神像vsオーク
「油断するな! あの化け物から距離を取れ! 矢で攻撃しろ。近づくな!」
レイリス王国軍を率いていた指揮官が、部下達に命令を出すと、
『神ハ我ナリ……我ニヒレフセ……神ハ我ナリ』
そう声を発したバケモノ。
「しゃべったあああ?」
兵士達は混乱しながらも、矢を放つ。
だが、その矢は届いているのに刺さらない。
「隊長、矢は刺さりもしません!」
「とりあえず逃げろ! 中将に報告だっ!」
その場からの撤退を決めた指揮官であった。
「師匠……教会の入り口付近に嫌なものが見えるんですけど?」
教会を攻撃する部隊から、少し離れてオークスタ中将と、今後の動きを相談していたセインスが、貴族の方から聞こえる喧騒に気が付き、教会を見てすぐさま中将に言ったセリフがこれであった。
「む? 人が飛ばされている? 我が兵か? この国の教会では、いままで変なのが出なかったから、もう無いのかと思っていたがな。油断していたな。ん? なんか黒いのが出てきたな」
中将の言葉に、
「大きくはないけど、ヤバそうな雰囲気ですね」
黒いバケモノを見て、セインスも警戒した眼に変わる。
「あれは普通の兵士たちでは、無理だな。行くぞセインス」
「はい……」
二人は部下を率いて歩き出す。
「近くから見ると、さらに厄介そうだな」
オークスタ中将の言葉に、
「あれ、オーガに似てません?」
と尋ねたセインス。
「オーガよりも引き締まった筋肉に、長い角。だが、ワシにはポチ軍団がおる!」
不敵な笑いを見せるオークスタ中将。
「かなりヤバそうに見えますけど?」
と言ったセインスに、
「気合いだあああ!」
とオークスタ中将が叫ぶと、
「「「「ウゴオオオオ!」」」」
とオーク達も鳴き声をあげる。
「ダメだ、師匠とオークのノリについていけない……」
緊張感が消え失せたセインスに、
「ついていく必要無いでしょう?」
とアレンが横から口を挟む。
「とりあえず様子を見てみるか。鉄弓隊、出来るだけ至近距離から撃ち込め! ただし無理はするな!」
セインスが命令を出すと、鉄弓隊達が矢を放ち始める。
一応矢は当たっているが、致命傷には至っていないのが、化け物は傷口から黒い液体を流してはいるが、動きは何も変わっていないようだ。
ゆっくり近づいてくるバケモノ。
「一般の兵は下がれ! オークが突入する!」
オークスタ中将が命じると、セインスはすかさず、
「鉄弓隊、いったん撃ち方止め!」
と命じる。
「ポチ達よ! あの化け物を倒せぇ!」
オークスタ中将の命令に、
「「「ウゴオオオオ」」」
とオーク達がバケモノに向かって走る。
先頭を走っていたオークが、バケモノに体当たりしたが、バケモノはそれを受けても後ろに跳ね飛ばされる事はなかった。
「オークの、ポチでしたっけ? ポチの体当たりをあのバケモノは止めましたね……」
セインスが言うと、
「なに、そのまま数体で押し倒してやるわい! タマ、ジョン、ミケ、タロ! ポチと一緒に化け物を押し倒せ!」
オークスタ中将の声に、残り4体のオークがポチに協力して化け物を押し込み、教会の建物に押し付けることに成功する。
「お! いいぞ! その調子だ!」
オークスタ中将がそう言った時、バケモノが一体のオークの頭部を、両手で挟み込むように掴むと、そのまま押しつぶしてしまう。オークの血や脳、目玉が飛び散る。
「ミケッ! よくもミケをっ!」
オークスタ中将が、槍を構えて突っ込む。
「道を開けろ! お前達はこのバケモノが逃げないように囲んでおけ!」
そう言うと、オーク達が道を開け、オークスタ中将がバケモノに迫る。
「バケモノがああ! ミケを殺したことを死んで詫びろっ!」
突き出された槍が、バケモノの左肩に刺さる。




