あ!
セインス達が数日かけて、ウェインライド城に戻ってきたのだが、その時見た光景は異様なものだった。
「何だあれ?」
と、思わずセインスが言葉を漏らしたのも、致し方ないだろう。
「オークが城を襲ってますね……」
と、アレンが冷静を装って言うのだが、言葉に動揺がみられた。
「オークキング師匠のオークじゃないよな?」
と、確認するようにアレンに問いかけたセインス。
「リーガスタ中将のオークはまだ小さめでしたから、違うと思います。それに4匹居ますし」
アレンが言った事は事実で、リーガスタ中将がペットにしたオークは、成体ではなく少し小さめの個体だった。
だが、城を襲っているオークは、どう見ても成体である。
しかも4体が城壁の門に体当たりしているのだ。
「師匠が居るからオーク4匹くらいは、我が軍にとって屁でもないはずだけど、なんでオークがあそこに居るんだろう?」
リーガスタ中将ならば、オークの4体くらいは瞬殺のはずなのだ。
「とりあえず戻りましょう!」
と、アレンが言い、
「だな」
と、セインスが答えて、リーガスタ中将の下に急ぐのだった。
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戻ったセインスは、開口一番、
「師匠、あのオークは何です?」
と、リーガスタ中将に尋ねる。
「おお、セインス戻ったのか。北の制圧のほうは?」
と、聞かれたセインスは、
「北は制圧しました。最北の領主や神父には逃げられましたが、逃げた先がアストン国のようで手出し出来ません」
と、簡単に報告すると、
「アストン国か。仕方ないな」
と、リーガスタ中将は、たいして気にした様子はない。
「で、あのオークは?」
と、再びオークの事を尋ねるセインス。
「いや、ポチを連れてポチの食糧のゴブリンを狩りに行ったら、オークの群れに襲われてな。ボコボコにしてやったら、生きてた4匹ついて来たんだ。仕方ないから部下に加えてやったんだ」
と、リーガスタ中将は、自分の隣で蹲るようにして、身を縮めているオークの頭を撫でながら、セインスに答える、
ポチと名付けられたオークは、頭を撫でられて、少し嬉しそうな表情である。
「トドメを刺さないあたり、もしかしてとか、思ったでしょ?」
と、セインスに睨まれたリーガスタ中将が、
「セインス……鋭いな」
と、言うと、
「そりゃ一年間、付きっきりでしたから」
と、呆れた表情のセインス。
「鍛えてやっただけだろう?」
と言ったリーガスタ中将に、
「まあ、それはいいんですけど、オーク共、国に帰る時はどうするんです?」
とセインスが尋ねると、
「ん? 連れて帰るつもりだが?」
「陛下に怒られませんかね?」
「陛下は多分笑って許して下さるよ。それよりも、うちの兄貴から嫌味を言われそうだがな」
リーガスタ侯爵とは、リーガスタ中将の実の兄である。
「リーガスタ侯爵閣下は、真面目な方だと聞いていますがね。会った事はまだありませんけど」
領地持ちの侯爵であるリーガスタ侯爵当主ともなれば、そうそう領地から出ることもないため、一年間王都で暮らしていたセインスだが、会った事はない。
「真面目が服着て歩いていると言ってもいいくらいの堅物だ。来月には会えるだろう?」
と、リーガスタ中将が言うと、
「来月? なにかありましたっけ?」
と、思案顔のセインスに、
「お前の結婚式だろうが!」
と、リーガスタ中将が怒鳴る。
「あ!」
と、セインスが声を漏らしたのだった。




