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3-3身体

皆様こんにちは。お世話になっております。

からすです。

そういえば、カピバラって、鬼天竺鼠ともいうのですよね。かっこいい。

だから何というわけではありませんが。

●〇●〇


 早々にギルドに到着し、まずはマーケットボードに向かいます。


 相変わらず奥の露店通りはそれなりの活気があるものの、マケボ前は特に人が居ません。

 マケボを開き『霊晶片の魔石』を検索してみると、それなりの数の出品数がありました。


 価格はシノの言っていた通り、大体三万 C前後、取引履歴を見てもそれくらいですね。


 手数料がかかるのでまとめ売りした方が利率は高いのでしょうけど、需要の問題か、履歴でも単体の販売履歴のみで複数個売りのものが売れていることはありませんでした。


 なので他の人よりも10 C位安く、価格順でソートした時に一番上に来るように設定し、二個を出品します。


 驚いたことに、需要自体がかなりあるのか、あるいはタイミングが良かっただけなのか、他の方より少し安いだけなのですが即座に売買が完了し入金されてきます。


 一瞬で六万 C弱を入手して潤った懐に頬が緩むのを感じながら、マケボ前を後にしました。


 お次は、近い所から行きましょうか。

 登録の時にお世話になったリチアさんの所に行ってみて、身体部品のことを聞いてみましょう。

 登録窓口に、行けばいいのでしょうかね?


 少し移動して、登録窓口を覗いてみると、それなりの数の方が並んでおられて関係ない内容で並ぶのは少し気が引けましたが、困ったものはどうしようもありません。

 列の最後尾に付いて順番が回ってくるのを待ちます。


 少しして、私の番に。

 空いた窓口に向かい、特殊種族担当のリチアさんにお聞きしたいことがある旨をお伝えすると、笑顔で内線? なのでしょうか、どこかに連絡を取るような仕草を見せると、リチアさんは今総合受付に居るそうで、連絡を入れておきましたので、そちらへどうぞ、と手配してくださりました。


 受付さんへしっかりとお礼を言ってから、その場を後にします。


 総合受付の案内板を追いかけ、総合受付までたどり着くと、窓口にいたリチアさんと目が合います。

 こちらにお辞儀をしてくださるリチアさんにお辞儀を返し、窓口へ。


「私に御用ということで、何かございましたか?」

「あ、えっと、聞きたいことがありまして――」


 身体部品についてのことがわからず困っていることをお伝えすると、リチアさんは少し首を傾げた後、手元で何かを操作。


「こちらのクエストに見覚えはございませんか?」


 そう言って差し出されたウィンドウを確認します。


==========

【お大事に】固有チュートリアルクエスト

 機構人形の身体は、手入れを怠らず、大切に育てることが必要です。


達成条件:身体部品の強化・変更


※ 機構人形は身体部品を強化・変更することによって基礎ステータスが上昇します。


報酬:コーティング剤

==========


 このクエストは知らないですね?

 やはり何かやるべきことを飛ばしてしまったのでしょうか。


 リチアさんに知らないことを伝えると、ではどうぞ、と通知音と共にクエストが受注され、進行可能状態になります。


 開始地点は『人形師の工房』。

 羽々流々を教えていただいた場所の近くですね。


 チュートリアル扱いですし、これはフリークエストをやる前にやっておくべきでしょう。


 リチアさんにお礼を言ってその場を後に、マップの目印に向かいます。


 つい先ほども見た街並みを横目に目的の場所までたどり着くと、そこには一軒の小さな平屋。

 手前には小さな人形たちのパーツがずらりと並び、奥には膨大な数の道具が並び。まさに職人の工房、といった印象を受けます。


 そのさらに奥、畳の敷かれた座敷に、クッションを抱きしめて丸まったまま眠っているお姉さんがいらっしゃいます。

 ひとを起こすのとかなんか申し訳なくて苦手なのですが。


 どうしたものかと思いながら軒先で軽く声を掛けると、お姉さんもそこまで深く眠っていたわけではないようで、呼びかけに反応しこちらに目を向けてくださりました。


「んぁ? おや? お客とは珍し―― おっと、これはまた……」


 顔だけをこちらに向けたお姉さんと目が合います。

 軽くお辞儀を。


 横になっていた体を起こし、伸びをして着崩れた服を整えると、押し入れから座布団を出し、こちらに手招きをしてきます。


「そんなところに立ってないで、入っておいで」


 お店、というわけでもなさそうでしたので何となく入らずにいたのですが、招き入れて頂いたので奥へ。

 少し中に入っただけで、屋内では何とも表現しづらいですが、ずいぶんと独特な匂いがします。これは使っている素材やら薬品やらの匂いなのでしょうかね?


