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2-7楽しい楽しいお裁縫

皆様こんにちは。お世話になっております。

からすです。

そういえば、シロクマさんは実際、毛は透明ですし肌は黒いしで、白い要素ないのですよね。

だから何というわけではありませんが。

●〇●〇


 制限時間まで既に十分を切った中、近年稀にみる素早さで森の中を駆け抜け、街道の人波の隙間を駆け抜けていきます。

 こういう負荷のかかる行動をすると身体部品が消耗してしまうのでしょうね。と思いつつ、街門まで到着。


 全力疾走(感覚)のおかげか、タイマーはまだ六分程度の時間を残しており、流石に間に合わないということはなさそうで安心しました。


 それにしても受付での待ち時間とかを考えると余裕はなさそう。と思ったのですが、門をくぐった時点でタイマーは停止。

 そういえば、開始も門をくぐってからでしたね。


 焦燥感が解消されていくのを感じながら、わずかな余韻が少しばかり足を速くします。


 多くの人が行き交う隙間を縫いながらギルドへ到着。買取窓口まで移動すると、相変わらず結構な方が並んでいる列が。

 最後尾に付いて自身の番を待つとしましょう。


 しばらくして「次の方どうぞ~」の声に、空いた窓口へ。


「買取をご希望の方でしょうか?」

「あ、いえ、アビリティの習得をお願いしていて……」


 先ほど受けた時とは違うヒト耳の受付さんにそう伝えます。


「はい、畏まりました。ギルド証のご提出をお願いいたします」


 そう言われてギルド証を差し出すと、それを受け取った受付さんは手元で何かを操作し始め、ぺったんと書類とギルド証に割印が押されると、ギルド証がすぐに帰って来ました。


「はい、達成を確認いたしました。

 支給品アイテムは回収させていただきます」


 装備していた支給品アイテムが解ける様に消えていき、支給品アイテムが回収されました、のウィンドウがポップしました。


「以降、『採取者の才』及び『解体の才』がステータスのアビリティ画面から取得可能になります。

 おめでとうございます。お疲れ様でした」

「あ、はい、ありがとうございます」


~ポン、ポン、ポン~


 と、二つのクエストとチュートリアルクエスト達成のハンコを押されるウィンドウを横目に窓口を離れ、さっそくアビリティ欄を確認。

 アビリティ欄の空き枠をつつくと今取得可能になった二つのアビリティが表示されていました。

 アビリティの取得に必要なAPアビリティポイントは、今ある二つは両方2で取れるようです。


 初期値は10だったはずなのですが、なぜかいつの間にやら15に増えているAP…… チュートリアルクエストでもらったのは3のはずなのでそれ以外で2増えているのですよね。

 条件が不明である。


 そしてついでに23にまで増えているSPステータスポイント

 何故に?


 そもそも初期値で10あるので、振っておかないといけないなと思いつつも、こういう数字を振るのがとてつもなく苦手なので、どうしてもあとであとでとなってしまいますよね。

 アビリティの習得が落ち着いたらちゃんと考えます。はい。


 AP:4を消費して、『採取者の才』及び『解体の才』を取得。これで良し、と。


 そうしたら次は、裁縫師のクエスト行きましょうか。


 戦闘系はまだ行ったことがない場所に目印が立っているのですよね。

 門側から中央の広場を挟んだ反対側に進んだところみたいです。

 なので近い方からでいいですよね。


 裁縫師のクエストはすぐそこですし。


 ギルドを出て、相変わらず神秘的な大樹の鎮座する中央広場の方へ向かう途中。洋服屋さんと言えばいいのか、防具屋さんと言っていいのか、外から眺めただけでも数多くの衣類・防具の類が並ぶ建物に裁縫師クエの目印が立っています。


