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スナイパー


 セインスが手に持つ弓は、ロローシュ伯爵がドワーフの武器職人に、

『とりあえず遠くまで飛ばせる弓を。金はかかっても構わん!』

 と、発注した特別製である。


「ありがとう、アレン」

 と、アレンに礼を言ったセインスに、


「いえ」

 と、アレンが微笑む。


「さて、風向きは右から左に、秒速1メートル、距離は150メートルといったところか。狙うは丸出しの顔……」

 そう言いながら、セインスは器械式の弓に矢をつがえ、右眼で狙いを付けてゆっくり引いた。


「当たれ!」

 と、声に出して矢を放ったセインス。


 空気を突き抜ける音と共に、矢が飛んで行く。


 矢を放ったセインスは、次の矢をつがえる。


 放った矢が、指揮官の右眼を貫き、指揮官が地面に倒れたのを、副官が眼を見開いて驚いている。


 その様子を、しっかり右眼の黒い瞳で見ているセインスは、副官の横顔、耳の穴を狙ってつがえていた矢を放った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 敵との距離はかなりあるのに、突然指揮官が倒れたのを見て、


「閣下⁉︎ かっかああっ!」

 ウェインライド国軍の副官が、倒れた指揮官を見て驚いて叫んでいたのだが、その声は途中から苦悶の声に変わった。

 そして、その副官も同じように地面に伏した。


「な、なんだよ! 何がおきてるんだよ! エルフの魔法か?」

 と、近くにいた兵士が叫ぶ。


「分からんが、どうすんだよ! 敵はもう目の前だぜ?」

 と、言った兵士の口に矢が刺さる。


「なんでこんな距離で、矢が届くんだよ!」

 と、別の兵士が、誰に言うでもなく叫ぶ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「クローム隊鉄弓兵! 射撃準備」

 そう指示したセインス。


 鉄弓兵とは、セインス直属のクローム隊の力自慢達が、鉄弓式と言われる弓を扱う弓兵部隊である。


 そして鉄弓式とは、セインスが元々考えていた、板バネを加工した弓の事である。


 主にドワーフの兵が所属しており、敵の集団に長距離から矢を撃ち込む兵士達だ。


 セインスのように、遠くを狙って当てられる訳ではないが、当たればラッキー、当たらなくても敵に混乱をもたらす事を目的としている。

 数は30名。


「前面で待ち構えている、敵弓兵や槍兵に向かって放てっ!」

 と、セインスが声を上げると、


「はなてぇええ!」

 と、アレンが追唱した。


 鉄弓式より放たれる矢が、ウェインライド国軍兵士に降り注ぐ。

 指揮官の死により、混乱していたウェインライド国軍兵達は、まだ距離のある敵から、矢が飛んでくる事に混乱していく。


 セインス達は進軍しながら攻撃しているため、距離がさらに近くなった時、ウェインライド国軍の弓兵たちは、個人の判断で矢を撃ち返すが、指揮官が居なくなったことにより、目標が個人により違うため、レイリス軍に一斉に降り注ぐことが無かった。


 レイリス遊撃隊は、矢を槍や盾で払い落としながら、さらに前進していく。



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― 新着の感想 ―
[一言] 前話で敵司令官死亡w って書いたけど 目を耳の穴ですか! ゴル○ シティハンタ○並みの腕前ですな…
[良い点] まぁ、そうなりますわな(笑)
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