密会
そんな感じで、話は終わり数日後、ロローシュ伯爵家とノードス伯爵家で、当主同士の密会が行われた。
「では、セインスは生きていると?」
と、ノードス伯爵が驚き半分、嬉しさ半分といった感じで、ロローシュ伯爵に聞いてくる。
「ああ、うちの騎士の軍で働いておる」
と言った、ロローシュ伯爵の言葉に、
「何故すぐウチに来なかったのだろう? まあ、生きていてくれて良かった。我が末娘と婚約の内諾をとっていたので、娘と結婚させて、クローム騎士家を復活させます」
と、疑問を口にしたノードス伯爵だが、すぐに娘との結婚に思考が傾いたのだが、
「それが問題ありなのだ」
と、ロローシュ伯爵が、待ったをかける。
「と言うと?」
と、尋ねたノードス伯爵に、
「実はお主のところのパイド騎士が……」
と、ロローシュ伯爵がセンスから聞いた話を、ノードス伯爵に説明する。
「なに! パイドがクロームを! あの野郎、よくもクロームを! 処分してやる!」
と、怒りを露わにするノードス伯爵に、
「まて! セインスが危惧しておったのは、パイドが内乱を起こすことだ!」
と、ロローシュ伯爵が、センスの考えを伝える。
「むむ。たしかにやつに反乱されては、うちの領地は厳しくなる……」
と、理解を示すノードス伯爵。
「であろう? セインスが名を隠して東へ来たのも、ノードス領の安泰を思えばこそである」
と、言ったロローシュ伯爵に、
「しかし、我が友クロームを殺した罰はうけさせねば!」
と、怒りが再び湧き出すノードス伯爵。
「もう少し待て! アストン国との戦争が、セインスの進言した作戦で上手く行きそうなのだ。東が落ち着いたら、うちの兵を貸してやる。それでもってパイドを囲めばなんとかなろう?」
と、パイド騎士を捕らえる案を出した、ロローシュ伯爵。
「分かりました。今は国の一大事。私の心に蓋をして、今は耐えましょう」
と、目を閉じて耐えるノードス伯爵。
「うむ。そうしてくれ。でだな。話は戻るが、お主の末娘との婚約な、それ無かった事に出来ぬか?」
と、突然話を変えたロローシュ伯爵に、
「それは無理ですな。クロームと私との約束です。いったいなぜ?」
と、ノードス伯爵が、ロローシュ伯爵に問いかける。
「私も知らなんだのだが、実はクローム騎士軍に、うちの娘が在籍しておったのだ。その時、セインスとうちの娘は関係を持ったようでのう。うちとしても娘と寝屋を共にした男を、他の家に取られるのはちょっとな」
と、ロローシュ伯爵がノードス伯爵に、内情を説明すると、
「エルフにはよくあることでは? エルフの女性は幼い男の子に手をつけるのがステータスと、聞いたことがありますぞ?」
と、ノードス伯爵が言った。
「それは一部の話じゃ!」
と、否定するロローシュ伯爵に、
「ですが、内々の話とは言え、クロームと約束した事実はかわりませんし、私としてはセインスと娘の結婚は、確定事項です」
と、譲る気はないと言う。
「うちの娘の初物を奪ったのだぞ?」
との言葉に、
「うちの娘も生娘ですが?」
と、返すノードス伯爵。
「うーむ。騎士家とは言え貴族には違いないから、妻2人でも問題なかろう? 貴族は複数の配偶者を持っても問題ないからの。騎士爵で複数はあまりおらんが、前例がないわけではないしの」
と、妥協案を出すロローシュ伯爵。
「騎士爵は正式な配偶者は1人ってのが、なんとなく浸透してますが、落とし所としては、その辺りですかね。問題はどちらが正妻かと言う事ですが」
と、妥協案を受け入れる事も、考えなくはないと示すノードス伯爵。
「それはとりあえず後回しにせんか? 我らがここで争っては、セインスのためにならんだろ?」
と、正妻争いの棚上げを提案するロローシュ伯爵。
「たしかに。ならばセインスに決めさせますか。お互い恨みっこ無しという事にして」
と、自信があるのか、ノードス伯爵が提案する。
「そうじゃのう。そうしようかの」
と、提案を受け入れたロローシュ伯爵。
「では、セインスを頼みますぞ? せっかく生きていてくれたのに、死んでしまっては元も子もない」
との、ノードス伯爵の言葉に、
「無論じゃ。我が娘の嫁ぎ相手じゃ。嫁ぎ相手ではなくとも、良い子じゃし、守り切ってやるわい」
と、ロローシュ伯爵は力強く言った。