 実は未だに靴すら履いていないので場違い感がすごいのですが、出入りする人波に乗って気にせず中へとお邪魔します。

 店内は所狭しと衣類・防具系の装備品が並び、奥の試着室? と思しき区画にはひっきりなしに多くの方が出入りしているのが目につきます。


 目印は奥のカウンターに立っているようなので、そちらへ。


「いらっしゃいませ~」


 目的のカウンターにはクリーム色の立派な巻き角と、同色の癖っ毛がとてもチャーミングな店員さんが座っており、目が合うとすぐにご挨拶してくださりました。

 羊さんでしょうかね? 可愛い。


「何か御用でしょうか~?」

「えっと、アビリティ習得のお願いをしたくて……」


 カウンターに近づくと、にこやかな笑顔で問いかけてくださる店員さんにチケットを差し出しながら答えます。


「あ~、はい、アビリティの習得ですね~。畏まりました~。

少々お待ちくださ~い」


 そう言って奥へ引っ込んでいった店員さんを待って少し。

 店員さんが戻ってきます。


「それでは、こちらへどうぞ~」


 カウンター横を開け内側へ通されると、そう言う店員さんを追いかけ奥へ。


 奥へ進むと、そこにはずらりと並んだミシンや作業台、そしてそこで作業する多くの方々の姿がありました。


「えーっと、十四番の席をご利用くださ~い。

 あそこらへんですね~」


 店員さんの指さす方へ進むと天井から下がる吊り看板に十~十九番の文字が。


 手前から五番目。言われた通り十四番の席に着き周りをぼんやり眺めていると、周りでは手を動かすたびにきらきらとエフェクトを散らしながら何の作業をしているのかわからない方も居れば、縫い物をしている方、その中にはもちろん針を使って縫っている方が大半ですが、指で生地をとんとん、とするだけで縫えているように見える方もいらっしゃいます。


 すごく気になりますよね。何かのスキルなのかそれとも、外から見るとそう見えているだけで、縫い物ではなくて別の作業をしているのか。


 そんな風に周りを眺めていると、ウィンドウがポップします。


==========

【裁縫師の卵】アビリティ習得クエスト

 裁縫は、布・革を中心とした素材を用いアイテムを作製する技術です。


達成条件:練習用ミニポーチの作製


支給品:練習用ミニポーチ作製キット


※このクエストは開始後1時間以内に達成してください。

※未達の場合は再度受注し最初から行ってください。


制限時間:60:00:00


報酬:アビリティ『裁縫師の才』

==========


 ポンとウィンドウから吐き出された箱を開けてみると、巻物のように巻き留められた布と、縫い糸にボタン、そして手のひらにぎりぎり収まるくらいの平べったい箱が入っていました。

 箱の中には針とペンのような何かが入っています。


 内容物一覧は、支給品の布と糸とボタン、そして裁縫道具になっています。


 どうやら箱が裁縫道具のようですね。


 ペンのようなと言うのは、本当にペンのような形をしているだけで、万年筆が近いでしょうか? そんな形をした棒なのですよね。

 先端が金属、柄が木材と言った感じ。


 一応スキルを使ってみましたが、どれも練習用に量産された○○、としか出ません。


 クエストウィンドウが閉じて新しくポップしたウィンドウで裁縫道具を装備してください、の指示が出たので裁縫道具を手に、装備、と意識すると右腕にリストバンドのように巻き付いた状態で装備されました。

 確かに言われてみれば周りの皆様も腕にしていましたね。周りの方のはもっと豪華なものが多いですが。


 装備するとウィンドウの内容が変化し、作製をしてみましょう、の指示になりました。

 作製は、作製を意識すると一覧ウィンドウがポップする仕様になっているようですね。


 指示通り作製を意識するとウィンドウがポップしますが、もちろん今は練習用ミニポーチしか表示されていません。


 説明によると、どうやら作製にはレシピが必要なようですね。

 レシピは買ったり貰ったりしないといけないようです。


 オリジナルは作れたりしないのでしょうかね?

 少なくとも今はそんな項目はないので、出来そうもないですが。


 ところで素材って、今ボックスに入れたりしていないのですが、大丈夫なのでしょうか、これ。

 まぁ、大丈夫なようになっているのでしょうね。細かい所、意外としっかりしていますからねこのゲーム。


 そんなことを考えながら、ウィンドウの練習用ミニポーチの項目をつつきます。


 すると、布と糸とボタンの選択画面が。

 糸とかは支給品糸の他に繭糸も項目にあったのですが、支給品の方しか選択できませんでした。


 三種類選択が終わると、新しいウィンドウがポップします。


 そこには、基本形のグラフィックが表示されており、説明では「こうしたい」と思うと、それに近しい設定の一覧が表示されるので、その中から形やどんなふうにどれくらいの物を、といった感じで作っていってください。とのことでした。


