2-3能力
皆様こんにちは。お世話になっております。
からすです。
そういえば、トウモロコシの粒は必ず偶数だそうですよ?
だから何というわけではありませんが。
●〇●〇
改めてギルドへ足を運びましたが、ついさっきも来たばかりなのになんだか久しぶりに来た気分がしますね。
入り口からは相も変わらず盛んに人が出入りしていて、繁盛しております。
こうして見ているだけでも、結構かわいい装備、格好いい装備をしていらっしゃる方々もちらほらと混じっていて、あれとあれをあの色に染めて組み合わせたらいい感じになりそう、とか色々考えてしまって、普通に見ているだけでも楽しいです。
もちろん初期装備の方が多いのは言わずもがななのですが。
とはいえ、そんな出入りする人をじろじろ見ていたら不審者もいい所ですので、さっさと中に入りましょう。
とりあえずクエストの確認に広場まで来て、空いている場所でクエスト一覧を開きます。
ソートを合計1~1に。
八件のクエストが解放されているようでしたが、特にめぼしいものがありません。
片っ端から受けていってみてもいいのですが、報酬が正直美味しそうではないのですよね。
それなら、巡回クエストを回数まわしたいかな、って感じです。
そうしましょうか。
あー、でも、今から後天性アビリティをいくつか習得するとして、レベル一にならさくっと上がりそうですよね。
そうしたら、その分もっと上のクエストも受けられますか。
……いえ、ダメですね。
そういえば一日あたり八件なのでした。アビリティ習得にどれくらい時間が掛かるかわかりませんが、流石に間に合わないでしょうね。
そうしたら、同じのを何回とやるのも間に合わないでしょうし、あと五件受けるだけ受けて権利を消費しておいて、消化していくのがもったいなくないですか。
ふむ。
クエストを0~1でソートしなおし、巡回クエを含めた五件を受けておきます。
レベル合計1のクエストは、二件が食料系のクエストだったので、それ以外で四件受けた形ですね。
もしかしたら、日を跨いだらキャンセルされてしまいますよとか、あるのかもしれませんが、その時はその時で。
さてと、一旦ログアウトして、ご飯食べてきましょう。
お腹空きました……
相も変わらず、これ、ゲーム内にも空腹があるのにはっきりとリアルの方だってわかるのすごいですよね。
時計とか持っていませんし、時間の感覚が曖昧なのでどれくらいゲームしていたのか微妙な所ですが、リアルはお昼ぐらいにはなったのかな?
そのうち時計欲しいですよね。
そんなに長時間ゲームしていたわけではないとは思いますが、ここらへんで一旦。
ログアウト自体はどこでもできるのでしょうか?
ログアウトを意識すると、ログアウト確認のウィンドウが表示されました。
一応、ギルド内でもできるようですね。
セルフ系のスキルの仕様も確認しておきたいので、ギルドにどこか椅子ありましたっけ?
ギルドの中央、入り口から入ってきてすぐの開けた場所まで戻ってくると、ホールの片隅にいくつかの椅子が並んでいるのを発見しました。
そさくさと椅子の端っこを占領しセルフ系三つを発動させてみます。
HPを回復する修復は、もちろん発動の必要がありません、と言われました。
減っていないので当たり前ですね。
劣化を回復する整備は発動、カウントが始まります。
重ねて、修繕も一応と思い発動させてみたのですが、どうやらいずれかのみのようで、メンテナンスがキャンセルされてしまいました。
その後、メンテナンスと同様にアナウンスが流れ始めます。
【条件を満たしていないため、セルフメンディングを実行できません。】
【付近で最も達成可能な条件は以下の通りです。】
【一定量以上の生命体が有効範囲内に存在する。】
思わず目を開き周りを確認してしまいます。
かなりの数の方々が、ギルド内を歩き回っておりますよ?
