王太子の結婚式
そうして、セインス達遊撃隊は、レイリス国に戻る。
リーガスタ中将率いるレイリス国軍は、すこしの間、元ウェインライド国に留まり、治安維持に務める。
さて、国に戻ったセインスを待ち構えていたのは、自身の結婚式の準備であるのだが、一先ず、王に報告するため城に行かねばならない。
王城に行けば、当然、婚約者のフィリア殿下にも会うわけで、戦場での話、特に器械式と鉄式の弓の話で盛り上がり、その日が終わってしまう。
翌日から、自身の屋敷で結婚式について決めた事を、王家の許可を貰うため、王城に赴くことになる。
自宅と城を往復する日々。
セインスに親族は居ないが、世話になった人達に手書きの招待状を出し、料理の献立を決めたりと、細かいが決めなければならない事は山積みである。
そうして、忙しい日々を過ごしていたセインス。
さて、翌日はセインスの結婚式だが、その前日に行われる一大イベントがあった。
デービット王太子と、ヴェガ子爵家の娘、ミシェルとの結婚式である。
次代の王の結婚式ともなれば、それはそれは豪華なものであった。
戦争が終結したのも幸いして、全貴族当主夫妻はもちろん、その息子や娘達も参加して盛大に行われた。
戦地にいたリーガスタ中将も、もちろん帰国している。
王太子夫妻に挨拶をするため、長い列ができる。
挨拶をする順番は、基本的には爵位の高い者からである。
領地を持っている公爵家、次に侯爵家、伯爵家。
続いて、領地の無い宮廷貴族、軍貴族達。
リーガスタ中将のような、領を持たない伯爵が並び、その後ろに、子爵、男爵、準男爵、騎士爵と続く。
子爵から下は、代官でも軍務でも、王城で働く者でも、順番に決まりはない。
この日までは、男爵であるセインス。
男爵の集団の中ほどで、自分の順番を待つ。
周りの男爵達の中には、翌日に子爵になるセインスに擦り寄るために、順番を明け渡そうとする者もいたが、セインスはそれを丁重に断った。
「デービット殿下、ミシェル殿下、この度は誠におめでとうございます。心から祝福申し上げます」
セインスがそう言葉を述べると、
「セインス、ありがとう。お前が私の命を救ってくれたおかげで、ミシェルと婚姻を結ぶことが出来た。感謝する」
デービット王太子の言葉には、心からの言葉特有の重みのようなものが感じられる。
「セインス殿、ありがとうございます。貴方が父に仕えたのも、面白い縁でした。そのおかげで父の出世があったので、感謝しています」
ミシェル妃殿下も、セインスに礼を言う。
二人を祝った後にお祝いを伝えるのは、王家。
ヨハネ王や王妃達に、祝福の言葉を伝える。
そして、次はヴェガ子爵家の人達へ。
「ヴェガ子爵閣下、おめでとうございます」
セインスが頭を下げると、
「セインス卿、明日になれば親戚になるのだ。よろしく頼む」
ヴェガ子爵がそう言う。
デービット王太子とフィリア殿下は、母親も同じ兄妹なので、セインスがフィリア殿下と結婚すれば、確かに親戚であろう。
血は繋がっていなくとも親戚。これが貴族である。
「ですね。こちらこそよろしくお願いします」
セインスが笑顔で答えた。
そしてその後、ダンスパーティーへと移行する。
未婚の貴族の見合いも兼ねたパーティーである。




