表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/100

歓迎パーティー


 ロローシュ伯爵邸にて、王太子歓迎パーティーが開催される。


 ロローシュ領の町などを、代官として任されている子爵や男爵はもちろん、騎士爵の当主達は、妻や子供を引き連れて参加する。


 戦場は落ち着いているので、副官達に任せてある。


 何故そうまでして参加するのかといえば、王家の者との顔繋ぎは、貴族にとって大事な行事であるし、デービット王太子は、独身なので、妃選びの側面もあるのだ。


 王家に迎え入れられる事になれば、家の安定に繋がる。

 領地を持つ上級貴族にはなれないが、爵位だけなら宮廷貴族と言われる、領地を持たない貴族の伯爵に慣れる可能性がある。


 以前、この国の貴族の紹介のとき、2公3侯5伯と、上級貴族の家の数を紹介したが、それは領地を持つ貴族の数である。


 子爵や男爵は、上級貴族の土地の代官として働くと書いたと思うが、国の政治を司る王の補佐として、宮廷貴族となって、領地は無いが、国からの俸禄を貰い、役人として働く貴族や、軍で働く貴族がいるのだ。宮廷貴族で一番爵位が高いのは伯爵である。


 上級貴族の代官としての子爵より、宮廷貴族の伯爵のほうが、俸禄は多い。

 同じ伯爵でも、領地持ちの伯爵のほうが位は上で力があるが、それでも伯爵。子爵より権限が大きいのは間違いない。


 さて、そんな理由もあり、貴族の娘達は気合をいれて、王太子に挨拶に行くのだ。


 もちろん、男であっても、王太子に覚えて貰えれば、騎士団への入団の可能性が出てくる。


 騎士団とは、騎士軍とは違い、王家の護衛が仕事であり、貴族で無ければ入団出来ないし、秀でるモノがないと入団は許可されないが、次期王となる王太子が、入団を認めれば無条件で入団を許可される。


 王家の護衛ならば、王家の女性の護衛もするわけで、そこで恋が芽生えれば、王家から莫大な金額、嫁入り金を持って嫁いでくるので、家が栄える事になる。


 そんなわけで、各家は必死なのだ。


 が、必死になっていない家が一つ。

 準男爵へ上がる事が決定している、ヴェガ騎士家だ。


 続け様に爵位が上がる事など、まずあり得無い訳で、ヴェガ騎士家の者達は、ガツガツしたことはせず、丁寧に挨拶をした後、どの家の邪魔にもならぬようにしつつ、他の家との交流を深める程度で、このパーティーを終えようと思っていたので、挨拶に行くのも後の方でと決めていた。


 一方、数多くの家からガンガン攻められる、デービット王太子は、息抜きがてらにフェルミナーナと話をしていた。


「フェル姉さん、ぜんぜん変わらないねぇ」

 と、デービット王太子が、久々に会うフェルに話しかける。


「そりゃエルフだもん。貴方が小さい頃からほとんど変わってないでしょ」

 と、笑うフェルに、


「ルーシーおばさんと同じで、見た目は全く変わらないよ」


「見た目は変わらないけど、変わった事があるんだけど、さて、なんでしょう?」

 と、問題を出したフェルに、


「何か変わったの? はて? 髪型とかの見た目じゃないとして、太った訳でもないし、いったい何が変わったの?」

 と、聞き返したデービット王太子に、


「男捕まえたの!」

 と、直球で答えを言うフェル。


「そんなの分かるわけないじゃん!」

 と、呆れたデービット王太子に、


「だよね。あははは」

 と、笑ったフェル。


「てか姉さん、私が貴族と知らない男で、可愛くて誠実で強い男じゃないと嫌とか、前に言ってたけど、そんな男居たの?」

 と、問いかけてきたデービット王太子。


 そう、フェルこと、フェルミナーナ・ロローシュが、伯爵家の娘なのに、騎士軍にこっそり入っていた理由がコレである。


「それが居たのよ! 私を平民だと思っていてなお、命がけで私を守ってくれる可愛い子が!」

 と、笑顔で答えるフェルに、


「ルーシーおばさんの許可は?」

 と、問いかけたデービット王太子。


「明言はしてないけど、多分オッケーだと思うよ」


「ルーシーおばさんが許可するほどの男か、見てみたいもんだ」


「明日、視察を兼ねた調印にいくでしょ? その時見れるよ」


「ほう! 楽しみだ!」


 そんな感じで色々話していた、デービット王太子とフェルミナーナだったが、


「あ、ヴェガ家が挨拶に来たみたいだし、また後でね」

 と、席を立つフェルに、


「ああ、じゃあ後でまた」

 と、デービットが答えた。


 そして、ヴェガ騎士が、デニスとミシェルを連れてデービット王太子の前に跪き、


「お初にお目にかかり、光栄でございます。ロローシュ伯爵が騎士、ドレン・ヴェガにございます。それと、息子のデニスと、娘のミシェルにございます。」

 と、挨拶すると、


「デニス・ヴェガにございます。お目にかかれて光栄でございます」


「ミシェル・ヴェガでございます。お目にかかれて嬉しゅうございます」

 と、デニスとミシェルも挨拶をする。


「ヴェガ家か。ロローシュから聞いておる。例の件、私に決定権はないが、良い報告が来るであろう。これからも国のために励めよ」

 と、言葉をかけたデービット王太子に、


「はっ! デービット王太子殿下に、我が家の名を呼んで頂けただけで、感激でございます。誠心誠意務めさせて頂きます。明日の視察にも同行させて頂きますゆえ、長々と居座るのも、お目苦しいかと思いますので、早めに失礼させて頂きます」

 と、ヴェガ騎士が言うと、


「ふむ、では明日、また会おうぞ」

 と、デービット王太子が言うと、


「御意」

 と、ヴェガ騎士が答え、


「失礼致します」

 と、デニスが続いて言い、


「お目にかかれて光栄でした」

 と、ミシェルがチラリと、デービット王太子の顔を見て言った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これは王太子気に入ったかな? 勲功あってでしゃばらない家臣って 欲しいからねぇ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