これでも足りないとなると、かなりの人数の方がひしめきあっている場所でないと発動は出来なさそうですね。
達成可能な、ということは他の条件もあるのでしょうけど、そこらへんは都度都度確認、ということで。
セルフメンテナンスを発動させ、再度アナウンスを聞きながら、ログアウトの操作に移ります。
ログアウト自体は思考操作でできるのでウィンドウを操作する必要性はないのですが、さて、ログアウト中でも継続はされるのか。
ログアウトの確認にYESを選択。
聞こえていた音がゆっくりと遠のいていき、一瞬沈み込んだ後『ログアウトを完了しました』というアナウンスに目を開きます。
そこは、ログイン前にもいた見慣れたVRのホームスペース。
これはいつもの事ですね。
VR空間から出る時は必ず、一旦待たされます。
何か色々動いているらしいですが、具体的になぜかは、知りません。
しばらくぬいぐるみに埋もれて待っていると、切断可能のウィンドウが表示されるので、もう一度YESを。
すぐに目を瞑り、待っていると『切断作業を開始します』とアナウンスが流れ、意識が奥へ奥へと沈んでいきます。
沈み込んだ意識はすぐに戻り、完全に覚醒状態に。
目を開けると、そこはコクーンの中です。
外に出ると、うーんと身体を伸ばし、両手を振りながら腰をひねり、のストレッチ。
特に身体が疲れたというわけでもありませんが、ついつい毎度してしまいます。癖ですね。
クリーナーから部屋着を取り出しいそいそと着込みカーテンを開けると、外からは高く昇った太陽の光が差し込んできます。
時間を確認してみると時刻は十三時過ぎ。
ログインしたのが八時頃なので大体五時間ですか。
ゲーム内ではほぼほぼ一日経っていたので、うん、そんなものなのでしょうね。
何となく把握。
一先ず、お腹を満たしましょう。
腹が減っては戦は出来ぬ、です。
ふむ?
何があったでしょうか?
確か、パンとかシリアルはあったと思いますが。
ぺたぺたとキッチンへ向かいます。
ちなみに、私はスリッパとかは苦手なのですよね。
何でしょう、大袈裟ですが感覚がずれると言いますかなんといいますか。
とにかくスリッパを履くとなんか嫌なのですよ。
キッチンに着き、なにがあったかなー、と棚を漁ります。
ところでいつもの事ではあるのですが、ゲーム内でかなり賑やかだった分いきなり静かになると少し寂しくなってしまいますよね。
いつもの事なので、どうということでもないのですが。
ふむ。
シリアル、ドライフルーツのやつですか……
そういえば母が買ってきていたのでしたね。
正直、これあまり好きじゃないのですよね。
普段は自分で買うのですが、母がお店に寄ったりするときに買ってきてしまうのですよね。
買ってくるなら、奇をてらったのは要らないから普通のにしてっていつも言っているのですが。食べるのは私なのだ母よ。
パンはあるような気がしていただけで、ありませんでした。
嫌いというわけではありませんし、もったいないのでこれにしましょうか。
シリアルの封を開け、皿に十分な量をざっと投入。
湿気無いように封をしてから棚に戻します。
冷蔵庫から牛乳を取り出しまして、だばーっと全体が浸るくらい注いだら、はい完成。
見た目は良いんですけどね。
何が好きくないかって、シリアル食べる時って口がさくさくモードになっているじゃないですか、そこに不意にドライフルーツのふにょっと感が入ってくるとなんだかなぁ、ってなるのです。
まぁ、共感していただく必要はないのですが。
わかるって方は、あー、ってなりますよね?
大きなスプーンを取り、机へ。
腰を落ち着けて、いただきます。
もぐもぐしながら、少し行儀は悪いですが、ちらりとデバイスに目を通します。
リンクスというチャット型連絡の通知がありますね…… 六件? 何でしょう?
重要なものだと困るので、食べている最中ですが開いてしまいます。
大体クラスメイトからの連絡しか来ないので、重要なことはさしてないでしょうけど。
開いてみると、連絡主は友人の望でした。
六件全部。
< おはよ
< ?
< おーい
< きづけー
< 見てないの?