 いえ、これ結構細かくできますよ。

 ただ、細かく複雑なものを作ろうとすると、難度の数値が上がっていくのですよね。

 元々の難度が基本形で1だったのですが、試しに色々弄ったら軽く70を越えました。

 7あたりで警告が出たので今はそれくらいが限界なのでしょうね。


 重量とか効果とか、他にもこうしたいなと思うと、項目自体は色々出てきたのですが、その類は追加素材が必要なようでそもそも選択できませんでしたし。


 これは、ウィンドウ上で作ったものが保存できるようなので、それで作って、必要な素材を集めて、という感じでしょうか。


 うわー、楽しそう。


 わくわくしながらウィンドウを操作し、今の私でも難度5なら確実に作れるようなので、5に収まるように形を作っていきます。

 リセットと設定を繰りかえしてみた感覚として、何となくわかったのは、細かいことをすると難度が跳ね上がるのですよね。

 逆に大きく切ってよかったり、大きく縫えばよかったりという形だと、したいことをしてもそんなに難度は上がらないようでした。


 わかりやすいのだと、ポーチなので基本はボックスの中で細かいものを纏めてボックスの圧迫を解消するアイテムのようなのですが、ベルトに留められるようにしようとすると素材の追加が必要、だったり。

 ポーチのサイドにリペアオイルを止められるベルトを作ろうとすると難易度は大きく上がりますがそれをベルトではなくてサイドポケットにするとそこまで上がらない、みたいな。


 そんな仕様を確認しながら、サイドポケット付きの厚みのあるお財布のような形のミニポーチで難度5に収めました。

 今ボックスを圧迫するのって、チケット類なのですよね。

 なので、それを中心にこまごまとしたものを入れられるようにしてみました。


 ほぼ満足いく形が出来たので、作製開始を押すと、ペンのようなと思った道具が箱から吐き出され、ぷかぷかと手元に浮かびます。


 手に取ると、選択した支給品布を留めていた紐が解け、作業台の上に広がりました。


 次の指示に変化したウィンドウには第一工程として、布に表示された線に沿って裁断してください、の指示が。


 布を見ると、確かに淡く光る光の線が布の上を無数に走っています。


 ペンで線をなぞることで裁断ができる、といわれたのでとりあえず先端を線にあててみます。


 当てたところからちりちりと音を立てて布に穴が。

 フリーハンドで線をなぞるのは結構大変そうと思ったのですが、アシストが入っているのか意外といけます。

 感覚は、何でしょう。浅い溝をなぞっている感覚が近いでしょうか。


 それでも慎重にいかないとずれてしまいそうな感覚ではあるので慎重に、無数に走る線を一本一本なぞって裁断していきます。


 品質表示があるので、ずれたりすると下がってっしまうのでしょうね。


 結構な時間を掛けて細かいパーツも含め裁断が終了。

 一応、進行を保存というのもできるようで、途中からまた後で、みたいなこともできるみたいでした。当たり前ですけど。


 ウィンドウが次の工程の指示に変化。

 次の工程は、裁縫ですね。


 手にしていた棒が解けて消える、今度は針が手元にぷかぷかと。

 針には既に糸が通されているようで、あの絶妙なイライラ感を味わわなくて済む親切設計。


 作業台の上では、こことここを縫い合わせてください、という形でパーツの辺の色が変化していました。

 

 意外と多くなったパーツに慄きながら、一息気合を入れて針とパーツを手に取ると、裁縫の仕様を確認していきます。


 裁縫はかなり親切設計になっているようで、布の上に点々と印の付いているところを針でつついていくだけで縫えてしまう形になっていました。


 これは完全にアシスト無し、小さな点の位置を針をでつついて行かないといけないので、現実よりはよほど楽ですが、これもずれたら品質が下がってしまいそうな予感。


 そんなこんなで結構な時間をかけてようやく最後の部分を縫い終わったころには、制限時間はもう残り三十分ほどになっていました。

 途中色々試してみたりの時間はありますが、それにしても結構かかりましたね。


 いえ、だって、そもそもほつれ留めしなくていいですし、返し縫いも玉留めも、しなくてもほつれたりしませんし、糸の補充いりませんし、縫い終わったら糸が勝手に切れたりで、面倒くさい所全部親切設計ですからね?


 なんか、裁縫の楽しい所だけ、みたいな。幸せです。


 そして、出来たアイテムがこちら。


==========

『練習用ミニポーチ』

 アイテムボックスとは独立した収納が可能な、初心者が練習用に作るミニポーチ。

製作者:シロ


品質:高品質

※高品質ボーナス:状態保護効果向上※

==========


 結構いい感じにできたのではないですか(どやっ


 ……ところで今気づいたのですが、これ、回収されませんよね?


 回収されたら、ちょっとしょげましょうね。

お読みいただきありがとうございます。


もしどこかで面白いと感じいただけたようでしたら、星を光らせてくださると感動します。

あとブクマとかも(強欲

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