表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/100

毒矢



 草むらの中に立ったダニエル王子は、


「準備はいいか?」

 と、草むらに向かって小さな声で言った。


「はい、これくらいの距離なら、充分狙えます!」

 と、草むらの中で、伏せていた兵士が言う。


「よし! 中央に居る生意気そうな男だ。外すなよ? 殺れ!」

 と、命じたダニエル王子に、


「はっ!」

 と、兵士が言うと、素早く立ち上がって、弓に矢をつがえる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 デービット王太子の横にいる騎士団員は、交渉役の老人の後ろにいる兵士に目を配っていた。


 後ろに控える騎士達も同じであった。


 完全なる油断だろう。


 だれも一人で小便するために、草むらに入っていったブタ、もとい、ダニエル王子の事を見ていなかった。


 ダニエル王子のすぐ横の草むらから、男が立ち上がり矢をつがえた弓を構えた時、それに気がついたのは、何故こんな場所に連れて来られたのか、意味がわからないと思いながら、草原をボーッと見ていたセンスだけだった。


(ん?)


 と、センスが思ったとき、飛んできた矢が見えた。


「殿下危ない!」

 そう叫んだセンスは、慌てデービット王太子の方に飛びかかり、デービット王太子を突き飛ばした。


 デービット王太子が突き飛ばされて、地面に倒れる。


「貴様殿下に、なにをっ」

 と、アウス騎士が言いかけたとき、センスの右肩の革鎧に、ビシッと音を立てて当たった矢が弾かれ、センスの右眼の眉の上から額にかけて、かすめていった。


「うっ」

 と、センスが声を漏らし、そのまま倒れた。

 それを見たアウス騎士は、


「矢だと? 貴様ら!」

 と、テーブル近くに居る、アストン国の兵士達を殴りつけてから、矢が飛んできた方向に走りだす。


 騎士団員は、倒れたデービット王太子に覆い被さるようにし、デービット王太子を守る。


 バウ騎士やジュンス騎士は剣を抜き、その場に居るアストン国の者達を取り押さえたのち、さらに伏兵が居ないか警戒する。


 そして、ヴェガ騎士は、


「センス! おい! 大丈夫かっ!」

 と、矢がかすめた傷を両手で押さえながら、のたうち回るセンスに声をかけている。


 「じ、状況は⁉︎」

 と、デービット王太子が護衛を立ち上がらせてから、聞いてきた。


「殿下、ブタは身柄を押さえました! 矢を放った兵士は斬りました!」

 と、アウス騎士が叫ぶ。


「センス曹長は?」

 と、デービット王太子が言うと、


「マズイです。傷口あたりがどんどん黒ずんでいきます。おそらく毒矢です」

 と、ヴェガ騎士が答える。


「私が持っているポーションを使うか?」

 と言ったデービット王太子に、


「今ポーションを使えば、毒が体内に残ったまま傷が塞がるので、死んでしまいます!」

 と、ヴェガ騎士が答えると、


「では、いったいどうするのだ! 私を助けた男だ! なんとしても命を助けたい!」

 デービット王太子の声が大きくなる。


「傷口の皮膚を裂いて、毒を出来るだけ体内から搾り出します!」

 と、ヴェガ騎士が案を出す。


「アウス! 斬った兵士かそのブタが、解毒剤を持っていないか探せっ!」

 と、デービット王太子が、アウス騎士に向かって叫ぶと、


「無駄だ! たまたま見つけたツリーバイパーの毒だ! 解毒剤などないわっ!」

 と、ダニエル王子が、笑いながら言い放つ。


「くそっ! そのブタの口を封じておけっ!」

 と、デービット王太子が、忌々しそうに言う。


「ツリーバイパーか、マズイな。即効性がある上に、神経毒なので、下手すると一生ベッドの上だ。出来るだけ絞り取らないと! おい誰か綺麗な布と水を!」

 焦るヴェガ騎士が、誰ともなく言うと、


「任せろ!」

 と、ジュンス騎士が走り出す。


「センスを押さえてくれ、今から傷口を切り裂く!」

 と、続けて言ったヴェガ騎士に、


「では、俺が押さえる!」

 と、バウ騎士が近づいてくる。


「頼みます! センス! 今から傷口を切り裂くが、我慢しろよ!」

 と、バウ騎士に体を押さえつけられた状態のセンスに、ヴェガ騎士が言いながら、懐から出したナイフで、額の傷の部分を切り裂いていく。


「ガァ! ウガァァァアアアッ!」

 と、叫ぶセンスの額からは、大量の血液が流れ出る。

 傷の近くの皮膚を、ヴェガ騎士が血液を絞り出すように押し、血液と一緒に毒を出そうと、指を動かす。


「布と水だ!」

 と、言って、ジュンス騎士が戻って来ると、


「先に布を!」

 と、言ったヴェガ騎士に、ジュンス騎士が布を渡す。

 布で血液を拭き取ると、センスの額の皮膚の黒ずみが広がっていた。


「マズイ。皮膚の黒ずみが広がっていく……仕方ない。こうなったらある程度皮膚を剥ぎ取るかっ!」

 とヴェガ騎士が一か八かの賭けに出る。

 傷の周りの黒く変色した皮膚を、ナイフで剥ぎ取っていくと、先程よりも大量の血液が溢れ出る。


「よし! 毒の混じった血を拭いて、あとは水で洗い流してと、殿下! ポーションを!」

 と、ヴェガ騎士が、デービット王太子に手を出すと、


「うむ! 使え!」

 と、デービット王太子が小さな小瓶を、ヴェガ騎士に手渡す。

 小瓶の蓋を開け、皮膚の無い、一部頭蓋骨の見えたセンスの額に、ポーションをかけるヴェガ騎士。

 半分ほど額にかけると、残りのポーションを、今も喚き続けるセンスの口の中に、無理矢理流し込む。

 突然流し込まれたポーションに、センスはむせてしまい、ほとんどのポーションは吐き出されてしまう。

 

「ほとんど吐かれたが、多少は体内に入ったはず! とりあえずこれで毒は出来るだけ排除できたはず! あとはセンスの生命力次第です。おい! 誰か担架を! 暖かい部屋で寝かせてやってくれ!」

 と、ヴェガ騎士が言うと、ジュンス騎士が水や布を取りに行って戻って来た時に、一緒に連れて来た兵士達が、担架を取りに走り出す。


「頼む! 死なないでくれよ! お前には礼と詫びを言わねばならんのだ」

 と、デービット王太子が、未だバウ騎士に押さえられたままのセンスの手を握り、眼を閉じて祈るのだった。



あらすじの毒矢回収です^ - ^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >ある日、毒矢を額に受けてしまい、10日寝込む。 >その時、ベッドの上で散々考えた事を実行し、兵としてさらに強くなっていく。 あらすじによると、セインスがベッドで10日間寝込む中でどんなこと…
[一言] ( ゜ Д ゜!)・・・・マヂカッァァァ 負けた側が和平交渉で暗殺試みるってorz… 二度と和平交渉できなくなるなぁ この交渉でも生かさず殺さずぐらい 搾り取られても文句言えないと思いますが…
[気になる点] 感想連投失礼します だってふとあらすじを思い出して気付いてしまったんだ 毒矢受けたの戦の最中じゃねぇw 停戦交渉中の暗殺やんけww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