一年
その後、訓練場にてリーガスタとセインスの、槍での模擬戦となった。
刃先を潰した、訓練用の槍を構えるリーガスタ伯爵。
その身から放たれる威圧感は、半端ではなく、セインスは圧倒される。
だが、突っ立っていても訓練にはならないと思い、セインスはリーガスタ伯爵に向かって、槍を振るうのだった。
だが、リーガスタ伯爵は、べらぼうに強かった。
セインスの体感ではパイドと同じくらいに。
模擬戦開始から10分後、リーガスタの一撃がセインスの腹に命中し、吹っ飛んだセインスが意識を無くしたところで、模擬戦終了となったのだが、
「中将相手に、10分も耐えるとか、あの子何もんだ?」
と、見ていた兵士が、小声で言うと、
「気絶するまで戦うとか。そもそも中将の威圧を前に走り込めるとか、本当に子供か?」
と、隣にいた兵士が言う。
「俺、噂で聞いたんだけど、オーガを10歳の時に一人で倒した野生児だとよ」
と、別の兵士が、どこかで聞いてきた噂を話すと、
「え? アレって一人で倒せるのって、リーガスタ中将くらいじゃねーの?」
と、それを聞いた兵士が誰に問いかけるでもなく言うのだった。
次の日から、リーガスタ中将によるセインスの特訓が始まった。
それは訓練場だけでなく、魔物退治や戦場での実地訓練もあった。
訓練場では、リーガスタ中将と打ち合い、戦場にに出れば魔物を倒し、人相手の戦場では、リーガスタ中将の指揮を、隣で見て学ぶ。
たまに指揮してみろ無茶振りされつつ、訓練に明け暮れる。
同時に、遊撃隊の人員の選抜も行われ、遊撃隊の兵も、セインスから、それなりに過酷な訓練を課せられた。
そして一年後。
「良く一年間、私の訓練に耐えた。私の弟子として自慢できる男になった」
と、リーガスタ中将が、セインスの眼を見て言う。
「師匠、ありがとうございます」
と、セインスが頭を下げると、
「では、予定通り、出発せよ!」
と、命令を下したリーガスタ中将。
「はっ!」
と、敬礼して応じたセインスだった。
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数日後、
「タリマン渓谷地区から、ウェインライド兵が侵入しました!」
と、ノードス伯爵に連絡が入る。
「なに? あんなところから⁉︎ いったい何故だ!」
と、言ったノードス伯爵。
「沢を下ってきたようです!」
と、部下が説明すると、
「増援を出せ!」
と、命じたのだが、
「全て出てます!」
と、返されてしまう。
「どこかから回せんのか?」
「国軍が来てくれたので、総力戦で撃って出ている地区が多く、とても部隊をさけません」
と、説明された時、ノードス伯爵が居る部屋のドアが開く。
「私が行きます」
ドアを開けて入ってきたのは、右眼の上に傷のある半分黒髪で、右眼の瞳が黒い男。身長は170センチくらいある。
「セインス? 来てくれたのか! それにその革鎧は」
と、一年振りに見るセインスの代わりように、少し驚いたノードス伯爵は、セインスの装着している革鎧に思うところがあった。
「父上が着けていた物と、同じようなデザインで作らせました。私は弓兵ですので、槍兵だった父上の物では、使い難いので」
と、セインスが説明すると、
「よく似合っているよ」
と、頬を緩ませたノードス伯爵。
「私の直属100名、国軍1000名が、ウェインライド国軍の殲滅の任務に就きます!」
と、セインスが敬礼して、ノードス伯爵に告げる。
「頼む!」
と、敬礼したノードス伯爵に、
「はっ!」
と、短く応じたセインスだった。




