待つのに素材探索をしたりといった間を挟みつつ、MPが切れるまで角うさぎと戦い、何となく戦闘行動の感覚がつかめてきたところで一旦休憩。
MPコンバータにMPを補充し、今度の標的は森狼です。
シノと居たときの帰り道にも戦いましたが、森狼さんは意外と動きが激しくて強く感じるのですよね。
基本的な戦闘の要領は角うさぎさんと変わらないので、ゆっくり戦えば羽々流々が無くても戦えるのですが、今回はスキルを使いながら戦闘をする試運転なので。
森狼さんは、動きの激しさはあれど身体も角うさぎさんよりは大きいですし、羽々流々を使っても攻撃を当てられそうな予感がします。
短剣を片手に森狼を探して森を彷徨い歩くこと少し。
探していないとばったり出くわすのですが、探すと意外といないものですね。
そんなことを思っていると、ようやく一体の森狼が木の幹をがりがりと引っ掻いているのを発見しました。
まだ距離はありますが、森狼はかなりの索敵能力を持っているため、先に発動しておきます。
切れてしまっている作業適化も有効に。
幻影の稀撃と芸術を解す機械を発動しておきます。
風の声はまだ距離が足りないので、戦闘開始後ですね。
先制攻撃は元々できませんし、準備が出来次第、森狼の方へ。
相変わらずの索敵能力で、ある程度近づいたところで森狼がこちらに振り返り身構えます。
私も短剣を構え、いつでも羽々流々に従えるように意識。
いまだに、明らかに風の声の有効範囲には入っていませんが、森狼から攻撃の予兆が。
森狼の攻撃は基本的にはジグザグ飛び掛かり。
爪か牙か体当たりかの違いはありますが、最初の動きと軌道は全て同じです。
距離が近いと必ず噛みつきで、予兆が無いので避けにくいですし一撃攻撃を加えたら離脱して飛び掛かりを待つ方が楽ですね。
こちらが避けた行動を潰してくるような行動は無いのと、牙での噛みつきの場合は避けたときに直線状に障害物があればぶつかった後に一瞬ピヨる、ふらふらと行動を停止させるのは以前戦った時に知っています。
なので、角うさぎさんと戦っていた時とやることは変わりませんね。
以前は飛び掛かり着地の隙を攻撃していって倒していましたが、今回はすれ違いざまの迎撃に挑戦です。
身を屈めた森狼が地面を蹴り、木の幹を蹴り、地面や木々を蹴り飛び、不規則な動きでこちらに。
動きが早ければかなりきついかもしれませんが、森狼はそこまで素早いというわけでもないので見ていれば避けられるわけですが、上位種なんかが出てきたときが羽々流々頼りになりそうですよね。
ある程度近づいてきたところで、風の声を発動。
まだ範囲外だったのか一瞬認識できませんでしたが、すぐに範囲内に入ってきた森狼の位置を認識できました。
羽々流々に従って飛び掛かりを躱し、横をすり抜けながら短剣を振ります。
ヒット。
攻撃は森狼の脇を切り裂きます。
やはり身体が大きいと当てやすいですね。
前に進む勢いをそのままに反転し、森狼と私の立ち位置は反対に。
見ると、森狼は攻撃の当たった場所からダメージエフェクトを零しながら14のダメージをポップさせていました。
森狼との戦いでは今まで一桁しか出たことが無かったので、二桁ダメージは成長を感じます。
このダメージはおそらく致命は入っていないでしょう。
どういう計算がされているのかはわかりませんが、元々、森狼さんに対するダメージは角うさぎさんへのダメージの半分ほどでしたし、先ほど角うさぎさんと戦っていた時には、バックアタックでなければ25~29程でしたから。
確か森狼さんの総体力は50前後だったはずですので、これを四回。
そう考えると強くなりましたね。
前に戦った時は十回近く攻撃する必要がありましたし。
攻撃と攻撃の間隔が短いのでチャンスが多いのと、ふらついた時の隙には数回攻撃ができるので、以前からそこまで時間はかからないのですが。
感慨にふけっていると早速、森狼は再度攻撃の体勢に。
普通に避けるのと違って、攻撃後、私と森狼の間に少し距離ができるので、近いとしてくるような攻撃に注意することなく、離れる手間、というほどのことはありませんでしたが危険性が無いので意外と楽です。
助走から飛び掛かってくる森狼とぶつかること三回。
間に一度、攻撃に致命がのったのか19ダメージ出ましたが、予想通りの四回目の交戦で倒すことができました。
ドロップは毛皮。
ほんと、毛皮しか出ませんね。
見たところでは、毛皮の他に後三種、なにかがドロップするはずなのですが、何かドロップさせるのに条件でもあるのでしょうか?