「そこに座んな」


 座敷に上がらせていただきさされた座布団に腰を下ろすと、机を挟んでお姉さんと対面する形になります。

 燃えるような暁色の髪を束ねた姿は、お姉さんというより姉御、と言った感じです。あと、耳が少しとがっているように見えるのは種族的なものなのでしょうか?


「初めまして。シロと申します。ここで、身体部品についてのことをお聞きできると聞いて」

「あいよ。丁寧にありがとさん。

 あたしゃ、ハツメ。しがない人形師さ。

 それで? 用件は、その身体の手入れをしに来たってことでいいのかい?」


 手入れ、というのが強化や新しい身体部品の話ということでいいのでしょうか?

 そこら辺をお聞きしますと、その通りとのことで、ようやく基礎ステータスを上げる方法がわかりそうで一安心。


「そしたら、あたしがあんたに何をしてやれるか話すよ。

 あたしも、機構人形を触るのは久方ぶりでね。できることには限りがある」


 そこまで言ったところで、部屋の奥からお盆にお茶を持った一メートル少しののお人形さんが姿を現します。

 機構人形……? 少し小さいですけど。子供?


 ハツメさんがお盆からお茶を机に移すと、お人形さんはお盆を持ったままその場で座り込み、動かなくなってしまいました。


 行動がとても無機質で、生きている感じはしませんね?


「この子はあんたとは違うよ。

 あたしが動かしているだけだからね」


 私がじっと見つめていたのに気づいたのか、わざと大きく手を動かしてそれに従うように動くお人形さんを指しながらそう言います。


「あたしゃ人形師だからね。

 基本作る側だが、こんなこともできるわけさ。

 ま、劇やら、劇で使う人形から飾る人形、義手義足まで、この腕でお飯食えるなら何でもやってるけどね」


 くるくるぴょんぴょんと踊るお人形さん。

 和装なのでバレエのような動きが似合わないのですが、小さなのが踊っているというだけで可愛いですね。


「それでね、あたしがしてやれることの話だが――」


 お茶を啜って一息ついてから、ハツメさんが説明を始めます。


 お話を纏めるとこんな感じ。


 強化はあくまでも、私がその身体を扱えて、初めて意味がある。というお話が最初でした。

 つまりは、私がいきなりとても強い身体部品を装着しても、それは意味がないということですね。というか装着できないらしいですが。


 強化でやることは、はじめはその身体部品を特定の方向性に最適化するのが主となるそうです。

 素材を用いての加工はもっと後の話。


 そうやって身体部品を最適化し、それを私が扱えるようになっていくことでステータス値を伸ばしていくので、その身体部品によってつくられたステータスを十全に発揮できるのは、その身体部品だけとのことでした。

 ここら辺は部品を変えるとデバフが掛かるという理解で問題なさそうです。


 少し理解が難しいですが、順番としては、


 まず、身体部品を調整することでそのステータス値を扱える状態にする。

 次に、その状態を私自身が学習することで自分のステータス値にする。


 それでステータス値を上げていく、という考え方なわけですね。


 ……筋トレかな? いえ、正しく筋トレなのでしょうね。


 身体部品そのものに関しては、使える素材を持ってくればそれで新しい身体部品を作ることが可能だそうです。

 ただ、その身体部品に対する慣れというか扱いがゼロに戻るということで、相当のデバフを覚悟する必要はありそうですね。


 それでも、根本的にベースとして利用されている素材によって上限値や性質が違うらしく、今の私の身体である『始まりの○○』は、色のないと言っておられましたが、低いステータスでも扱えるうえに、どの方向にも調整しやすいものの、結局、ベースが高いステータス値に耐えきれないため、使い続けるなら後から相当いい素材で加工しないといけなくなるそうなので、新しく作る必要はどこかで出てくるのでしょうね。


 ベースにできる素材は、見ればわかるようになっているそうなので、見つけたら持ってくればどんなものになるかは説明してくださるとのことでした。

 また、私の『世界を探求する知識』、照会のスキルのやつですね、これのレベルがもっと上がれば、私自身でもどんなものになるのかはわかるようにもなるそうです。


「さて、これで、一通りの説明は終わりだ。

 調整していくかい?

