逃げられる
セインス一行は、街道を北に進む。
各地の軍との戦闘は、セインス達が圧倒的であった。
遠くからは、セインスの器械式の弓矢で指揮官を倒され、鉄式の弓での攻撃で混乱しているところに、国軍達がなだれ込む。
途中の村や町の教会を一つ残らず攻め、神像を潰しつつ、進軍していくセインス達。
「教会にある神の像は、残らず潰せ!一つも残すなよ!」
セインスは兵達にそう指示していた。
そうして、ウェインライド最北の街、ソートにたどり着く。
街への入り口に配備されていた兵士を、数の力で突破し、逃げ惑う領民は無視して、向かってくる兵を各個撃破し、ソート侯爵の屋敷に到着する。
「ソート侯爵とやらは、屋敷に居るのか?」
セインスが偵察から戻った、部下に聞くと、
「分かりません。教会はもぬけの殻でしたし、兵士だけ配置して逃げた可能性も」
と、情報を伝えた獣人。
「神の像も無かったしな」
もぬけの殻だった教会には、神の像も無かったのだ。
「大佐! 上空から偵察していた者が、ソート侯爵邸の窓際にて教会の白衣を着ている者を発見したと、報告がありました!」
と、空から偵察してきた者からの報告を、セインスに伝えたアレン。
「教会のやつら、領主の屋敷に逃げ込んだわけか。一箇所で済むなら好都合だ」
セインスが、そう言うと、
「一気に行きますか?」
と、キリル大佐が尋ねる。
「キリル大佐はどうします?」
と、セインスが問いかけると、
「リーガスタ中将は、クローム大佐の指示に従えと」
「では、クローム隊で突破口を作りますので、キリル大佐は残りの国軍の指示をお願い致します」
「承知した」
「では、クローム隊は戦闘準備だ!」
セインスがそう命令する。
遊撃隊が攻撃を開始すると、1時間もたたずに戦闘が終了したのだが、
「ソート侯爵の家族と神父が居ない?」
と、報告を聞いたセインスが、思わず聞き返す。
「どうやら逃げたようです」
と、アレンが言うと、
「チッ、めんどくせえ。とりあえず捜せっ!」
と、セインスが命じ、国軍もコレに加わり、大捜索が開始される。
そして、得られた情報は、
「領民の話では、夜明けとともに数台の馬車がアストン国方面に、走り去ったと」
というものだった。
「またアストンか……」
セインスが思わず声を漏らす。
「ある程度部下を置いて、中将の所に戻りますか?」
と、キリル大佐がセインスに尋ねると、
「ですね。細かい事はキリル大佐に任せていいですか?」
と、セインスがキリル大佐に頼むと、
「承知致した。クローム大佐は中将の下に」
と、承諾したキリル大佐。
「では!」
と、セインスは撤収準備を始めるのだった。