単純に運が偏っているだけの可能性もありますので、もう少し狩りを続けてから考えてみましょう。
その後も数度、森狼との交戦を重ねていったのですが、森狼との戦闘では元々、丁寧にやれば攻撃があてられるので幻影の稀撃の効果が実感し辛く、意識していないと切れたまま再使用を忘れそうになります。
どちらかと言うと、長期戦になりそうなときの使うタイミングを考えておかないといけない感じですよね。
三分の効果時間に六分のCTがあるので、常に発動し続けることはできませんし。
CT明けた通知とかはないので、幻影の稀撃に限らないお話ですけど、タイマーとかそういうのがあったら何かと便利そうではあります。
今度マケボとかオーリナさんの所とかで探してみるのもいいかもしれませんね。
あと、一度の戦闘で使用する風の声の回数が大体二回か三回なので、MPがすごい勢いでなくなっていきます。
途中でMPの変換効率の上昇が完了した通知が出ましたが、それでも一個の魔石当たり15にしかならないので結構、魔石が溶けますね。
かといって、今のようにカウンター気味に攻撃をしようとすると、風の声が無いと無理です。
森狼さんの攻撃を見切れるようになってきたら必要ないかもしれませんけど。
MP切れまで何頭かの森狼さんを狩る中で、新たに『森狼の爪』が入手できたのですが、毛皮すらドロップしないこともあり、ドロップ率の渋さに驚きです。
角うさぎさんは比較的頻繁にドロップしていたのでその感覚でいましたが、こんなものなのでしょうか。
その後も一度魔石を補充して戦闘を繰り返すことさらに数頭。
間は毛皮や爪をドロップしつつ、毛皮のドロップと同時にようやく新しいドロップ『森狼の牙』を入手。
どちらもこれといった特殊な条件があるわけではなく、ただ単にドロップ率が渋いだけですね。
いえ、大体五体で爪や牙は出ているわけですし、確率的には20%程。別に低いこともありませんか。
今はまだそんなにさくさく倒せないのでそう感じるだけですね。
最後の一枠は角うさぎの時同様レアドロップ? 枠でしょう。
何が出るのでしょうね?
流石にこの戦い方は魔石の消費が激しすぎますし、あと一頭倒すくらいはできるでしょうから残りのMPを使い切ったら前と同じ戦い方に戻して、おそらくレアドロップ枠の素材が出るまで粘ってみましょうか。
新しい森狼を発見。
幻影の稀撃、芸術を解す機械を発動。
木の根元で丸まって眠る森狼へそっと近寄ります。
索敵能力が高いので基本的にゆっくり近づいても意味はないのですが、今まで寝ているのを見つけたことは無かったので、もしかしたら先制攻撃を取れるかもと思いまして。
戦闘も大体慣れたことですし、MPも心もとないので、先に大ダメージを与えられるのであればそうしておきたいです。
ゆっくり近づいていくと、寝ている森狼がこちらに気付くことは無く、もう少しで一気に距離を詰めて攻撃すれば届く距離まで近寄ることができました。
今後の戦闘スタイル次第ですが、隠密系、こうして先制攻撃ができる機会を増やす系のアビリティがあったら便利そうですね、と頭の片隅で考えながら、森狼との距離を計ります。
思えば、この時にこそ『照会』と『情報請求』を使っていればよかったのでしょう。
先ほどまでは使えないと分かっていても、一応意識だけはしていたのですが、数度それっぽくスタイリッシュな戦いを繰り広げてしまったのと、それほど労せずに倒せてしまっていたが故に、危機感が無くなっていたのでしょう。それらのことが頭から抜けていたのですよね。
飛び込んで攻撃すれば確実に届く距離まで近づき、勢いよく、一気に距離を詰めて寝ている森狼へ攻撃を仕掛けます。
先制攻撃は見事に決まり、森狼の胴から34のダメージポップが。
致命とバックアタック補正の両方が乗ったのでしょう。
あとは二撃、致命が入れば一撃で倒せる範囲内。
森狼が飛び掛かってくるのを、短剣を構え待ち受けます。
身を屈め…… 森狼が顔を上に。
見たことのない行動。
直後。
木々に反響し、森中に響き渡る遠吠え。
その長い鼻に抜けるような高く篭った鳴き声はだんだんと小さく、森の中にわずかな余韻を残して吸い込まれていきます。
攻撃を加えれば中断することもできたのかもしれませんが、私は一度も見たことが無い行動とその音の大きさに驚き行動を止めていました。
そこまで行って初めて、照会。
そして惜しまず情報請求からのわずかに減ったHPをリペアオイルで回復しておきます。
そうして相手からなるべく目を離さないようにしつつ、ちらりと見たウィンドウに失敗を悟りました。
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『霊森狼』
精霊の森に生息する狼。肉体の精霊化が進み、通常個体との間に子をなすことができるようになった。複数の通常個体を従えた群れを支配する。
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ふくすうのこたいをしはいする……?
一匹で寝ていたじゃないですかやだー
遠吠えは一般的に意思の伝達、そして、仲間を呼び寄せるために行われます。
つまるところ――
がさり、と相手側の茂みから、数頭の森狼が姿を現しました。
上位個体ならHPも他のよりも多いのでしょうし、私の方はMPが無いに等しいです。戦闘に入ってしまったので、今から補充することもできないでしょう。
一撃あたりにどれくらい喰らうのかにもよりますが、戦うのと撤退を天秤にかけ、即時撤退の判断を下した私はじりじりと、刺激しないようにゆっくりと、それらの視線を切るように遠ざかっていきます。
見失ってくだされば、逃げられることは分かっているので、どうにか。
次からは煙幕でも買ってこようと心に決め、少しずつ遠ざかっていきますが、そんな希望を潰すように、『霊森狼』の一吠えによって周りの数体、見た限りでは五体が散開し私の周りを取り囲みます。
確実に仕留めに来ていますね……
初デスになるかもしれませんね。
なんてことを頭の片隅で考えながらも、ちょっと嫌なので、どうにかならないか思考を巡らせていきます。
周りを取り囲む森狼たちがそんな隙を与えまいと飛び掛かってくる姿を瞳に捉えながら、羽々流々に従いますが、スキルは確実に避けきれないことを伝えてきます。
私はレッグベルトに手を伸ばし手に取ったアイテムを起動。一体の森狼へと投げつけます。
お読みいただきありがとうございます。
もしどこかで面白いと感じていただけたようでしたら、星を光らせてくださると感動します。
あとブクマとかも(強欲