 一応、頭胴腕脚で一気に6は調整できるよ。一度に大きく上げようとすると時間もかかるし、少しずつ上げていくのをお勧めするけどね」


 ステータス値の上げ方に関してはある程度理解しました。

 感覚的には、回数をこなしてステータスを上げる通常種族の方々とあまり変わらない感覚で上げられそうですね。


 SPもとりあえず数値が欲しい所に気軽に振ってしまって大丈夫そう。


 そうしたら、とりあえずTECとHPに1ずつお願いしちゃいましょうか。


 ハツメさんにそう伝えると、TECは腕を調整するのが上がりやすくて、HPは胴を調整するのがいいとのことでしたので、それでお願いします。


「あいよ。

 調整するから、奥へおいで」


 立ち上がり、奥の部屋へ行くハツメさんを追って奥へ。

 小さな人形たちが所狭しと並ぶ奥の部屋に移動すると、ハツメさんがおもむろに敷布団を敷きはじめます。


「ここに横になってくれるかい?」


 言われた通り、敷いていただいた布団に横に。

 ハツメさんも私の横に腰を下ろします。


「それじゃ、始めるよ」


 その声と共に部屋にあった人形たちのいくつかが動き出し、私の身体に触れると、触れた場所からほわほわと仄かな光を放たれ始めました。

 しばらくそんな光景を眺めながら待っていると、光が止み人形たちが離れていきます。


「あいよ。これで終わりだよ。確認してみな」


 ステータスの身体部品の欄を覗くと、胴と右腕に更新の表示が。

 さらに開いてみると、胴には『HP +20 (0%)』、右腕には『TEC +1 (0%)』と表記がありました。


 これで上がったわけではなくて、これが100%になって初めてステータス値に反映されることになるわけですね。

 上げ方は、そのステータスに準ずる行動、TECなら手を使ったあれこれを中心に、HPなら動いていれば勝手に上がるそうです。


 一度に沢山上げると、このパーセントの上がり方が遅くなっていくそうなので、遠出でもしない限りは1、2くらいでやっていった方がいいのでしょう。


~ポーン~


 そしてここでクエストも達成判定になったのか、ウィンドウに達成のハンコと共に、報酬のコーティング剤が吐き出されました。


 コーティング剤はその身体部品の上限値を少し上昇させる効果があるそうで、始まりの身体シリーズに使うには少しもったいないかな。

 しばらくはボックスの肥やしですね。


~ポーン~


 身体の方のクエストを達成すると、すぐにまた新しいクエストが自動的に追加されました。


==========

【組み込まれた魔道具】固有チュートリアルクエスト

 機構人形はMPコンバーターによってのみ、MPを利用することが出来ます。


達成条件:MPコンバータの強化・変更


報酬:無属性触媒

==========


 ふむ?

 あぁ、これに関するチュートリアルクエストもあったのですね。

 あぶないあぶない。


 次はこれをこなしてしまいましょう。

 予定から逸れている気がしますが、これはしかたありません。


 今後も頻繁にお世話になるであろうハツメさんに、お礼とよろしくお願いしますをしたところで、ひらひらと手を振るハツメさんに見送られてその場を後にしました。

 お暇するときにお人形さんたちと一緒にみんなで手をひらひらしていたのがとっても可愛かったです。


 道へ出ると、一旦端に寄り、ステータス画面を開きます。

 ステータスの上げ方も分かったことですし、流石にそろそろSPを振らないとな、と思いまして。


 一先ずは固有アビリティのSP:6と5くらいは残しておいて、残りの24はHP、作製用のTEC、羽々流々用のAGIに10、7、7で振っておきましょう。

 残しておくのは急にやりたいことが出来てステータスが足りなかった時の保険です。


 SP振り分けを確定するとウィンドウが開き、ぽぽんっ、と聞いたことのない変な音が。


 なんでしょう? と思ったら、固有チュートリアルクエストのウィンドウに達成済みの文字出ていました。


 もしかして、SP振ったらステータス関係のチュートリアルが出てくるように設定されていました?

 ……いつものスタイルが仇になってしまいましたね。


 まぁ、無事に進行は出来ていますしダイジョウブ。


 マップを開き次のクエストの開始位置を確認すると、そちらの方向へ歩みを進めます。

お読みいただきありがとうございます。


もしどこかで面白いと感じていただけたようでしたら、星を光らせてくださると感動します。

あとブクマとかも(強欲

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