< ないのか……
こんな感じでした……
失敗。通知オフにしていたの忘れてました。
すまぬよ。
ごめんなさい >
何か用でしたか? >
通知切ってました >
通知つけておきますね >
通知もオンにして。
これで連絡が来た時にゲーム内でもわかりますね。
さて、これだけ食べたらお腹いっぱいです。
シリアルとかだと絶対普通にお茶碗でご飯食べるよりたくさん量食べてますよね。
そんなんだから母や父が色々買ってきてしまうのでしょうけど。
牛乳まで飲み干して食器を洗浄機に放り込んだら、少し食休み。
どうしましょう? お風呂は夜でいいですよね。
あー、洗濯物を畳まないとですね。もう乾燥まで終わっているでしょうし。
洗濯乾燥機から衣類を取り出し、せっせと畳んで分けていきます。
数日分貯めこんでも、そんなに数は無いのですが。
クリーナーは、あれは汚れを落としているわけではなくて、ある程度飛ばして、あとはふかふかにしているだけらしいので。
油脂とかそういうのは落ちないのでしょうね。実際、染みとかは落ちませんし。
一通り畳み終わった衣類を抱え、部屋に戻ります。
衣類を衣装棚に詰め込み、部屋着を脱ぎ、またクリーナーに放り込んでおきます。
コクーンに入り目を瞑ると、いつも通りのアナウンス。
先ほどは私とサーバーを切断しただけで、デバイス間の接続を完全に落としたわけではないので、最初とは違い今度はすぐに『接続を開始しますか?』の文字が。
接続開始のボタンを押し、意識を沈めます。
すぐに戻ってきた感覚と、先ほどまで聞いていた喧騒、カチカチと続く秒針の音。
まずはセルフメンテナンスの時間を確認します。
おぉ、減っているようですね。
これは有難いですよね。
これならある程度レベル上げも出来ます。
流石にログインした状態で身動きの取れないまま過ごすのは暇ですし、もったいないですから。
そしたら早速、アビリティを取りに行くとしましょうか。
アビリティ習得紹介受付の矢印看板を追いかけて、ギルド内を進んでいきます。
矢印の差す場所には、他とあまり変わらない窓口が並んでいました。
そんなものですよね。
どこの窓口も人がおらず、空いていたので、適当な窓口に進みます。
「いらっしゃいませ。アビリティ習得の紹介申請でしょうか?」
近づくと、受付さんがすぐに対応してくれました。
ちなみに受付さんは、黒のピンと立ったもふもふ耳のお姉さん。内側が白で指を突っ込みたくなります。
選んだわけじゃありません。選んだわけじゃありませんけど、あくまで偶然ですけど、とても好き。
「あ、はい、そうです」
「はい、畏まりました。では、ギルド証を頂けますか?」
ボックスにしまっていたギルド証を取り出し、受付さんに渡します。
「はい、お預かりいたしますね」
ギルド証を受け取った受付さんが、隣にあった機械にギルド証を通し、手元では何かを打ち込んでいました。
何をしているかはさっぱりです。
「はい、ありがとうございました。
それでは、お手元の一覧から習得するアビリティをお選びいただき、ご選択の上再度受付へお越しください。
あちらに椅子がございますので、よろしければ、ご利用ください」
そう言われるのと同時に、ウィンドウがポップしました。
言われた通り、受付を外れて長椅子の端に座ってウィンドウを眺めます。
ウィンドウには、創作系や戦闘系を中心に系統別にいくつかのジャンルに分けられてアビリティが並んでいました。
つついてみると、それで習得できるアビリティの情報を見ることが出来ます。
申請ボタンを押すとリストに追加されて、この状態で窓口に持っていけばいいのですよね? 申請自体はいくらでもできそうな感じです。
そういえばツバキさんも習得しないにしても受けるだけ受けてみるのもいいかも、的なことを言っていましたね。受けるだけなら枠に関係なく受けられるのでしょう。
とりあえず、欲しいものを考えましょうか。
何が欲しいですか?
絶対欲しい、優先順位の高いものは、ドロップ率・採取率の上昇系ですよね。
ふむ?
補助技能、でしょうか?
リストの中を眺めていくと、ありました。
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『採取者の才』Lv.0
知ればこそ、見る。知ればこそ、見逃すことなく。
スキル▼:P 知りし瞳
TEC+2 LUC+1
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スキルは、採取時の発見率? の上昇ですね。
発見率とは……?
LUCが上がっているので、LUC依存のやつなのでしょうか?
そうしたら、そちらも上げたいですよね。
ドロップ率とかには絶対必要でしょうし。
ドロップ率上昇系も探していきます。
ジャンルは同じだったのですぐに見つかりました。
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『解体の才』Lv.0
苦しめず、傷つけず。それが必要とあらば。
スキル▼:P 慈愛の終撃
LUC+2 TEC+1
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ドロップ率上昇系は二つあったのですが、とりあえず一つだけで、比べた結果こちらにしました。
スキルは、致命的な攻撃によって倒した場合ドロップ率が上昇する、ですね。
もう一つの方は、同種を倒さなければドロップ率が上昇していく、というもので、ボスとかそういうのにはいいのでしょうけど、私にはちょっと。
ところで、なにやら私、不穏なお人形さんになっていっているのは、気のせいでしょうか……?
さて、あとは戦闘技能も必要ですよね、やっぱり。
そうしたら、わざわざそのためにSTRを上げるより、なにかTEC・LUC系の戦闘技能にしたいですよね。
何かあるでしょうか?
お読みいただきありがとうございます。
もしどこかで面白いと感じいただけたようでしたら、星を光らせてくださると感動します。
あとブクマとかも(強欲




