矢が飛ぶ
戦闘は激化していき、そうこうしているうちに、一団を抜けてくる敵兵が出てくる。
「来たぞ、撃て!」
センスの声に、少し後方に引いて待っていた弓兵達が、抜けて来た兵士を撃ち取っていく。
センス自身も、弓に矢をつがえて放つ。
「おい、見てみろよ!」
と、1人の兵士がセンスを見て言う。
「何が?」
と、言われた兵士が聞き返す。
「センスだよ! さっきから見てたんだけど、一発も外してないんだぜ? スゲーぞ」
と、言われた兵士が、センスを見る。
「うわっ! 走ってる敵の目玉に刺さったぞ? どうやったらあんなに当たるんだよ!」
「ヴェガ様がアイツを曹長にしたのも、理解できるぜ」
「理解できるなら、アイツとか、呼び捨てとかやめたら?」
「う、うん、そうだな」
「それより敵がきたぞ」
「おう! やってやるぜ! 俺だって腕はあるんだ!」
そう叫んだ兵士が、狙いを定めて敵に向かって矢を放つ。
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「抜け出て来る敵が減ったな」
と、センスが言うと、
「ですね」
と、隣に居たアレンが頷く。
「ここで待ってるだけでは、兵士の無駄だな。ローレライは、作業員達の状況を見てきてくれ」
と、ローレライに指示を出したセンス。
「はい!」
と、返事して走り出したローレライ。
数分後に戻ってくると、
「作業員が動揺していて、作業が少し遅れています」
と、センスに報告した。
「少し戦場に近いから、無理もないか。戦線を少し離したいな」
と、センスが言うと、
「どうします?」
と、アレンが尋ねる。
「弓兵! 10メートル前進!」
と、センスが弓兵達に命令する。
弓兵達は、ゆっくり前進した。
「アレン、俺たちは混戦中の一団に、さらに近づくぞ。矢で狙える敵が居れば、撃ち込んで殺しておく」
と、センスはさらに前に出る。
「味方に当たりませんか?」
と聞いたアレンに、
「そんなヘマはしないさ」
センスはそう言うと、弓に矢をつがえ放つ。
戦闘している集団には、まだ70メートルほど有るのにだ。
その矢は、味方の兵にトドメを刺そうとしていた、敵兵の目玉に突き刺さる。
「矢? いったいだれが?」
今にも倒れて殺されそうだった兵が、周りをキョロキョロ見て見つけたのは、右手でサムズアップするセンスの姿だった。
「あの距離から⁉︎ マジで?」
そう言って起き上がった兵が、自身の槍を杖がわりにして立ち上がり、よろよろと後退しだすと、
「弓兵! 味方が後退するのを援護しろ!」
と、センスが大声を出した。
やがて、センス達弓兵を目掛けて走り寄る敵兵が数名。
「敵が来たぞっ!」
と、センスが叫び、
「攻撃しろっ!」
と、アレンも叫ぶ。
その声に、弓兵が矢を放つが、その矢を槍で叩き落として走り迫る兵士が一人居た。
「矢が弾かれるっ!」
と、驚きの声を上げる兵士に迫る敵兵。
「やらすかよっ!」
と、叫んだセンスが放った矢が、味方に槍を振り落とそうとしていた兵士の首に刺さり、前のめりに倒れる。
「センス曹長! ありがとうございます!」
と、兵士が礼を言うと、
「礼はいいから、あの集団から眼を離すなよ」
と、笑ってセンスが応える。
「りょ、了解です!」
と、兵士が戦闘中の集団に眼を向けてのを、センスは頷いてから自分も眼を集団に移した。




